INTERVIEW
HEY-SMITH
2020.01.06UPDATE
2020年01月号掲載
Member:猪狩 秀平(Gt/Vo)
Interviewer:荒金 良介
自分だけの1本の槍を持ってるやつのほうがかっこいいと思う
-あと、ライヴ中のMCで猪狩さんは何度も"やりたいことをやれ!"と言ってましたけど、あれはどんな気持ちから?
まず、そんなことを言っていたことすら忘れてました(笑)。なんでやろう。すごいことをしたやつよりも、やらかしたやつのほうがフィーチャーされる傾向があるけど、かっこいいことをやってるやつのほうが絶対に偉いはずなんですよ。不倫とか、誰かが捕まったとか、同時期にメディアに流れるじゃないですか。みんな何かを頑張ることよりも、何かをやらかさない方向に頑張ってる気がして。それがほんまに嫌でそういうことばかり言ったんだと思います。やらかしたとか、"桜を見る会"の経費とか、どうでもいいです(笑)。やりたいことをやってほしいんですよ。
-頑張ってる人により多くのスポットライトが当たる世の中であってほしいと?
そうっすね。もちろん悪いニュースも知りたいけど、そっちのほうが大きくなるのが嫌だ。それはおもんない。今はコンプライアンスが厳しくなってるからなのか、テレビや音楽とかすべてが横並びで、もっといろいろあってもいいんじゃないかと思います。
-「Soundtrack」で歌ってる内容はまさにそういうことですよね。みんなが自分なりのやり方を突き詰めていけよって。
うん、そう思います。あと、みんな目に見えるものや目に見える噂を気にしすぎ。もっと目に見えないものを信じたほうがいいと思う。そういう気持ちで歌詞を書いたんで。目に見えないものを信じる、それがあの曲のテーマですからね。
-目に見えないものを信じる。もう少し言うと、どういう意味を込めて?
自分が想像する夢、未来とか......自分の心の一番奥にしまっているもののことですかね。他のステータスなんていらないくらい、それが一番大事やと思う。ちょっと話は変わりますけど、俺は大阪の人間で、初めて東京に来たとき大阪ってクソ田舎やなと思ったんですよ。で、NYに行ったときに東京は田舎やなって感じたんです。ただ、NYや東京の人はいろんなことを知ってるでしょうけど......俺は大阪の田舎で生まれて、すっごく狭い部屋で自分の好きなことをずっと突き詰めていたから、そういうやつのほうが、いろんなことを知ってるやつよりも勝てるでって最近めっちゃ思うんですよ。いろんなことを知ってるやつほど何もできへんし、突き詰めるのは狭い部屋で十分なんです。みんなSNSでいろんな南の島に行ったとか書き込んでるけど、ひとつだけきれいな海を知っていれば十分なんですよ。俺はたくさん武器を持ってるやつよりも、自分だけの1本の槍を持ってるやつのほうがかっこいいと思う。
-今、猪狩さんにとって大切なものはなんですか?
友達じゃないですか。それ以外は何もいらないし、それがあればいいかな。ツアーでいろんな国に行くから、世界は広くて果てしないと思っていたけど、仲いい友達と音楽があり、酒を飲んだら、どの国も同じなんですよ(笑)。世界は自分が思うよりも、広大じゃないなって。好きな友達が数人いるだけで人生は超ハッピーですね。昔はアメリカに生まれた人がうらやましくて。音楽で世界1位を獲るならアメリカに生まれたほうが有利じゃないですか。けど、最近はそう思わなくなって"日本最高! 俺の周りの友達最高!"って本気で感じてます。あと、今はアメリカから出てくる新しいパンク・ロックは皆無だし、日本はパンク、ラウド、スクリーモがガンガン出てきて、そいつらがアメリカで動員してますからね。アメリカにボディブローどころか、1ダウンぐらいいきかけてる。この感じがたまんないっすね。アメリカでツアーに行っても、SiM、coldrain、Crossfaithを観たほうがかっこいいですから。こっちは日本という小さな島国でやり狂ってきたから、"やったぜ!"って感じです。まだまだアメリカや東京をコテンパンにしばきたい。はははは(笑)。
-あ、東京も入っていると(笑)。
はい、大阪の人間なんでね。
-ライバル心があるということですか?
めっちゃありますよ! 絶対に大阪からいろんなカルチャーを出してやるからな! って。大阪は日本のカリフォルニアだと考えてるんですよ。(東京が)中心なのは知ってるけど、いや、カルチャーは西から出して、それを東で回せばいいじゃない? って思ってます(笑)。僕は一生東京に対してはライバル視しますよ......これなんの話ですか(笑)?
-このへんで話を戻しましょう。ツアー・ドキュメント映像も観ましたが、改めてCrossfaithは日本人とは思えないノリがあるなと(笑)。
Crossfaithヤバいっすよね! 俺ら、付き合いも長いし10代から知ってますけど、あいつらは人の家に土足というか、厚底ブーツでガンガン入ってきますから。
-ははははは(笑)。
SiM、coldrainでさえ気を使うけど、Crossfaithはないですね。
-それと、ファイナル・シリーズのZepp Nagoya公演で、猪狩さんは盗撮してる人に対して怒ってましたね。
SNSでも言ってるし、会場やチケットでも映像はダメと言ってるのに、盗撮する人がいたから、意味がわからないというか。こっちだけ権利を侵害されているのがムカつくんですよ。撮ったらダメと言ってるんだから、なんらかの罰則を与えてほしくて。著作権侵害やし、こっちだけ常に我慢する状況が嫌で。あの日は数人撮影している人がいたから、アンコールは"やらない!"と言って帰っちゃったんですけどね。自分でも今回の映像を観て"こんなにキレてるの?"って思いました(笑)。
-猪狩さんの背中を見るだけでキレてるのがわかりました。
はははは(笑)。根っこにある気持ちは嫌と言ってるんだから、止めてくださいってことです。撮影している姿を見ると、それをどこかにアップするのか友達に見せるのかわからないけど、それでライヴに集中できない何秒間ができるから、それがすごく嫌なんですよね。
-わかりました。あと、恒例のお楽しみ特典映像もめちゃくちゃ面白かったです!
ストロングゼロを飲む企画は面白かったですねぇ。あれでもだいぶ削ってるんですよ。マジで、なんでこんなこと言ってるの? っていうギリギリ使えるところだけを使ってます(笑)。森さん(レーベル社長)から"素を見てもらうのはどう?"と言われたんで、ほんまに素ですからね。あれが面白いかどうかわからなくて。
-最高でした! あとは乗馬ですね。最も"ピュア・フリーダム"な猪狩さんが出てて、あの恋の行方が気になります。
ははははは(笑)。ここでは語れないですね。僕はああやって日々ガールハントしてるんです。