MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

Survive Said The Prophet

2019.05.17 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer 吉羽 さおり Photo by かわどう

2月3日に東京マイナビBLITZ赤坂で開催した、アルバム『s p a c e [ s ] 』を引っ提げたツアー"s p a c e [ s ] TOUR 2018-19 FINAL"のファイナル公演で、3月から初の47都道府県ツアー"Now more than ever Tour"を行うことを発表したサバプロ(Survive Said The Prophet)。 全公演にNewspeakを帯同する。ここまでのロング・ツアーで、同じタッグで回ることはなかなかレアなことであり、ライヴを通じて、両者にとって濃い音楽的バトルとより濃密な人間的な親交が育まれるものになるだろう。ツアーの後半へと差し掛かった、5月17日に行われた東京公演、渋谷CLUB QUATTROでのライヴはまさに本ツアーで掴んできた、この2バンドならではのグルーヴが生まれていた。

まずステージに立ったのは、Newspeakの4人。2017年に結成し、始動直後から"SUMMER SONIC 2017"などのフェスに出演してきたバンドだ。UKロックの繊細且つ王道的なメロディとグルーヴ感のあるロック・サウンドで、1曲目「July」からフロアにハンドクラップやシンガロングを巻き起こし、Reiは憂いを含んだ瑞々しいヴォーカルで美メロを編み、会場の一体感を上げていく。"東京のみんな、ただいま!"と声を掛けたReiはさらに、"(サバプロのツアーだが)ゲストのつもりはないので。全力で楽しませていくのでよろしく"と言って、ジェントルなヴォーカルで美しく、スケール感の大きな「Wall」を聴かせて、またアッパーなビートとポップなシンセ、細やかなギターのカッティングが気持ち良く絡むダンサブルな「What We Wanted」などで観客を踊らせる。このツアーでは毎日成長をしているという彼らは、"また自分たちの力でこの場所に戻ってきたい"(Rei)と語り、フロア全体を巻き込んでいくコール&レスポンスでガッチリと観客の心を掴んでいった。とにかく観客がよく歌う。観るものを前のめりにさせる引力を持ったアンサンブルで、会場の熱い空気を作り上げるステージとなった。

サバプロは、アルバム『s p a c e [ s ]』のツアーでも磨き上げたアグレッシヴな「T R A N S l a t e d」で幕を開けた。Yudai(Ba/Vo)のシャウトから一気に重厚なアンサンブルへとなだれ込んでいくこの曲から、Yosh(Vo)は"Sing it!"とステージから身を乗り出して煽り、続く「Fool's gold」ではパワフルなヴォーカルを響かせながらビートを加速させていく。自身のツアーであるから盛り上がるのは当たり前ではあるのだが、それにしてもフロアの興奮の濃度を上げる速度がめちゃくちゃ早い。サバプロは今年に入って毎月のように会場で数量限定のシングルを発表しているのだが、今回のセットリストにはそのシングルからの曲も並んでいる。前半にも、2月のマイナビBLITZと恵比寿LIQUIDROOMの会場限定でリリースしたシングル『Common Sense』から「BRIDGES」を披露した。まずは初めて聴くという人にもわかるように、"石橋叩き続けてきたんだ"というサビのコーラスを何度も観客に歌わせながら、頭と身体にそのメロディを染み込ませたところで、観客と一緒に作り上げていくようにこの力強いアンセムを響かせた。サバプロというバンドがいかにライヴを大事に、ライヴという場で得たエネルギーをエンジンに活動し、制作をしているかが垣間見えるような曲だ。また一方では、"Hondaのコマーシャル曲やります"(Yosh)とお茶目に言って、現在Honda"シャトル"のCM曲としておなじみの「Right and Left」を軽やかなアンサンブルで聴かせた。

中盤では、Ivan(Gt)が指引きするアコースティック・ギターに乗せてYoshが歌い上げる「3 a.m.」、そして続く「Follow」、「Never; Saying never」では、NewspeakのReiが参加して、今回のツアーだからこそのスペシャルなコラボレーションでも魅せる。そして大合唱の「NE:ONE」、どっしりとヘヴィなShowのドラミングと、IvanとTatsuyaのソリッドなギターが、ジリジリと興奮のメーターを上げていく「Ashes, Ashes」、"とうとうきたぞ、カオスの時間だ!"というYoshの不敵な煽りから、アンサンブルの馬力を上げて「Network System」でフロアをもみくちゃにしていく。1曲目から、というよりNewspeakから歌い通しの観客だが、まだまだ歌うボリュームは落ちることなく、拳を振り上げながら声を張り上げる。その光景に、サウンドの熱気もまた上がる感じだ。そして、ソウルフルな「When I」から疾走感溢れる「Conscious」へと続いていき、サバプロの新旧の曲を網羅するようなセットリストでフロアを歓喜で包んだ。

アンコールでは、7月からNHK総合で放送予定のTVアニメ"ヴィンランド・サガ"のオープニング・テーマを担当することになったこと、そしてこの"Now more than ever Tour"の特別追加公演を、7月7日に八丈島(!)で開催することをアナウンスした。夏には全国のフェス出演で駆け回るが、9月からは全国10都市を対バンで回る"Made In Asia Tour"の開催も発表され、2019年のサバプロはノンストップで進んでいく。

  • 1