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INTERVIEW

10-FEET

2017.01.23UPDATE

2017年01月号掲載

10-FEET

Member:TAKUMA(Vo/Gt) NAOKI(Ba/Vo) KOUICHI(Dr/Cho)

Interviewer:西廣 智一

-では、その「ヒトリセカイ」について、もう少し詳しい話を聞かせてください。この曲からは、熱のこもった3人の演奏で言葉を伝える楽曲という印象を受けました。例えば言葉を伝えるためのアレンジを考えたとか、そういう工夫はあったんでしょうか?

TAKUMA:たぶん楽器の弾き方自体はそういうアレンジになっていると思いますけどね、3人とも自然と。

NAOKI:僕はこの曲のサビに強さを感じて。サビの歌、メロディ、言葉から壮大さを受け取って、そのノリをより広げるところに意識を持っていきました。

KOUICHI:壮大さに繋がるのかもしれないけど、細かいことをやるよりリズムを大きく見せるというか、そういうことを意識してシンプルに叩いてます。

-なるほど。この曲の歌詞は、今回の3曲の中で唯一英詞や英語のフレーズが入っておらず、そこに前作「アンテナラスト」と通ずるものが感じられます。そういう表現の仕方や言葉の使い方において、ここ数年で何か変化はありましたか?

TAKUMA:基本的に、人と人というのはみんながみんな、わかり合えないのかなと思うことがすごくたくさんあって。で、わかり合えなかったり考え方が違ったりするので、自分にないところを感じて好きになったり尊敬したり、逆にわかり合えずに争ったりということは昔からずっとあると思うんです。やっぱり平和でも仲が良くても、その中で意見が分かれたりとか合わなかったりとかいう小さなことは、みんな常にあると思うんですけど、合わなくて衝突したり別れがあったり、そういうことで傷ついたり後悔したり悔しい思いをしたりすると、記憶として深くなっていくというか、印象が強く残っていくのかなと。もちろん、楽しいこともそれなりに残っていくんですけどね。そう思うと、結構しんどいことの方が印象的なのかな、わりとはっきり覚えてるなって。

-たしかに、ポジティヴなことよりもネガティヴなことの方が強く残ることは多いですし。

TAKUMA:で、今言ったようなことというのは僕だけじゃなくて、わりとみんなそうなんじゃないかなと思っていて、そういうものをわかり合うための最大のツールとして言葉があると思うんです。言葉は生きていくうえで良い場面も悪い場面も作る、その理由や原因になることが多いってところから、ちょいちょい僕の中から"言葉"というワードが出てくるのかもしれないですね。

-そのへんが、この曲の最後に出てくる"言葉のない遥か大昔/それなら今より少しは分かり合えたかな"というフレーズに繋がるんでしょうか?

TAKUMA:はい。

-だけど、その言葉に希望を託したいという気持ちがあるから、歌に乗せているわけですよね。

TAKUMA:そうですね。

-一方で、2曲目の「火とリズム」は「ヒトリセカイ」とは対照的というか。「ヒトリセカイ」が言葉と歌と演奏の三つ巴でがっつり訴えかけてくる曲なのに対し、「火とリズム」は言葉の響きで遊んだりするミクスチャー・ロック感が強い。そういうところが従来の10-FEETらしいですよね。やりやすさといったらおかしいかもしれませんが、作りやすさ、表現しやすさという点において、今回の2曲の間に違いはありますか?

TAKUMA:「ヒトリセカイ」みたいな曲は、歌いたいことや強い思いや言いたいことがあって、そこに何かしらの色というか世界観......夕日っぽいのか、雨っぽいのか、曇りっぽいのか、暗いのか......わからないですけど、何か強い思いがあればすごく作りやすくて、元ネタもわりと早くガッとできあがるんです。でも、そういう思いがないときはいくら頭で考えても再現できないというか。2曲目の「火とリズム」に関しては、自分に元気さえあれば、あとはこれまでやってきた音楽の筋肉と楽しい思いをぶつけることの方が重要で。もちろんその中にはメッセージもあったりするんですけどね。今回はそういうタイプの違う曲が近い時期にできあがって、すごく良かったと思います。

-例えば制作するうえで、そこのバランスが偏ってしまうことって今までありましたか?

TAKUMA:結構あったんじゃないかな。意図的に偏ったときもあれば、無意識のうちに偏ったときもあったと思います。

-これはリズム隊のおふたりに聞きたいんですが、「火とリズム」のリズムを作るうえでこだわったポイントや工夫したところはありましたか?

KOUICHI:特にBメロですかね。元ネタをTAKUMAが作ってきて、デモの状態で聴いてアイディアを詰めていったんですけど、この曲はBメロに僕の中にはないフレーズが入っていたんで、TAKUMAが考えたフレーズを1回プレイしてみて、そこからちょっとアレンジしたんです。今までの10-FEETにあんまりないような形で、面白いアプローチになってると思います。

NAOKI:僕はAメロのグルーヴが大事だと思って、そこにかなり注力してます。あと、間奏にあるベースのリフっぽいフレーズは、ああいう曲の空気感で何か面白いフレーズが欲しいってことで、考えるのにちょっと時間がかかりましたね。

-この"火とリズム"というタイトルですが、"火"と"リズム"というワードを並べることで何を伝えたかったんでしょう?

TAKUMA:このタイトルは「ヒトリセカイ」の曲名を考えてるときに出てきて。2曲とも頭文字3つをカナにしたら"ヒトリ"と一緒なんですけど、なんかすごくしっくりきたんですね。"火とリズム"みたいにカタカナと漢字を使った場合と、カタカナだけで"ヒトリズム"と表記したときとでは全然意味合いが変わるというか、入ってくるイメージがこれだけ違うのも面白いなと思って。だから何かを伝えるというよりは、直感的なところが大きいかもですね。"あ、これや"っていうふうに。そのぶん、3曲目の「[final day]」が浮くっていうね(笑)。

-唯一、アルファベットですからね(笑)。「火とリズム」の歌詞を読んだときに興味深かったのが、こちらにも"言葉裏を透かし見て/太陽呪ってた"というフレーズが出てくること。"言葉"というワードは前作「アンテナラスト」を始め、「ヒトリセカイ」やこの曲の歌詞に登場します。

TAKUMA:物理的にいっぱい出てきてますね、はっきり言って。意識はしてなかったですけど、たぶんそういう類のことというか、コミュニケーションみたいなものが題材になって、そのコミュニケーションがあって今度は関係ができていってというところを、この数年間すごく考えてたんだろうなっていう。ただ、その"言葉"にフォーカスを当てたのは前回の「アンテナラスト」だけなんですけど、時期的にそういう人の思いがテーマだったので、そりゃ"言葉"というワードはバンバン出てくるよなって感じです。