INTERVIEW
a crowd of rebellion
2022.01.17UPDATE
2022年01月号掲載
Member:近藤 岳(Dr) 小林 亮輔(Vo/Gt) 宮田 大作(Vo) 丸山 漠(Gt)
Interviewer:米沢 彰
-3曲目の「ZENITH」が現体制としては最初の曲でしたね。楽曲をプレミア公開していましたが、実際に世に出したときの反応や手応えはいかがでしたか?
小林:"デュエル・マスターズ"っていうカード・ゲームをもともと僕と岳はやってて、それがアプリになって、そこでリベリオンと"デュエル・マスターズ"が交わるのって本当に奇跡で。そういう奇跡が起きたことにお客さんもすごく喜んでくれて"すげぇ"とかってコメントを貰って、単純にものすごく嬉しかったんです。歌詞を書いてても楽しかったし、"刺さった"とか"プレイしててテンションが上がった"とかってコメントを見たのは、すごく嬉しかったですね。"戦い"に音楽として色をさらにつけられるってすごく尊いなって思ってて。大会とか行ってもカード・ゲームってすごく孤独で、淡々としてるんですよ。それを自分でも実際に(音ありで)プレイしてみてテンションが上がりましたし、そういう形で関われたのはすごく良かったです。
宮田:"タイアップでもリベリオン全開で行くんだ! すげぇ!"とか、"リベリオンはリベリオンの楽曲で、何も寄せずに行くんだ"っていう声が多かったですね。俺自身、話をいただいたときには"どうせシャウトは少なめで、とか言われるんだろうな"って思っていたんですけど、最初の打ち合わせで"どのくらいの割合でシャウトを入れたらいいですかね?"って聞いたら"リベリオン全開で、100パーセント、リベリオンでお願いします"って言ってくれたんですよ。それにすごく感動して。心の中では"どうせ"って思ってたのに、言ってくれた言葉が180°違ってたんです。そう言ってくれるんなら"リベリオンらしさ全開で行こう"って作ったのが、お客さんにもすげぇ伝わってくれたみたいで。すごくありがたいですよね。お客さんも"リベリオン全開の曲だ"、"こういうときも曲げねぇ"ってわかってくれて、タイアップの話をしてくれた人も"リベリオン全開でやってくれ"って言ってくれたことも、両方ともすごい光栄で、俺たちがやってきたことは間違いじゃないんだなって確信できる曲になりました。
丸山:もともとリベリオンを好きでいてくれた人がそういう反応をしてくれたのも嬉しかったですし、デュエリストの方たちも"何これかっけぇ"って反応をしてくれているのも見て。こういうシャウトとか聴いたことないような人もいたと思うんですけど、そういう方たちの中でも響く人には響いてるっていうのが見られたし、こういう機会を貰ってこういう曲を出せたのは良かったなと思いましたね。
近藤:新体制1発目ということもあったので、そこで自分たちらしい、原点回帰って感じも入れつつ新しいエッセンスもいれつつ、こんな多くの人の目に留まるような形で出す機会を頂けたのはラッキーだったなと思うし、自分たちとしても4人になってからいい1曲目を出せたなって気持ちでした。
-「ZENITH」を引っ提げてのツアー("a crowd of rebellion Presents ZENITH TOUR 2021")も行いましたが、ツアーの反応はいかがでしたか?
小林:コロナ禍でのライヴにはまだ慣れてないなかでのツアーだったんですけど、お客さんもどうしたらいいかわからない、俺らもどうしたらいいかもわからない状況での"ZENITH TOUR"になって。そんななかで「ZENITH」を初披露してお客さんの腕が上がった瞬間に、お客さんは声を出せなくても伝わってくるなって思ったんです。言葉なしでも伝わってくるというか、確かにそこにお客さんはいて、俺らもいて、歌って楽器を弾いて。そのときに返ってくるものは無音だったんですけど、そこに無音以外の何かが確かにあるのが感じられたんです。特に「ZENITH」を初披露したときは、声は出せなくても"うおぉぉぉ!"っていう反応が感じられるようなテンションを感じましたね。
宮田:コロナ禍で、特に俺たちみたいなラウド・バンドのお客さんたちって戸惑ったと思うんですよ。俺らも戸惑ったし。どうやってライヴをやればいいんだろう、どうやってライヴを観ればいいんだろう、って。これまでは左右に分かれてぶつかったりとか、グルグル回ったり、ぶつかったりしてたわけで。この状態でも楽しむぜっていう気持ちを、お客さんと俺らでどんどん形にしていけたツアーだったんじゃないかなって思います。笑いを取っても何も返ってこないっていう状態で、どうやってライヴやればいいんだろうとか考えてたんですけど、逆にそういう余計なことを考えてやってるとクソダサいライヴになるんですよね。だから俺たちは俺たちでやって、お客さんがそのなかでこの状況下でどうやって見えない気持ちを表すかって、(試行錯誤して)やっていってくれたという感じですね。最初はいろいろ考えて面倒くさいことをやってたんですけど、俺らは熱量変わらずにそのままやっていけばいいっていうのがわかっていったし、お客さんはその状況下でどうやって楽しめばいいかが段々わかっていって、それがどんどん積み上がっていった、そんなツアーでした。
小林:アップデートは確実にされていきましたね。公演ごとに上がっていくのがすごく感じられました。
丸山:自分はお客さんにすごく左右されがちなタイプで、ウケてないなって感じると自分のプレイも縮こまっちゃったりして。コロナ禍になってからは、お客さんが暴れてないとダメだとかそういう考えがなくなってきて、こっちはこっちで楽しむから、それがお客さんに伝わって楽しそうな顔をしていればいいやっていうふうになってきたんです。この"ZENITH TOUR"を通して、最初より最後のほうが良くなったと思うし、いい感じのライヴをできたんじゃないかなと感じます。
近藤:今回本当にいいツアーになったなって思えるようになりましたね。最初のほうは本当に手探りで始まったんですけど、毎回どうしよう? どうだった? ってちゃんと話して、次の公演で毎回アップデートしていけて。ファイナルが新木場USEN STUDIO COASTっていう大きな舞台だったんですけど、そこに向けて着々とワンマン・ツアーとして、ワンマン・ライヴとして固めて行けたっていう感じはありますね。本当にいいツアーができたなっていう気持ちが最後に残りました。
-4人でやるということがすんなりと受け入れられているように感じられますが、実際はいかがでしたか?
小林:もちろん寂しいっていう思いはありましたけど、そうも言ってられないですし音も鳴らしたいしライヴもやりたいって思いがあって。寂しいって気持ちを超えてしまうぐらい音を出したいという、それだけでしたね。
-サポートで入った方との繋がりが長いこともプラスになったのでしょうか?
小林:彼が高校生ぐらいのころからずっと遊んでるドラマーで、昔、岳がインフルになったときのサポート・ドラマーが今のサポート・ベースなんです。最近は後輩も増えてきましたけど、唯一気を遣わずに一緒に飯を食えるやつで。曲もしっかり覚えてきてくれるし、プレイも一生懸命やってくれるし、引くところは引く、出るところは出るっていうのがサポート・ベースなのに本当にすげぇなって思えるやつで。一緒にステージに立ったのは、ドラムのサポートをしてもらったその1回だけだったんですけど、今回一緒にツアーを回ってみて、半端な根性じゃないなって改めて思えましたね。"こういうふうに弾いて音数を減らしたほうが、歌が映えるんじゃないか"とかアイディアを持ってきてくれるし。昔から大きな箱でライヴをするときはついてきてくれたりとかしてて。気が置けないサポート・ベーシストですね。
-ファイナルは新木場STUDIO COAST公演で。ワンマンとしては初でしたが、いかがでしたか?
小林:やっぱり感無量でしたね。もうなくなっちゃうんですけど、その前に看板に自分たちの名前が載っているのを見られて、その前で写真を撮られてというのは、死ぬ前に走馬灯で見るんじゃないかってぐらい思い出になりました。あそこで止まる気もないですし、もっと大きいところにこれからも挑戦していきますけど。
宮田:看板の前で撮った写真はもうちょっと格好いいのにすれば良かったなって。
一同:(笑)
宮田:まぁ冗談ですけど、ポップ・パンク・バンドみたいになって(笑)。でも本当にコースト(USEN STUDIO COAST)でやれて良かったなと。いろんなバンドがあそこでワンマンするのを夢見て、最終的に夢半ばで終わってしまったバンドも多いと思うんですけど、バンドの通過点としてしっかりできたのは本当に誇らしいですね。タイミングもギリギリ終わる前にやれて。あと、緊張しました。コーストってすげぇ場所なんだなって、立ってみてよりわかったなって。
丸山:今まで対バンで出たときは入れなかった、一番大きな楽屋の上のところにVIPルームみたいなのがあって、そこにお風呂があったっていうのが驚きでした。そこに入れたのが嬉しかったですね。
小林:水はなかったけどね(笑)。
丸山:なかったね(笑)。
近藤:当日もちょいちょいトラブルはあったっちゃあったんですけど、何事もなく終えることができましたし、デカイと思っていたコーストも緊張はしたけど、ここよりもっと大きいところも行けるっていう感覚も持てたので、もうなくなってしまうのは残念ですが、コーストに立てた経験ってすごく良かったなって思いますね。
-STUDIO COASTでの公演がDVD付きのほうには映像として収められているということですが、ライヴ全編を撮影してDVD化するのは初ですよね? いつもと違う感覚はありましたか?
小林:無茶苦茶緊張しました。(カメラが)あんなに近いんだもんっていう。
-映像はすでにご覧になりましたか?
小林:こんなに眉間にしわが寄ってんだ、って感じでした。明るい曲もこんなに泣きそうな顔をしているんだ、っていう(笑)。あと、カメラがものすごく動いてるんですよ。コーストの舞台に俺がいるっていう夢みたいな気持ちでしたね。
丸山:ワンマンとかでも一瞬フレーズが飛んじゃうときって、普通はそこからまたもとに戻れるんですけど、「M1917」(2016年リリースの1stフル・アルバム『Xanthium』収録)っていう曲で"あ、飛んだ"っていう瞬間があったんです。そこにカメラが入ってるっていう緊張感がダブルで襲ってきて、結局戻れずにソロが全部アドリブになっちゃったっていう。そこが見どころのひとつになっていると思うのでぜひ観てください。
-そういうところもライヴらしいですね(笑)。今作に戻りますが、インタールードを挟んでの「DISTRESS」はシンガロングしているパートがすごく印象的で、ライヴでみんなで歌う姿が目に浮かぶ楽曲ですね。
小林:声が出せない環境だから、みんなからシンガロングの声を集めて、それを持ってツアーを回って、それをCDにも入れるっていうことをした曲ですね。ライヴを意識した曲にしていきたいし、今後(セットリストに)組み込みたいっていうぐらいみんな気に入っている曲です。これからも一生大切な曲になっていくだろうなって思っています。
-前半でがっつりアグレッシヴにリベリオンらしさを展開したあと、この「DISTRESS」で大団円でストーリーを結んで、そのあとの6曲目がバージョン違いで収録曲が異なる、というのが、エンディングがふたつ用意された映画みたいな作りだなって思いました。フィジカルでふたつのバージョンを作るという構成はどんな考えで組まれたのでしょうか?
小林:If(もしも)でふたつのバージョンを分けているっていうわけではなくて。今ってストリーミング配信で聴いてる人も多いと思いますけど、僕らはアナログ人間なのでやっぱり手に取って"この曲もいいじゃん"って感じてほしいし、両方聴いてジャケットとかブックレットも含めて手元に置いてほしい。CDって宝物だし、自分でも宝物ボックスに入れているんですけどCDはそうして一生残っていくので。例えば形があるものって壊れたときすごく悲しいけど、データが壊れたときって"あ、壊れちゃった"ぐらいにしか感じないし。そういう意図もありますね。
-6曲でしっかりと作品として成立していて、しかも2バージョンが成り立っているのがすごく面白いと思いました。楽曲については、最初からこういう作品にしようとして制作していった流れでしょうか?
小林:後付けなんですよね。コンセプチュアル(な作品)にしてしまうと、ライヴでその通りに雰囲気を作り込まないといけなくなってお客さんも構えちゃってしまう、ってなるのが嫌なので。あくまでコンセプチュアルにはせずに、できてきた楽曲を並べてどういう流れにするかをみんなで考えて作っていきました。
-今作もどの曲もてんこ盛りで展開を覚えるだけでも難しいのに、演奏自体も難問の曲ぞろいなんじゃないかと思ったのですが、実際にやって一番印象が深かった楽曲をうかがってもいいでしょうか?
小林:やっぱ「TATSUMAKI」のイカれっぷりはヤベぇなって僕は思いますね。
宮田:自分はボーナス・トラックの扱いにはなってしまいますが、「FASTER THAN SKANDA」ですね。しっかりエモーショナルでしっかりハードコアでしっかりメタルで、最後ああいう展開になる楽曲って俺はすごく好きで。俺の好きな部分が詰め込まれた楽曲だなって思っています。
丸山:「Re:Create of the Re:d (feat.星熊南巫)」ですね。曲を作っているし、全曲好きなのは当たり前なんですけど、ずっと前から温めていた曲を満を持して出せたっていうのもあって、カッコいいなって自分でも思っています。
近藤:もうひとつのボーナス・トラックになりますが、「GHOST」ですね。激しいっていう曲調ではないんですけど、ちゃんと強い意志を持った楽曲になっている感じがして、テンポ感も気持ち良くて気に入っていますね。
-今作のリリース以降の予定などうかがえますでしょうか?
宮田:いろいろあるんですけど、一番大々的に行われるのは、2月に行われる元K-1の武蔵さんが開催する"テレ・マーカーpresents MUSASHI ROCK FESTIVAL2022"ですね。豊洲PITで格闘技イベントと音楽イベントが同時に行われるっていうヤバそうなのに出させていただけるので、めちゃくちゃ楽しみです。
-最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
小林:『ABANDONSYSTEM__』という作品を出します。希望を捨てるのか絶望を捨てるのか、何を捨てるかという仕組みにこの世界はなっている。そういう考えをもって名前を付けたアルバムなので、これを希望と取るのか、絶望と取るのか、しっかり聴いてください。ただ、どちらにしても間違いなくカッコいいアルバムになっているので、感じるままに楽しんでください。僕たちの新しい1ページを堪能していただければ光栄です。