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INTERVIEW

10-FEET

2021.03.05UPDATE

10-FEET

Member:TAKUMA(Vo/Gt)

Interviewer:荒金 良介

-楽曲を作った時期はどれも同じなんですか?

「アオ」は「シエラのように」(19thシングル表題曲)と同じ時期で、残りの2曲(「朝霧を抜けて」、「タンバリン」)は今回のレコーディング直前に、今の自分から出てくるものを曲にした感じですね。

-「アオ」はTVドラマ"バイプレイヤーズ"から着想を得て?

おおかた完成しかけた頃に話を貰ったので、「シエラのように」か「アオ」のどちらかが候補という感じやったんですよ。僕らの中で「シエラのように」を出すタイミングでは、(今リリースするのは)「アオ」よりも「シエラのように」やという直感があったので、"バイプレイヤーズ"のオープニング・テーマは「アオ」のほうになりました。この"アオ"は青臭い、青二才という意味ではなくて単純にブルーやなって。切ない、儚い、寂しいというイメージですね。

-曲調からもまさにそんな雰囲気が漂ってますよね。

はい。そういう内容やからこそ、かっちょいいロックに仕上げたほうがいいなと。

-とはいえ、「アオ」には先ほど言ったような切なさや寂しさ、より哀愁感の増した曲調になってます。

湿っぽくても、火花が散っていたら大丈夫だろうって。10-FEET流のロックになると信じて作りましたからね。

-リリース当時衝撃的だった「ライオン」(2006年リリースの7thシングル)の切なさともまた色合いは違いますよね。

あぁ、そうですね。より思ったまんまを歌っているし、歌詞にするんやったらこういうふうにやったほうがいいんじゃないかと。加減なくやりましたからね。歌詞は素直にできました。ほんまは、もっとゆっくり聴こえて、文字をひとつひとつ捉えられるような伝え方をしたかったくらいで、言葉の譜割としては勢いがあるほうやと思うんですよ。以前は"こういうふうに歌うのはもったいない"とかよく考えていたけど、(言葉が)流れてしまってもいいやと思えたんです。この曲を作るうえではそれでいいんやなって。ロックのテンポ感で言葉を歌えば結果的に伝わるかもしれない。そういう確信を持てたので、より伝わるためにみたいな部分は考えずに、ストレートに表現できたと思います。だから、ライヴでまたよく聴こえるようになったり、より印象が強くなったりしてなんぼやなと思ったんですよ。自分がこうや! と思う表現に対してあまり細かく考えたり、悩んだりするよりも、思うがままに表現したほうが伝わるやろうと。

-"いつかまた二回目の純粋さ/みたいな作り上げた優しさの本当の意味を知って"の歌詞には、どんな思いを込めているんですか?

......子供の頃のピュアさ......サンタクロースは絶対おるとか。大人になっておとんが買ってきてたんやってわかるわけじゃないですか。それでも、どこかにサンタクロースがおるかもしれんやん。わかってるけど、そういうことは言わへんねんって自分で意識的に自分をピュアに持っていくというか。知ってしまった以上はもとの知らない頃のピュアさに戻るのは無理なので、事実上は戻れへんなぁと思って生きてきたけど。ほんまは性格が悪いのに一生懸命優しくして、表面上は誰からも優しくて、その優しさに救われた人がいるなら、ええやんって。

-ええ(笑)。

生きてて、そういう場面もいっぱいあるし。自分もポジティヴなことを叫んでいるけど、こういうときは嫌なやつやなと思うこともあるし、いちいちそこに食らっていても、どんどん悪いほうにいくばっかりやから。ピュアゆえに、そうじゃない自分の一面が表れたときに、そこに対してもピュアな人はまっすぐに向き合ってしまって、"どうせ俺なんか......"と思うのはあまり良くない気がするんです。汚れてしまっても、それを言うてもしょうがないから、いかに振り切って純粋な気持ちになれるのか......。それを僕も誰かにずっと言ってもらいたかった気持ちがあったんですよ。作りものでもいいやんという。

-「朝霧を抜けて」も「アオ」に通じる切なさがありますね。

うん、これもジャーンと弾いて出てきた曲だから。以前なら"こういう曲もやってる俺たち"みたいに意識していたかもしれない。そういうものがなくなって、照れずにやれるようになったんです。

-そこも振り切って表現できたと?

今までも照れてないけど、過去の曲と比べたときに、原色が多かった中にちょっと中間色っぽいものが出てきたら、珍しく思えたんです。でも、この曲はとにかく思いっきりやったら大丈夫やろうと感じました。

-そして、「タンバリン」はインダストリアル・メタル色の強いユニークな曲調で、サビではちゃんと10-FEETらしさが感じられる仕上がりです。

ハード・ロック、ヘヴィ・メタルとか、自分の音楽遍歴の相当古いものを持ち出した感じです。最近シーケンスを使うようになって、自然体で俺ららしくやったら面白く作れるんじゃないかって。こういう要素を取り入れても、10-FEETらしくやれば自分たちの音楽になるのがわかってきたから。なんらかの要素を入れようと思うときに抵抗がなくなってきたんですよ。

-TAKUMA君と同世代のリスナーは懐かしく感じるだろうし、若い人には新鮮に聴こえるでしょうね。

それを望んでいるところもあるんですよね。知っている人には"ハイハイ!"と言ってもらいたいし、知らない子には"なんですか、これ?"、"昔、流行ってん!"と伝えたいし。こういうリフやったらLOUDNESS、ANNIHILATOR......もっと速くしたら初期のOUTRAGEみたいになるし、下の3フレットでリフを作ると、みんなこういう感じになりますからね(笑)。やっぱこういうのかっこええなと思いながら作りました。

-そこも自分に素直にやれたと?

楽しかったですよ。NAOKI(Ba/Vo)やKOUICHI(Dr/Cho)はあまりこのへんを通っていないから、新鮮だったと思うんですけどね。

-そこは完全にTAKUMA君のルーツですからね。では、最後になりますが、2021年はどんな年にしていきたいですか?

エンタメ、飲食店が苦しんでいるなかで焼肉屋だけは盛り上がっているらしいんですよ、換気扇があるから。

-え? 締めの言葉が焼き肉屋?

ははははは(笑)。いや、最後にどうやってボケようかなと。

-そういえば、今作の完全生産限定盤は、"男前豆腐店"とコラボした豆腐仕様のオリジナル・ブロック・メモもつくんですよね?

豆腐となじみ深い街に住んでいるし、"京都大作戦"でも"男前豆腐店"とはコラボしているので、京都っぽいしええんちゃうって。それも楽しんでもらえたらいいなと思います。