INTERVIEW
摩天楼オペラ
2016.11.04UPDATE
2016年11月号掲載
Member:苑(Vo) 彩雨(Key) 燿(Ba) 悠(Dr)
Interviewer:荒金 良介
-まず、今年はAnziさん(Gt)の脱退がありました(※7月末日をもって脱退)。メンバーのみなさんのオフィシャル・コメントが形式的なものではなく、感情が溢れ出ていたのがとても印象的でした。
苑:そうですね。脱退に関する話し合いでも包み隠さずに、みんなの気持ちを出し合ったから。公開したコメントを書いたときは話し合いも終わってて、丸裸の気持ちで書きましたからね。
-もっと前に腹を割って話し合っていたら、と思うことはなかったですか?
苑:わかっていたよ、ということも多かったので。話し合いは先にやろうが、あとにやろうが変わらなかったと思います。
-Anziさんは["意識や信念の違い"それが理由の全てです]とコメントされてましたね。
苑:よく音楽性の違いとか言うじゃないですか。意識の違いはそういう部分にも繋がるのかなと。ロックに対する姿勢とか......その価値観に差が出たのかなと。
彩雨:音楽性の違いというのは、どういうジャンルをやりたいのか、どういう曲をやりたいのか、そこで違いが生じるものだと思っていたけど、そうではないんですよね。みんなで話し合いをした帰り道に、ストリート・ミュージシャンに出会ったんですよ。メンバー内でもステージの高さやお客さんとの距離感の話をよくするんですけど。ストリート・ミュージシャンは地面に座って演奏していたにもかかわらず、超盛り上がっていたんです。ウチらもステージの高さについて話すこともあって、Anzi君は広くて高いステージでやりたいタイプで、苑さんはお客さんと一緒に騒ぎたいタイプだから。
苑:ステージが広いところでもやるし、狭いところでもやるし、ハコをあまり選ばないタイプなんですよ。Anzi君はエフェクターにお客さんの足が乗るのは考えられないというタイプでしたからね。
-本当に考え方や価値観の違いですね。
苑:そういう小さな衝突が8年続いたという。
彩雨:どっちが正解というわけでもないですからね。話し合いをしたときも、ロック観みたいなことも言い合いましたから(笑)。
"今出すべきものはこれしかない!"という感じで作りました
-改めて、摩天楼オペラとして進むべき方向が見えてきた部分もありますか?
悠:前作『地球』(2016年1月リリースの4thフル・アルバム)までは世界観を広げていたけど、そのツアーが終わる前に苑が"ストレートでわかりやすいロック、メタルをやりたい"と言い出したんですよ。だから、今回のミニ・アルバム『PHOENIX RISING』はそうなってると思います。それに異論はなかったですね。
苑:それはAnzi君の脱退前から話していたことだけど、脱退を機に、なおさらこのバンドはどんな曲が求められているのかを話し合いました。それで辿り着いたのはヘヴィ・メタルを基調にした、メロディが聴きやすい音楽――そういうシンプルな答えだったんですよ。
燿:改めて、"自分たちはこのままでいいのかな?"と考えたんですよ。残ったメンバーで初心に戻れたし、今まで以上に結束も高まりましたね。脱退は残念だったけど、バンドはいい方向に進んでいると思います。
-結束が高まったとは?
苑:リハーサル・スタジオでも自然とメンバー内で目が合うようになったんですよ。一緒になって音を楽しむ感覚は強くなりましたね。
-繰り返しになりますけど、Anziさんを含めて、包み隠さずに話し合ったとはいえ、スッキリしましたという感情ではないですよね?
苑:それはさすがにないですよ。一緒に頑張ってきた仲間だし、一番信用しているのがメンバーですから。現実はこんなに厳しいんだなと。レーベルを離れる、メンバーが脱退するとか、こういうことが自分たちの身にもほんとに起きるんだなって。心に穴が空いたし、きっつい状態が続いてました。
彩雨:みんなずっと一緒にやっていけるものだと思ってましたからね。自分の人生プランにおいて、摩天楼オペラとして大きな会場でやるときもメンバー5人がいましたし。だから、プランが狂ったというか。最初は2016年どうなるんだろうとか、いろんな不安はありましたよ。Anzi君なしでレコーディングができるのかも考えましたから。まぁ、今は自信に満ち溢れているという話はこれからすると思うんですが。
一同:はははははは(笑)。
-2016年は闇からのスタートだったと?
苑:いや、ほんとにそうですよ。突然、真っ暗闇に入ったから、自分が動かないとダメだなと思って、「PHOENIX」(Track.2)を書いたんです。自分で光を当てられるような曲を書かなきゃいけないなと。
彩雨:最初、今回はどんな曲をやればいいかわからなくて......ただ、"シンプル"というキーワードはあったので、少しずつヴィジョンが見えてきました。
苑:"今出すべきものはこれしかない!"という感じで作りました。自分がどん底のときにこんなメロディを歌いたい、摩天楼オペラはこういうものを求められていると思って、そこで出てきたのが「PHOENIX」だったので。