LIVE REPORT
AA=
2015.11.21 @新宿ReNY
Writer 吉羽 さおり
今年6月に世田谷区内3ヶ所のライヴハウスで3夜連続のツアー"SETAGAYA TOUR 2015 -COMPRESSOR!!!!!-"を行ない、バンドのこれまでとこれからを超濃厚に圧縮して魅せたAA=。そこから約5ヶ月。"AA= TOUR THE NEXT"と冠した今回のツアーは、大阪、名古屋、そして東京を回り、"NEXT"フェーズに向けさらに踏み込んだ、進化を続けるバンド、AA=を見せるステージとなった。
ツアー・ファイナルとなったのは新宿にあるライヴハウスReNY。フロアを埋め尽くすオーディエンスの熱気で、開演前からじわりと汗をかくような会場は、爆音のSEが流れステージ前のスクリーンにバンド・ロゴが浮かび上がると同時に、凄まじい歓声と拍手、そして昂揚感で包まれていく。"いけるか! 暴れる準備はできてるか?"という上田剛士(Ba/Vo/Prog)の声から、ノイジーなサウンドと四つ打ちビートで会場を揺らす「4LEGS GOOD, 2LEGS BAD」そしてアグレッシヴなハードコア・ナンバー「I HATE HUMAN」へとなだれ込んでいく。ステージから身を乗り出し、前列のオーディエンスに身体をあずけるような形で声を上げる上田、そして白川貴善(Vo)がフロアを煽るように攻撃的なヴォーカルを叩きつける。間髪入れずに「PEACE!!!」を見舞うと、会場はピースサインであふれ大きなシンガロングが巻き起こる。早くもフロアはもみくちゃだ。
"まだまだこんなもんじゃないだろ。ついてこれますか?"。この上田の問いかけのあとからは、さらにシーケンスとバンド・サウンドとのせめぎ合いで、オーディエンスを興奮の渦へと叩き込んでいく。「INDUSTRIAL」、「BASS JUNKEES」と曲が進んでいったところで、どうやら今回のライヴは、1stアルバム『#1』から2ndアルバム『#2』......とクロニクル的にセットリストを組んでいるようだとわかる。オーディエンスもまた、その興奮とともにグッとテンションが上がり、歓声にも力がこもるのが伝わってくる。警報のような緊張感のあるシンセに、児島実(Gt)の硬質なギターと肉体的な金子ノブアキ(Dr)のドラミングが重なりスピードを上げていく「GREED...」に、オーディエンスは大きなステップを踏み、コブシを高く突き上げ、前半を折り返した。"もうわかってると思うけど、ぶっ飛ばしていくから。「NEXT WORLD」へ突っ走るので、しっかりついてきて欲しい"と上田。ノンストップの爆走は、まだ続いていく。
後半のブロックは3rdアルバム『#3』、そして4thアルバム『#4』からの曲が並んだ。ブレイクビーツとへヴィなギターによる重厚なサウンドをバネに、白川のラップと上田のメロディアスなヴォーカルが高く飛び上がって曲のレンジを広げていく「posi-JUMPER」、インダストリアルとポップなディスコ・サウンドとが融合したかのような「sTEP Code」で、フロアのジャンプが一体感を増す。徐々に映像や、照明が派手になって、「WARWARWAR」ではステージからのかけ声と、フロアからの大きなかけ声とが真正面で衝突するかのような、激しいコール&レスポンスが響きわたった。そして後半は、AA=、上田剛士の描くメロディアスなメロディが、エモーショナルに泣きの琴線に触れる「HUMANITY2」、「Lasts」で涙腺を刺激。「II:Repeat:II」では児島がスカのリズムでギターを刻み、軽やかにオーディエンスを躍らせる。緩急のあるビートと美しいメロディに揺られる、ジェットコースターに乗ったようなブロックだ。そしていよいよ終盤は、上田が語る"NEXT WORLD"へといざなっていく。まずは上田のシーケンスと金子のドラムのかけ合いによる、緊張感に満ちたセッションによる新曲。アドリブ的で互いのインスピレーションでやりあっていく感覚で、スリリングな化学反応がある。会場のボルテージが高まったところで、8月に"AA=×JM-0.8"としてデジタル・リリースされた、「→MIRAI→ (ポストミライ)」を、J.M.(0.8秒と衝撃。)をゲストに迎えて披露した。ミュージック・ビデオと同様にネオン・カラーのウィッグにカラフルな衣装のJ.M.が登場するとステージは、一段と華やいだ。上田がMCで"J.M.さんがスタジオにくると、みんなの笑顔が増えます"と言っていたが、ライヴでもまさに、キュートで毒っぽい新鮮な風を起こしていった。コラボレーションというAA=としては初の試みとなった「→MIRAI→ (ポストミライ)」もまた、"NEXT WORLD"の一端だろう。そして、本編のラストを"AA=!"の大合唱となるAA=のアイコニックな1曲「ALL ANIMALS ARE EQUAL」で締めくくった。
鳴りやまない歓声に迎えられたアンコールでは、このライヴの数日前に突如発表された、Kj(Dragon Ash)とのコラボレートの全貌が明らかになった。"じゃあ、次に出てくるのは今日ふたり目のゲストです。Dragon Ash、降谷建志!"。上田の紹介でステージにKjが登場すると、場内はざわめきにも似た歓声が沸き起こった。上田は、Kjとの出会いのエピソードを語る。THE MAD CAPSULE MARKETS時代、レーベルのスタッフが引き合わせたKjは当時10代。THE MAD CAPSULE MARKETSはアグレッシヴなロックとデジタル・サウンドの融合で日本のラウド・シーンを切り開き、Dragon Ashはまた彼らのフロンティア精神を受け継ぎながら、ロック・シーンを駆け上っていった。それぞれの道を歩みながら、20年近くを経てこうしてコラボレーションを行うのは、とても感慨深いものがある。歓声にもその思いが滲んでいる。"今日はお前のためにベースを弾くよ"という上田の熱い言葉に、笑顔のKj。このシーンだけでも、グッとくる。そして披露された「M SPECIES」は、初期衝動的なハードコア・チューン。Kjと白川によるヴォーカルのアジテーションが、フロアのモッシュを煽り、凄まじい熱気を生み出した。このサプライズ的な1曲を含めて、アンコールでは全4曲。会場内が充実感と暴れ歌いまくった心地よい疲労感で包まれる中、"NEXT WORLD"――『#5』のアナウンスがなされ、ツアー・ファイナルを歓喜の拍手で締めくくった。
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