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FEATURE

摩天楼オペラ

2015.10.20UPDATE

2015年10月号掲載

地球を形成する五大要素を基調テーマに据え、その完結編となるニュー・シングル発表!

Writer 荒金 良介

摩天楼オペラが9枚目にあたるニュー・シングル『BURNING SOUL』を完成させた。今作はまたこのバンドの特性や面白さ、振れ幅の広さを見せつける強力作と言えるだろう。紙資料に"鋼鉄魂、解放"と書いてあるが、あながち間違いではない。というか、まさにそうだ!と音を聴きながら、激しく膝を打ってしまった。
もともと彼らはバンド名通りに、"摩天楼"と"オペラ"のふたつの言葉を結びつけ、"現代的なものと伝統美の融合"をコンセプトに掲げている。宙を彩るシンセやシンガロング必至の合唱コーラスを取り入れ、他に類を見ないドラマティックなロック・サウンドを鳴らしている。メンバーのルーツにヘヴィ・メタルがあるのも明らかで、卓越したセンスとテクニックでも聴く者を魅了する。
 
昨年末には日比谷野外大音楽堂でワンマン公演を行い、今年はより一層バンドの勢いに拍車をかけている。映画"心霊写真部 劇場版"の主題歌として、4月に8thシングル『ether』を発表。その作品から地球を形成する五大要素(Ether、Air、Water、Earth、Fire)を基調テーマに据えて、"The Elements"というコンセプトを打ち出した。そのテーマに沿う形で、『君と見る風の行方』、『青く透明なこの神秘の海へ』、『讃えよう 母なる地で』と3ヶ月連続で配信リリースを行う。その完結編と言えるのが、今回"Fire"の部分を司る9thシングル『BURNING SOUL』というわけだ。
 
まず、シングル表題曲はイントロから耳をつんざく2バスの連打でご挨拶。これにはちょっと驚いた。まるでメタル・ゴッド、JUDAS PRIESTの名曲「Painkiller」を彷彿とさせるオープニングではないか。そこにエッジの鋭いギター・リフが乗り、シンフォニックなシンセが絡み合い、前へ前へと風を切って疾走していく豪快なナンバーだ。天に向かってシャウトするような苑(Vo)の荒ぶる歌声にもドキッとさせられる。また中盤過ぎのシンセ、ギターとソロを繋ぐ曲展開もスリリングな緊張感に溢れ、ストーリー性を運ぶ壮大感も備えている。"呼び起こせ魂の炎 向かうべき道を照らし出せ"と情熱迸る歌詞も大きな聴きどころと言えるだろう。
Track.2「EMPEROR」は重厚なギター・リフで幕を開け、メロディアスなベース・ラインもクリアに聴こえ、ミディアム・テンポで進む曲調になっている。"向かう先に敵なんていないぜ 俺が目指す最高の舞台に"と繰り返す歌詞は、ライヴ会場で観客が大合唱する絵が見えてくる、わかりやすいシンガロング・フレーズを取り入れている。ズシッと来る重さと軽やかなポップ感を兼備したサウンドのバランス感も最高だ。心の内側から熱く焚きつけられるような楽曲で、煌びやかなギター・ソロもいいアクセントになっている。
ラストを飾るTrack.3「アブサン」は曲名からもわかる通り、ニガヨモギを主成分に用いた薬草系リキュールのことで、アルコール度数が70%程度もあり、低くて40%と言われる禁断のお酒のこと。そのお酒に引っ掛け、他の2曲に比べてもちょっとクダけた遊び心のある歌詞になっている。曲調的にはシンプルな仕上がりで、苑の歌心を前面に押し出した形になっている。禁断のお酒ということもあり、どこか危険な香りが仄かに漂うミステリアスな雰囲気も楽曲から感じられる。
 
全3曲、様々なタイプのサウンドを取り揃え、1枚を通して摩天楼オペラの多彩さを心底楽しめる音源と言えるだろう。これらの楽曲群がライヴでまた観客とどんな化学反応を起こすのだろうか。12月から始まるワンマン・ライヴ・ツアー"The Elements TOUR"も期待大だ。

 

BURNING-SOUL_JK.jpg
摩天楼オペラ
ニュー・シングル
『BURNING SOUL』
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1. BURNING SOUL
2. EMPEROR
3. アブサン

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