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LIVE REPORT

SiM PANDORA TOUR 2013 - 2014 FiNAL 2days

@新木場STUDIO COAST

Writer 荒金 良介

SiMの3rdアルバム『PANDORA』ツアー・ファイナル2デイズは、1日目"ONE MAN SHOW"、2日目"DEAD POP FESTiVAL 2014"というバンド主催イベントを繋げたイレギュラーな形を取った。レコ発ファイナルと他のアーティストを交えたフェスを2日間連続でやるのは、あまり例がない。2日間で6000人(1日3000人の満員御礼状態)を収容した両日の模様をレポートしよう。

[ 2014.01.25 ]
初日は完全ワンマンとなり、ほぼ開演時刻19時ジャストに「PANDORA」で幕を開けた。MAH(Vo)は渾身のスクリームで鼓膜を揺さぶり、SHOW-HATE(Gt)、SIN(Ba)はアクション激しい魅せるプレイで引き付け、縁の下を支えるGODRi(Dr)が力強いビートを響かせると、フロアは右往左往に動く。曲の最後にフロント3人がピタッと静止ポーズを決めるニクい演出に観客も湧いた。それから「WHO'S NEXT」のイントロでMAHは華麗に2ステップを踏み、曲調もゴリゴリ一辺倒ではなく、レゲエ、ダブなどテンポ・チェンジで表情豊かに展開美でも引き付ける。"新木場、歌えるか?"とMAHが発すると、コール&レスポンスで会場を1つにして、早くも鋭利かつ重厚なリフが轟くと、「Blah Blah Blah」に突入だ。会場の温度もさらに高まり"oh na na na〜"の大合唱が巻き起こった。"他人である以上、100%理解できない。けど、もう一度理解しようという曲"と説明した後、「We're All Alone」のメロディアスかつエモーショナルな楽曲もライヴでひときわ映えていた。早口言葉風の出だしたかっこいい「JACK.B」で再び焚きつけ、両サイドのSHOW-HATEとSINは体の周りで楽器を大車輪のごとくガンガン回し、盛り上がりは加速する一方だった。中盤にSHOW-HATEは横向きになり、機材を使用してノイズ調のエレクトロでアクセントを付ける「Keep it Burnin'」、MAH自らピアニカを吹いて郷愁感を刺激するスロー・チューン「Rosso&Dry」は、ライヴに新たな色や広がりをもたらす効果を発揮していた。"俺たちは「Amy」「KiLLiNG ME」だけでここまで来たわけじゃない"と言うと、「paint sky blue」を皮切りに「ANTHEM」を続けて演奏。"『ANTHEM』(3rdシングル)をリリースしたときは1000枚も売れなかった。今、合唱してくれて嬉しい!"と万感の思いをまっすぐ届けるMAHの言葉が胸に刺さった。気持ちが高ぶったのか、「Amy」の後にプレイした「wishing」の鬼気迫るスクリームも凄まじく、背筋がゾクゾクするほどだった。SiMはオリジナル・メンバーはMAH 1人だけになるが、今年結成10周年を迎える。結成4年目でSUM41のライヴでこの新木場の舞台に立ち、2010年の"SKULLMANIA"のメインはcoldrainで俺らは外のステージだったと振り返り、"みんなが俺らをもっと大きなステージに連れて行ってほしい!"とMAHは同胞に呼びかけるようなMCをする。何年経とうと、夢を追いかけてくれというメッセージを込めた「Dreaming Dreams」もズシンと響いた。本編ラストは「KiLLiNG ME」で締めたが、これでは終わらない。アンコールでは「Same Sky」、「Get Up,Get Up」、「f.a.i.t.h」の3連打で再びカオティックな空間を作り上げ"ここからまた新しい夢に向かっていく!"と宣言して盛大に幕を閉じた。今日のワンマンは『PANDORA』で提示したSiMの多面性に満ちた音楽性を存分に味わうことができた。一介のラウド系バンドで一括りにできない豊潤な曲調の数々をたっぷり堪能した。特に傑出したメロディ・センスはジャンル云々を超えた説得力がある。それを証明するワンマンだった。

[ 2014.01.25 ]
2日目はSiM主催の"DEAD POP FESTiVAL"となり、開演時刻17時にステージを覆う黒幕からひょこっとMAHが登場! 急遽tricotがキャンセルになったことを観客に詫び、ジャンルを垣根を越えて自分たちがいいと思うバンドを紹介したい、という趣旨を伝える。そして、イキなことに今日のBGMは終始tricotだっとことも付け加えておく。トップバッターは本フェス最多出場の盟友Crossfaithが努めた。頻繁に海外ツアーに繰り出し、演奏力と魅せるパフォーマンスに磨きをかけている彼ら。超ド級のヘヴィさで迫る「Monolith」から、パーティー曲「ECLIPSE」まで縦に横に観客を揺さぶり、ウォール・オブ・デスを誘発する押しの強い演奏に圧倒されっぱなしだった。2番手は橙色のツナギ服で現れたPOLYSICS。今年1月に出たばかりの最新作『ACTION!!!』は"全曲踊れるダンス・ロック作"とハヤシ(Vo/Gt/Synth)が解説していたが、その中から表題曲に加え、「Turbo Five」、「Post Post」などを折り込み、ハイテンションのノリの良さとグルーヴ感で突っ走る。口ずさみやすいキャッチーなメロは、初耳の観客でも歌って踊れる即効性を発揮していたと思う。3番手のクリープハイプがステージに上がると、ザワザワした歓声が上がる。"SiMとは同世代で、すごく気になってて、友達になりたかった。呼んでもらえて嬉しい"と尾崎世界観(Vo/Gt)が言うと、観客も温かく反応する。最初は様子見のフロアも「ウワノソラ」、「HE IS MINE」、「社会の窓」のラスト3曲で激しく盛り上がり、アウェイからホームへひっくり返す光景に驚いた。4番手のムックは「蘭鋳」のイントロから熱い声援を受け、早くも一体感を作り上げる。豪快なスクリームと歌謡曲風メロを使いこなす逹瑯(Vo)、ゴリゴリのヘヴィ・サウンドとの相性も抜群で、エレクトロを織り込んだフレーズも格段に映えていた。"SiMのお客さん、めっちゃ優しい"とメンバーも思わず口から出るほど、熱い交歓風景を生み出していた。さあ、最後はこのフェスのホスト役SiMが2日連続でステージに立つ。「PANDORA」、「WHO'S NEXT」と畳みかけた後、"ペットボトル投げるるのやめようぜ? 投げるなら持って来るなよ"と釘を指すシーンもあったが、"いきなり寒いこと言ってゴメン。ウチらのお客さんが白い目で見られたくないから"と、このフェスを大切にしたいと欲するMAHの勇気のある発言にもグッと来た。「KiLLiNG ME」、「Amy」、「JACK.B」と超攻撃モードの選曲も昨日とは対照的で良かった。本編ラストの「f.a.i.t.h」ではCrossfaithのKoieをゲスト・ヴォーカルに迎えて、会場も大炎上! アンコールはダークかつスケール感のある「Rum」、トドメは「Blah Blah Blah」で締め括った。メディア、政治力に頼らず、自分たちがかっこいいと思うロック・バンドを世にアピールしたい、とMAHは何度も言っていた。"壁を壊す"をテーマに掲げた本フェスだが、この日はSiM以外のアクトでもフロアも激しく盛り上がっていた。その意味では大成功と言えるだろう。"ここから始めるから、見とけよー!"と最後に叫ぶMAHの言葉が実に印象的だった。

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