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LIVE REPORT

SiM

2013.07.21 @SHIBUYA-AX

Writer 荒金 良介

もし僕がバンドマンだったら、自分のレコ発に既にビッグな存在へと登り詰めたONE OK ROCKを呼べるだろうか。余程の自信と覚悟がないと、無理だ。今のSiMには燃え滾るような向上心があるに違いない。怖いものなしだ。今年4月にニュー・シングル『EViLS』でSiMはメジャー移籍を果たした。ここからが本当の勝負だ!と意気込む姿勢は音にも表れていた。バンドの人気を決定付けた前作『LiFE and DEATH』と今回のメジャー第1弾シングルの間には、大きな心境の変化が刻まれていた。前者はウェットな質感があったが、後者は希望を織り込んだ歌詞に比例して、音もより外へ開かれていた。

ツアー・ファイナルとなったこの日は、もちろんソールド・アウトである。会場周辺には入場できなかったファンが"チケット譲って下さい"という手書きの用紙を掲げている。これが100人近くいたそうだ。場内も開演前から異様な熱気に包まれ、そこにオープニングのONE OK ROCKが切り込んでいく。まずTomoya(Dr)のドラム・ソロで幕を開け、そこに筋肉隆々の上半身をさらしたRyota(Ba)が野太いベースを乗せ、それからToru(Gt)とTaka(Vo)が同時にステージに登場!その演出から意表を突かれたが、4人がせーので音を鳴らすと、その爆風がまた半端じゃない。SHIBUYA-AXを飲み込むどころか、軽く吹き飛ばすシャープな轟音を響かせる。Takaは両足を広げてジャンプを決め、両膝を付いて熱唱するなど、気持ちを前面に押し出したパワフルなステージングで魅了した。

19時55分、遂にSiMの出番だ。47都道府県を制覇したレコ発ツアーを締め括るべく、気合いは相当なものだろう。そして、ステージを覆う白いスクリーンには、なんと今秋に『PANDORA』なるニュー・アルバム発売が告知され、映画の始まりのようなブザー音が鳴ると、最新シングルからのリード・トラック「Blah Blah Blah」で火蓋を切った。切れ味鋭いブリブリのギター・リフ、また"Oh na na na na~♪"のポップなコーラスが大合唱を巻き起こし、早くもバンドの独壇場と化す。すかさず「Faster Than The Clock」で追い打ちをかけ、あちこちでサークル・モッシュの渦がウィルスのごとく増加する。MAH(Vo)は電話をかける仕草をした後に「Fall In Love With You」に入るなど、視覚を意識したショー的要素も忘れない。"今日がいい日だと思えますように、命をかけます!サルのように踊れ!"と言うと、「JACK.B」をプレイした。SHOW-HATE(Gt)、SIN(Ba)は楽器を首の周りで1周させるお馴染みのパフォーマンスを見せ、バンドと観客の暴れっぷりは高まるばかりだった。「Set me free」ではすべての観客がスカ・ダンスに興じ、フロアはフライパン上で焼かれるゴマのように激しく蠢いていた。俺は俺、お前はお前と一線引くのが大事と説明した「FiXiT」、観客総出で中指を突き立てた「I Hate U」と、会場との距離感をどんどん詰める手腕はさすがだった。後半の「Amy」、「Same Sky」、「Get up,Get up」、「f.a.i.t.h」の怒涛の4連打で濃密なカオスを作り上げ、本編は幕を閉じた。

まだまだこれで終わるわけがない。アンコールではONE OK ROCKのTakaをゲスト・ヴォーカルに迎え、「KiLLiNG ME」のヴォーカル・パートを分け合い、熱く掛け合うレアな光景に会場も大興奮。最後はラウド、パンク、スカ、レゲエなど彼らの持ち味を総動員したキラー・チューン「Blah Blah Blah」を再び披露し、鮮やかな大団円を結んだ。
ライヴ中盤にMAHは"最初、ONE OK ROCKをナメてた。でも2009年に初めてライヴを観たときに度肝を抜かれた。俺たちがちょっと有名になったら、一緒にやろうぜと言った。お互いにリスペクトしてる"と飾らない言葉で本音を述べていた。ショウ終了後に、2バンドで仲良く記念撮影もしていた。メジャー第1弾シングルのファイナルに力強いエールを送ったONE OK ROCK、それに応えたSiMの剥き出しの情熱が眩しかった。
10月23日リリースのメジャー移籍第1弾アルバム『PANDORA』は一体どのような作品になるのだろうか。期待せずにはいられない!

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