INTERVIEW
a crowd of rebellion
2019.11.28UPDATE
2019年12月号掲載
Member:高井 佑典(Ba) 近藤 岳(Dr) 小林 亮輔(Vo/Gt) 宮田 大作(Vo) 丸山 漠(Gt)
Interviewer:米沢 彰
-続く「MEI」は速いテンポのままどんどん展開していく圧巻のトラックに仕上がっていますね。ギター・ソロからの展開は今までなかったような新鮮なパートに感じました。
丸山:パンク・バンドみたいな、軽くていいかなって単純なところも取り入れたほうが面白いなって思って。
-その展開からのウィスパー・パートもすごく印象に残るというか、脳にぶっ刺さる感じなんですよね。
宮田:あれはすごく考えました(笑)。周りの音もなくなって、俺の囁き声だけっていうのを初めてやって。「MEI」は新しいこともやりつつ、俺たちの剛速球を出しつつ、でもまとまってるっていう。不思議だけどカッコ良くて、ダークで、俺たちがもともと持っているところを研ぎ澄ませたかなと思っています。
-すごく不思議な曲なんですよね。どうやってこんなに豊富な展開ができていったのか。
宮田:俺も聴いてて不思議で。最初のいろんな人たちが暴動を起こしている感覚から、亮輔のサビになったら、おー、なんだろこれって(笑)。亮輔のサビからのシンガロングは誰も想像しないんじゃないんですかね。
-普通に行くと違和感が出ちゃうような展開も包み込める腕力というか、バンドとしての包容力がある今ならできる曲という感じがしますね。最後の締めとなる「Utopia」はすごく透明感があって、リベリオンの新しい境地を見せてくれているというか。ヴォーカリストとして大きなトラブルを乗り越えてきて、今このヴォーカル・ラインを聴かせてくれるのは本当にすごいことだなと。乗り越えたからできた曲なんだと聴いてて思いました。
小林:本当に難しかったです。治って最初に録ったのが「Utopia」で、宮さんもシャウトの前にクリーンを録る。結構クリーンが多くて。ふたりでわかんね! ってなって(笑)。
宮田:どうやって歌えばいいかわかんないんですよね。
小林:でもそれを乗り越えて、乗り越えたからある曲って捉えていただけるのはすごく嬉しいですね。まさに回復明け1曲目、試行錯誤しながらですけどバチっといいのが録れた。
-上の音域がクリアに聴こえて、同じ人の声だなって思うんですけど、変わったのが一番感じられます。
宮田:家で、アコギ弾きながら練習したりするんですけど、やっぱり違うなって自分でも感じるんですよね。レコーディングとなるともっとハッキリ出るのでより際立ってくるのかもしれないですね。
小林:あとこの人の腕が上がった(笑)。(丸山の腕を取りながら)
宮田:それもある(笑)。
-(丸山さんは)本当にいろいろやってますもんね。ジャンルも、世代も若手も含めていろいろやられてるんで、やっぱりそういう経験がバンドにフィードバックされることはあるのでしょうか?
丸山:いろんな所で勉強させてもらって。シンセの使い方とか、バンド以外でもいろんな人と接してきて、スキルも上がったところはありますね。バンドっぽくないシンセの使い方だったり、それをうまいこと取り入れることも学んだり。それは「Utopia」にも反映できたのかなって思いますね。
-たしかに「Utopia」は脱バンド感がありますね。
宮田:それはもともとそう思ってたんです。「Dystopia」があるんで。漠に言ったのは浮遊感。空を飛んでて、スピードが速い雲の中を進んでいくみたいなイメージでした。
小林:さらにそこに"トラップ"と"ゴスペルっぽい"のが欲しいっていう注文をしたら、全部入れてくれて。すごく気持ちいい感じになりましたね。
-4曲ながらにそれぞれすごく濃いトラックに仕上がっていると感じましたが、みなさんそれぞれ個人的に思い入れのあるトラックをうかがってもよろしいでしょうか?
近藤:3曲目の「MEI」とかは今までゴリ押ししていたパートをさらにゴリ押ししちゃったからまた大変だなって。それと対照的に「Utopia」では軽やかな感じにまた違うアプローチができたんで楽しかったですね。
高井:僕も「MEI」ですね。レコーディングはだいたい自分のパートでいっぱいいっぱいなんですけど。ベースなのでドラムだけ聴きながら録ってて、初めて自分のことより他のメンバーがかわいそうだと思いました。
宮田:岳がかわいそうだったよね。漠、岳のこと嫌いなの? って聞いて(笑)。
丸山:いろんな曲の鬼パートを詰めましたね。
-毎回ライヴを観るたびに、リベリオンはリズム隊がものすごく大切なんだなって思っています。いぶし銀的な感じですけど、めちゃめちゃ正確で丁寧なんですよね。
宮田:このふたりがいるから好き勝手できる!
小林:たしかに! このふたりがガシッとしていなかったら、グッチャグチャになってるね。
高井:ライヴ中、3人はいつもよく喋ってるんですけど、俺たちふたりはいつもなんも喋んないんです。それどころじゃなくて。
-(笑)そうなってもしょうがないですよ。その3人はいかがですか?
小林:僕は完全に「Alone//Dite」ですね。もう何から何まで歌詞が変わったんで。いろいろ決めてレコーディングには行ったもののハマらなくて、ここまで浮かばないことってあるのかって思うくらい悩んだんです。もう俺これ以上出せないなって思ってたら、3人で歌詞を作っていく感じになって。それで録って聴いてみたら、めちゃくちゃハマってるし、納得して流れで聴けるなと。聴いててすごく気持ちいい曲になりました。なので僕は「Alone//Dite」が一番印象に残ってますね。
丸山:個人的に大変だったのは「MEI」ですね。高速すぎて筋肉の痙攣が。
宮田:(ライヴで)絶対できないって(笑)。
丸山:でもちゃんと再現できるように努力します。
-歴が長くなってくるとギター・ソロがシンプルになっていくパターンも多いですが、リベリオンは今ここにきてこうくるか、ってちょっと衝撃を受けました。
丸山:逆に古いみたいな感じもありますけど。
宮田:絶対できないって(笑)。
丸山:大丈夫だって。安心してみなさんには見ていただきたいですね(笑)。
宮田:俺は「Utopia」ですね。「Alone//Dite」は神話に基づいた話で、「MEI」も普段できないことをやっちまえって感じの曲で、「Utopia」は普段ふっと考える内容を書けたなと思っていて。特に2番の"スワル、ベンチの、足元でだって命は終わっていく"って歌詞は自分的にもよく書けたなって思ってて。何気なく座っているベンチの足元でも例えば虫を踏んづけているかもしれないし、花を踏んづけているかもしれないし、その地面の下には誰かの死体が埋まっているかもしれないし。そこで命は終わって、自分も同じように終わっていくんだっていう、そういうすごく大事なこと、生命が循環していることとか、そういうことをふっと書けたなって思います。
-「Utopia」って本来の意味はもっと明るいイメージのはずが、サビで別れについて歌っていたりして、この曲はすごく気難しい曲だなと思いました。
小林:それはたしかにそうですね。
-最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
小林:いろいろご迷惑とご心配をおかけしたと思います。本当に申し訳なかったです。改めて当たり前は当たり前ではないんだよって、当たり前をもっと大切に怖がってほしいなって思いました。だからみんなも当たり前を大事にして毎日を過ごして、仲間とか家族とか、いろんな人を大切にして、何より自分を大切にして、これからも生きていってほしいな。その生活の中に僕らの音楽があったら素敵なことなので、ぜひ今回の『:12_White』って作品を聴いて"頑張るぞ"とか、そういう前向きな気持ちが芽生えてくれたら嬉しいなと思います。僕らもZepp DiverCity公演を万全な状態にして頑張りますので、これからもまたよろしくお願いします。