LIVE REPORT
Unlucky Morpheus
2024.11.08 @豊洲PIT
Writer : 杉江 由紀
激しく、いかつく、美しく。始動から15年を超えて16周年に突入した今年、"あんきも"ことUnlucky Morpheusは、9月に、TVアニメ"なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?"のOP主題歌を収録したシングル『世界輪廻』を発表し、この秋にかけては、"Unlucky Morpheus 15th Anniversary Live Tour『REINCARNATION』"を実施し、その重厚にして流麗なメロディック・メタルの調べを、全国各地へ届けていくことになったのである。
"いよいよ始まったな! 3年ぶりの豊洲PITです! 前にここでやったときは、みんなにライヴで声を出してもらうつもりで作ったアルバム『Unfinished』の曲たちを、声なしの状態でやることになりました。でも、今日は思いっきり声を出せるぞ!"(紫煉/Gt/Scream)
もう3年、あるいはまだ3年とも感じるが......初の豊洲PIT公演となった"Unlucky Morpheusワンマンライブ『XIII』"から、それなりの時間が経っただけあって、この夜の彼等は、あの頃よりも格段に、バンドとしてスケールアップとボトムアップを果たしていたように思う。
そもそも、本ツアーに関しては、5月末に1stアルバム『what is DEATH?』を発表した新業態プロジェクト、Unholy Orpheusが各公演においてO.A.を務めるかたちとなっており、前述した紫煉によるMCは実質"あんほり(Unholy Orpheus)の紫煉(Scream/Gt)"としての言葉だったのだ。あんきもよりもデス要素を色濃くしたあんほりのサウンドは、カレーで言えば黒カレーのようなコクの深さとスパイシーさが強調されたような味わいで、紫煉のデスボと楽器陣の繰り出す熾烈にしてドラマチックなプレイは、「Slave Domination」等を筆頭に、ことごとく聴衆のメタル魂をダイレクトアタックすることになったと言っていい。
無論、この後に続いた本家、あんきもはメタル道をひた走っての満15年且つ16年目だけあって、懐の深さという面では、やはり圧倒的なアドバンテージをパフォーマンスの端々から感じさせてくれていたのではなかろうか。Fukiの伸びやかな歌が映えるあんきも流極上アニソン「世界輪廻」、FUMIYAの超速ツーバスに仁耶&紫煉のメタリックなギター・ワークと、Jill(Vn)の鮮やかな弓さばきや、Hiroyuki Ogawaの豊潤な響きを含んだベースが共鳴していく「Serene Evil」、いい意味でメタルの領域を逸脱したポップ・センス満載の「アマリリス」と、冒頭3曲を聴いただけでもやはりあんきもの音は貫録たっぷり。
また、本編中盤ではワンマンならではの趣向として、「夢幻」と「鎮昏歌」で紫煉が鍵盤の前に座り、仁耶がアコースティック・ギターを弾いてみせた、"じっくりしっとりと聴かせる"くだりも実現し、ここでもあんきもの懐深さが大いに発揮されていた。加えて、セトリの随所には各メンバーのソロ・コーナーも挟み込まれていたほか、アンコールでは、「Make your choice」にて、楽器陣によるソロ・バトルまで堪能することができたことを考えると、この夜のあんきもが展開してくれたのは全部盛りのライヴだったことになろう。
"Unlucky Morpheusは2008年から始まって、それぞれみんな音楽的なキャリアもありながら、この6人でここまで進んできました。そして、2025年には次のツアーも決まってますし、新曲も出ます。もうMVも撮ったしね! これからもあんきもは歩み続けていくので、皆さんよろしくお願いします!"(Fuki)
激しく、いかつく、美しくのスタンスで我が道を邁進し続けるあんきもにはもはや前途ある未来しかない。
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