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INTERVIEW

ACME

2025.04.28UPDATE

2025年05月号掲載

ACME

Member:CHISA(Vo) 将吾(Gt) RIKITO(Ba) HAL(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-そうした線引きについては判断が難しいところでもありますね。また、そうした現実とシンクロしている歌詞だけに、この「Modern day witch hunt」の内容は現代を生きる全ての人たちにとって身近なものになっているように感じます。

HAL:それがですね。この歌詞が上がってきた後くらいのタイミングで、僕がACMEとは関係ないところでやってる別アーティストの現場があって、その相手が女子高生のヴォーカリストさんだったんですよ。で、歌詞を作っていく上で彼女が考えていることを反映させてあげたいなと思い、ちょっと"最近、なんか思ってることってある?"って聞いてみたんですけど、僕はその答えに驚いたんですよね。なんか、デジタル・ネイティヴとして育ってきてる世代からすると"いろんなことがすぐに検索すれば分かっちゃうし、いろんな面で選択肢もたくさんあるけど、なんで私はこんなにも全てが便利な時代に生まれちゃったんだろう。オジさんたちはいいよね、不便な世の中っていうものも経験できてて"って感じるらしいんですよ。

将吾:なんで!? 便利な世の中ってめちゃくちゃいいじゃん(笑)。

HAL:オジさんたちはいろんなものが便利になるようにと開発して作ってきたのに、今の子供たちはそれをあんまりありがたいと思わないみたいですよ。SNSに対しても"思ったことを言っても吊るし上げられる"って感じるらしいです。

-それこそ魔女狩りに遭ってしまう、ということなんですかね。とはいえ、よくよく聴くと「Modern day witch hunt」の詞には最後に希望の光を感じさせるくだりも織り込まれておりますので、そこには救いも感じることができるのではないでしょうか。

CHISA:そうですね。全編英詞ではありますけど、サビにも韻を踏む形でポジティヴなニュアンスを含んだ言葉を入れてます。

-しかも、このメロディに対する英詞の載せ方が実になめらかで秀逸です。

CHISA:そこは今回、いつも以上に意識したところなんです。ACMEの場合は海外で聴いてくれているファンの人たちも多いっていうのあるんですが、この曲に関しては日本語で作ったときと同じくらい英詞をなめらかで自然なものに聴こえるようにしたかったし、明確なメッセージも一緒に届けたかったんですよ。かといって洋楽のマネをしてるわけでもないんで、ACMEとしての新境地にこの曲では辿り着けたような気がします。

-新境地といえば、今回「Modern day witch hunt」ではマスタリングをかのTed Jensenに手掛けていただいたそうですね。AC/DC、KISS、METALLICAといったロックの大御所はもちろん、日本のYELLOW MAGIC ORCHESTRAや米津玄師等も手掛けている上、グラミー賞の受賞経験もある方ということで実にグローバルな素晴らしい人選です。

将吾:SLIPKNOTもそうですけど、自分の好きな音楽ってだいたいこの人が手掛けてるんですよ。だからいつかはやってもらいたいなと前から思ってて、今回ついに実現しました。

-リスナー側からすると、CDなりサブスクとして音源化されている曲は全てレコーディング、ミックス、マスタリングの過程を経たものとなりますので、ミックスされた状態からマスタリングでどのくらい音が変わるのか、ということを想像するのは難しいところがあるのではないかと思います。人によってはマスタリングを"ちょっとした最終調整"くらいに捉えているケースもあると思うのですが、ここで改めてマスタリングの重要性というものを読者の方に向けて説明していだだけますと幸いです。

CHISA:できあがった音だけを聴いてたら、マスタリングでどれだけ変わるかっていうのは分かりにくいでしょうね。でも、これがやってもらう人によって全然違ってくるんです。

将吾:Ted Jensenさんの場合、音の拡がりがまず違うんですよ。それにすごいクリア。

-写真で言うとパノラマで高解像度になるようなイメージでしょうか?

RIKITO:めちゃくちゃ鮮明になりますね。

将吾:うん、4Kって感じ(笑)。

HAL:レベルが違いますね。ほんと世界レベル。

CHISA:正直、そこは嬉しい反面ちょっと悔しくもありました。

-悔しい?

CHISA:要するに、今までも自分たちなりの理想とするサウンドがあって、それを常に追い求めてきたわけじゃないですか。『PARTY METAL ANTHEM』でもそこを自力で極限まで突き詰めてきてはいたんですけど、結局"この人に頼むのがゴールなんかい!"っていうところがちょっと悔しかったんです。"やっぱりすごいんだな"ってある種の敗北感を感じてしまったというか。

将吾:もちろん、今まで作ってきた音だって全然悪くないんですよ。俺は今ACMEも含めて計3つバンドをやってるし、それぞれでもいろいろ試してきてて、ずっと"もっといい音にするには?"って考えてきてるから毎回やるたびに向上もしてきたんだけど、それでも"この人に頼むと完璧な100点で返ってくるんだな"ってなったときに、俺も"あぁ、やっぱりそういうことなのか。すげー!"って思っちゃいました(笑)。

-ACMEは今作「Modern day witch hunt」を完成させていくことで、経験値をさらに上積みしたということなのでしょう。ひいては、ここからの"ACME 8th Anniversary Live Tour 2025 -Modern day witch hunt-"も、きっとACMEにとって重要なステップとなっていくはずです。

CHISA:これは昨年からちらちら言ってることなんですが、今年は8周年ということでだんだん10周年の影が見えてきたところなんですよね。そう考えると、この時期って今回のリリースもそうだし、ACMEにとってはいい意味での寄り道ができる大切なタイミングだと感じてるところがあるんです。だから、今度のツアーでも普通にやっていくっていうよりは、みんなで寄り道しながら何か面白いことをやっていけたらいいなと思ってます。この8周年っていう節目で、一回ここまでの形をブッ壊すくらいの勢いでやっていくのもアリなんじゃないでしょうか。

将吾:自分の中ではACMEにとっての8周年であると同時に、長い目で見たらこのツアーは10周年に向けた始まりでもあるのかなと思ってます。

RIKITO:もう片足は10周年に突っ込んでると僕も思いますね。だからこそ、今回はマスタリングの件とかも込みで「Modern day witch hunt」を最高のものに仕上げましたし、MVもとにかくいいものを! ということで撮ってますから、当然ツアーも10周年に向けたいいスタートダッシュになるような景気付けの場にしていきたいです。

HAL:今の時代は5000円くらいの予算でも曲なんて作れるし、実際にそういう曲がアニメのタイアップとか取ってる例もあって、サブスクでしか聴かない人たちはそれに対して"音が悪い"とも思わなかったりするわけですよね。俺等みたいに時間やお金をかけていい音にこだわるっていうのは、エゴの塊だし効率も悪いけど、それでもやっぱり音楽が好きな人たちや同業のバンドマンとかに聴かせたときに恥ずかしくないものをちゃんと作りたいんです。そういう意地とプライドとエゴを貫いてきたのがACMEなので、たぶんうちらのライヴに来てくれる人たちも、そういうACMEの出す音を楽しみにして来てくれてると思うんですね。だから、そこの期待にさらに応えられるようなツアーをしていきたいと思います。10周年までにどれだけブラッシュアップしていけるか、っていうのも楽しみですよ。ここからもっと、ACMEらしさを研ぎ澄ましていきます!

RELEASE INFORMATION

ACME
『Modern day witch hunt』

[ACME]
2025.4.30 ON SALE!!
ACME-019(税込)