INTERVIEW
HEY-SMITH
2013.05.11UPDATE
2013年05月号掲載
Member:猪狩 (Gt/Vo) Task-n (Dr)
Interviewer:荒金 良介
-アメ村周辺のクラブは壊滅状態らしいですね。
猪狩:壊滅ですね。全く人がいないです。俺、レゲエの友達がいて、クラブにも行ってたんですよ。そのときにいきなり警察が来て、音止められたんですよ。これ絶対使ってほしいんですけど、警察官の1人が“絶対潰したるからな!”って帰って行ったんですよ。俺、めちゃくちゃムカついて、“絶対潰されへんぞ!”と思って。今ちょっと動いてて、風営法を根底から覆すイベントもやろうかなって。
-マジですか?
猪狩:はい。そのイライラがこの曲に全部詰まってます。すごく腹が立ってるんで、その気持ちを超明るく歌ってやろうと(笑)。
-あと、「I Hate Nukes」という曲もありますが?
猪狩:「I Hate Nukes」に関しては、正直そんなにムカついてないっす。いや、ムカついてないと言ったらウソになるけど……ムカつくというより、怖いんですよね。こういう問題があるから直せよって、真正面から訴えてるわけじゃなくて。とにかく怖くて、謎で、危ないという印象しかなくて。“ほんまやめて!”って感じですわ。普通に怖いから、やめてくれやって。
-より自分の心情に近いリアルな感情を書いて?
猪狩:そうっすね。前やったら、“やめろ!こんな問題あるやんけ!”という曲になってたと思うんですよ。でも今回は全部自分に書いてるんで、怖いから、ほんまやめてっていう曲になってるんですよね。
-リアルな感情が出てきたことで、曲作りにも影響を与えてます?
Task-n:伝えたいことが音楽に出ているかどうかは、正直わからないです。例えば怖い、悲しい、嫌だ、ということを、楽しく、明るく聴かせられるのが音楽やと思うんで。
-HEY-SMITHも作品を出すたびにファン層が増えていく中で、責任感であったり、本当の自分たちを知ってほしいという気持ちも強くなってます?
猪狩:うん、ほんまの自分を知ってほしい、というのはありますね。自分を曝け出したり、バンドのことを曝け出すことが嫌じゃなくなったというか。常にかっこつけなきゃいけないと思ってたんですけど。最近は人間味や情熱が前に見えるものに、俺は心が動くんですよね。自分の非や弱さも認めて、それでもやる!という方がかっこ良く見えたんですよ。これ使えるかわからないですけど、Mukkyの耳の状態が悪くて、全然歌えなかったりした時期があったんですよね。
-それはいつ頃ですか?
猪狩:去年の秋ぐらいから、今もまだ続いているんですけど、ちょっと良くない状態なんですよ。それで一度活動どうしようかって、考えた時期もあったんですよ。でもあいつがそれでもやりたいと言うんで。無様でも一生懸命やって、そこに情熱を乗せる方が俺はバンドとしていいなと思って。100点のものを届けたいんじゃなくて、100%のものを届けたくなってきて。気持ちが100だったら、それでいいでしょって。そう考えると……なんか曝け出せるようになった。
-今作にロックを感じるのは、そこかもしれない。ハートが何より楽曲の前に来ているという。
猪狩:ほんまそうですね。技術よりもお互いに曝け出して、気持ちでぶつかり合ったものが出てるんじゃないかな。
-これは個人的な感想になるけど、過去の作品を聴き返していると、今作は1stミニ・アルバム『Proud and Loud』の質感に近くて、あの作品ってすごくロックなんですよね。だから、位置付け的にはややこしい言い方になるけど、あのロック感に初期衝動がプラスされているから、『Proud and Loud』の1個前のアルバムみたいな印象があって。
猪狩:ああ~、なんかわかりますね。これの1個前って言われると、すごくわかります。
-ほんと?
猪狩:俺も昔の作品を聴き返してたら、『FREE YOUR MIND』より『Proud and Loud』の方が近いなと思って。
-ちなみに、『Proud and Loud』のときはどんなことを考えてました?
猪狩:何も考えてなかったと思う。
Task-n:それが逆にHEY-SMITHの音になってたんじゃないかな。この5人で出せる音を表現しているし、今回も5人の人間味が混ざり合った音になってるから。作ろうとして作ってないというか。
-では、レコーディング自体はどうでした?
猪狩:大難産でしたね、ははははは。こだわる部分が変わってきましたね。うまく録れてなくても熱いものは残したりして、その線引きがめっちゃ難しかった。熱いものを残そうとすると、単純にヘタに聴こえたりするし。その絶妙なラインを判断するのが難しくて。これは熱いのか?ヘタなのか?って。