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LIVE REPORT

摩天楼オペラ

2021.11.20 @吉祥寺CLUB SEATA

Writer 内堀 文佳  Photo by かわどう

摩天楼オペラがワンマン・ライヴでは初上陸の地 吉祥寺にて、全箇所ソールド・アウトした"The World Dyed Black TOUR"を無事完走。関東のみのショート・サーキット・ツアーではあったが、各地での公演を重ねて、楽曲の成長を実感する喜びを約2年ぶりとなるツアー・ファイナルでオペラー(※ファンの呼称)たちと共有したこの日、彼らはこれから先も明るい未来に向かっていくことを誓った。

まずは最新シングルの表題曲「終わらぬ涙の海で」からライヴがスタート。"涙の海カラー"のネオンライトが輝くフロアに、苑(Vo)の伸びやかなハイトーンが気持ち良く響き渡り、深海から水面への急浮上を思わせる、期待で胸が膨らむ幕開けとなった。続けて、神々しい重厚なコーラスで壮大な世界観を表現する彼らの得意分野が詰まった「Innovational Symphonia」から、メロディアスで疾走感溢れる熱いメタル・チューン「Sacrifice」、「罪と罰」で楽曲の幅広さ、演奏力の高さを見せつけると、そのプレイに応えるかの如く拍手が会場中に響き渡った。

苑はMCで、どの公演も突然キャンセルになる可能性があった、だから今日のファイナルを迎えられて嬉しい、と何度も口にした。それはこの空間にいた誰しもが同じ気持ちだっただろう。平賀優介(Support Gt)のハードなリフ、響のエネルギッシュなドラムに合わせ、彩雨が華やかなキーボードを奏で、燿(Ba)がさらなるグルーヴを加える、摩天楼オペラの楽曲の中でも特にリズミカルでダンサブルな「Psychic Paradise」、「MONSTER」では、オペラーたちもその喜びを爆発させるように暴れ踊る。後者では極彩色の照明も相まって、熱量はさらに増していくばかりだった。

そして切なさに胸を締めつけられるナンバー「もう一人の花嫁」で本編後半戦に突入。現正式メンバー4人のみによるギターレスの「真昼の月」、そして珠玉のバラード「Reminiscence」が続き、熱さや激しさだけではなく、この繊細な美しさがあるからこそ摩天楼オペラであるということを再確認することができた。

バンドは足踏みすると終わってしまう、一瞬一瞬に命を懸けている、歩みを止めずに来られたことが嬉しい、と語る苑。そしてここで、2022年5月4日に大手町三井ホールにて"15th Anniversary Live"を開催することを発表。そう、摩天楼オペラは来年で結成15周年を迎えるのだ。その記念すべき日を迎えるころには共に声を合わせられるように願って、と「天国の在る場所」が始まると、ステージは黄金の光に照らされ、再び登場した青いネオンライトが今度は青空を再現。荘厳な楽曲がこの光景と合わさり、本当に昇天したのかと錯覚してしまう。「儚く消える愛の讃歌」はオーケストラ・バージョンとオリジナル・バージョンが組曲のように披露され、前者では苑の歌声と歌詞の力強さを、後者では圧倒的速さで駆け抜けるメロディック・スピード・メタルの熱さを堪能したところで本編が終了した。

アンコールでは3曲を演奏。その最後に演奏された「The WORLD」の雄大さに感化され、改めて彼らが見せてくれる未来に思いを馳せていると、なんとダブル・アンコールで彼らの楽曲の中でも屈指の爆発力と激しさを誇る「BURNING SOUL」を投下。ラストにしてこの日の最高潮を迎えた。ここで、アンコール冒頭のMCで響が来年の15周年記念公演について語っていた"ホール・メタル"という言葉を思い出す。コンパクトな会場での熱を凝縮させたライヴももちろん燃えるが、広々とした会場でならこの楽曲のスケールの大きさをさらに解放できるだろう、と深く確信した。

[Setlist]
1. 終わらぬ涙の海で
2. Innovational Symphonia
3. Sacrifice
4. 罪と罰
5. IMPERIAL RIOT
6. Psychic Paradise
7. MONSTER
8. もう一人の花嫁
9. 真昼の月
10. Reminiscence
11. 天国の在る場所
12. Anemone
13. 儚く消える愛の讃歌(Orchestra Ver.)
14. 儚く消える愛の讃歌
En1. 悲哀とメランコリー
En2. マグノリア
En3. The WORLD
WEn. BURNING SOUL

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