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INTERVIEW

ACME

2021.09.10UPDATE

2021年09月号掲載

ACME

Member:CHISA(Vo) 将吾(Gt) RIKITO(Ba) HAL(Dr)

Interviewer:山口 哲生

-そういったものを踏まえて、最新シングル『月光浴』について。資料を拝見したら、表題曲「月光浴」は原点回帰というワードがあったんですが、これは外部の方々を招かずに、セルフ・プロデュースで制作されたという意味でしょうか。

RIKITO:そういうところもあるし、歌詞をオール日本語にしたっていうところですね。

CHISA:前作の「Come Back to You」で外部の人たちとやってみて、もう一度メンバーだけでやるとなったときに、ちょっと歌謡っぽいというか、日本っぽくしてみようかなと思ったところから始まった感じではありましたね。でも、サウンドは前回取り入れたものを生かしつつ、という。

-あと、打ち込みは比較的抑えめで、使うにしても空気作り程度にされていて。

RIKITO:そこは削りました。デモをあげたあとに、将吾君が他の楽器のパートとかをある程度作り上げるんですけど。それを聴いたときに、この曲に関しては、同期は少なくてもいい、というよりは、むしろ少ないほうがいいものになると思って。

-例えば、ストリングスとかを入れた形でも映えそうな雰囲気はありつつも。

RIKITO:そのへんも1回試したんですよ。でも、メンバーに渡す前に全部削りました。たぶん"やめよう"って言うだろうなと思ったし、自分としてもいらないなと感じたので。

-将吾さんとしても、そういった楽曲をイメージして構築されていたんですか?

将吾:俺としては、どっちでもいけるようにしてたんですよ。自分の強い意志がある場合は、これはいらんと思うって先に削ったりするんですけど、この曲は言ってなくて。言ったところでいえば、イントロのフレーズを2回入れたいって言ってたんやけど、1回しかない形になっていたから、2回欲しい! って最後に付つけ足したぐらい(笑)。

HAL:そこが唯一だったね。この曲に関しては、人力での音のかっこ良さ、一音一音のかっこ良さを伝えられたらなっていうのはありました。曲の雰囲気として、今までのACMEよりも大人なんですよ。なので、ライヴでもこれまでと違った聴かせ方ができるんじゃないかなって。だから同期もそこまでいらないし、みんないいテクニックを持っているので、そこをお客さんに伝えたいし、聴いてほしいっていう。

-歌詞はCHISAさんが書かれていますね。

CHISA:「Come Back to You」で、いつもとは違うやり方を試したからこそ、自分のオリジナリティとか、自分の持ち味で戦えるものってなんなんだろうって考えて。それで、「Come Back to You」はほぼ英詞だったんですけど、歌っていて、自分の中で日本語の音としての聴こえ方が、ちょっと変わってきたところもあったんですよね。そういったところも含めて、日本語で、自分の聴感上で気持ちいいものを書いてみようというのが最初にありました。

-聴感上で気持ちのいいものというのは、母音とかアクセントとか?

CHISA:あとはリズムですかね。いろんな人と関わってみて、もちろんその人を認めているから一緒にやるわけですけど、みんなそれぞれのプロですし、その人の真似をしても決して勝てないじゃないですか。そこはメンバー間にもあって。やっぱりひとりひとりのセンスに長けている部分を集めたいんです。そういうなかで、自分ができること、自分にしかできないことというところで、ちょっと悩むに近いところはありましたね。前作が前作なだけあってどうしても比較はされるので、どんな勝負をしようかなってところで、僕としては、英語の曲に比べて、日本語のほうが物語っぽく書ける気がしたというか。キャッチフレーズじゃなくて、物語を書けるんじゃないかなって。

-たしかに英語ってキャッチフレーズ的なのかもしれないですね。それこそ「Come Back to You」って、もうそれ自体がメッセージになりますし。

CHISA:うん。それよりも、日本語であれば小説的なものとして書けるのではないかと思っていました。

-そして、カップリング「WALK」は、かなりヘヴィでパンチのある曲になっていて。海外ではハードな曲が受け入れられやすいという話もされていましたけども。

HAL:これはかなりアメリカに寄ってしまったというか。

将吾:はははは(笑)。

HAL:あの広大な大地を想像できるような曲になってしまった典型ですね。歌詞も英詞ですし。コロナの世の中になってしまって、ライヴでモッシュできないし、声も出せなくなってしまったけど、早くそういうのができる世の中に戻ったらいいなという願いを込めて、あえてそんなものをいっぱい入れました。とにかくわかりやすくしようと思って。ここはピットを作るところだな、ここはシンガロングだなみたいな。だから、今の世の中には不向きな曲なんですよ(笑)。

将吾:たしかにね。この曲って結構前からあったっけ?

HAL:いや、今年に入ってから。「月光浴」よりも先にこっちができてたんですよ。あっちはメロディが変わったり、構成が変わったりしたけど、「WALK」はデモの段階で90パーセントできていて。みんなオーダーするときも、"得意なやつをやってください!"みたいな。

将吾:だから、いつも通りって感じでした。特に何も考えずに。

RIKITO:うん、すんなりと終わりました。1ヶ所だけ、ベーシストだったら弾けないなっていうところもあったけど、そこもやりましたね(笑)。

-歌詞はHALさんが書かれていますが、出だしからメッセージが強いですね。世界がつまらないんじゃなくて、そう言っているお前がつまらないんだという。

HAL:今まで通りのライヴができなくても、今は今なりの楽しみ方ができるし、文句ばかり言ってないで、やれることをやろうよっていう感じですね。あと、最近登山を始めたんですよ。そこも歌詞と繋がっているんですけど、目的地に何があるかはわからないけど、そこに行くということが大事なんだ、と。何かのために行くのではなく、行動することが大事なんですよっていうことですね。

-"汚れた靴は生きている証(That dirt on your shoes is living proof)"という歌詞も、登山から来てるんですね。

HAL:そうそう。霧で周りが何も見えなくなったときがあったんですよ。で、帰ったときには靴が泥だらけで。でも、自分の中にはいろんなものが残っているな、それをこの靴が証明してくれてるなっていう。

-実体験でしたか(笑)。

HAL:自分の趣味をちょっと押しつけてしまう感じにはなってしまいましたね(笑)。でもまぁ、つまんねぇつまんねぇって言ってないで、やれることの中で楽しもうぜっていう曲です。人生どうせね、じっとしていても一秒一秒死には向かっているんだから、楽しんだほうがいいでしょっていう。

CHISA:曲がハードだったんで、どういう歌詞が来るのかなって結構楽しみにしてたんですけど、ポジティヴなほうで来たんだ!? ってのが第一印象でしたね。デモを聴いたときには、落ちサビというか、ギター・ソロぐらいの展開からちょっと急に明るくない? と思ったんですよ。もっとハードな感じを想像していたので。でも、歌詞が来て辻褄が合った感じはしましたね。

-この作品を持って、9月からは待望のツアーが始まります。まずは国内を回り、一度アメリカ・ツアー(10月から12月にかけて開催予定の"ACME USツアー2021「ACME Unbreakable Tour 2021」")を挟んで、再び日本をサーキットする行程になりますが、アメリカは行けそうなんですか?

CHISA:行けそうな感じはあるけど、そのへんは日々変わってますからね。そこは国内も一緒ですけど。

RIKITO:でも、前向きに、止まらずにやるしかないと思ってやってますね。

-改めて、ここから先自分たちはどう進んでいけたらいいなと思います?

HAL:まぁ、健康に気をつけて、無理をせずに。

-そこに尽きますね。

RIKITO:あと、制限されているなかでも新たにできるようになったことも多いので、それをしっかりやりつつ、今後いろんなことができるようになったときには、それを生かしてまた新たなものにチャレンジしていきたいなと思いますね。

将吾:たしかに。"今やれる範囲で自分たちができることをやる"っていうことに関しては、結構やってきたんですよ。このバンド柔軟やなって思いました(笑)。配信ライヴもまだ周りがやってなかったときから動いていたし。

HAL:最初って、iPhoneで撮ったやつをそのままストリーミングでやったんだっけ?

CHISA:そうそう。

RIKITO:ちゃんと演奏はできるから大丈夫だと思って。

HAL:不思議な話なんですけど、コロナの時代になって、バンドマンやミュージシャンが今まで通り活動できなくなってしまって、どうすればいいんだろうと。でも、配信をやるようになってから、自分たちが行ったことがない国からも、ACMEのことを気にして観てくれている人がいるっていうのがわかったんですよね。

将吾:配信すると、コメント欄のメインが英語になるんですよ。英語がバーッ! と来て、日本語が来て、たまに読めない言語の文字が来て。

HAL:そうそう。まだ会ったことのない人、行ったことがない国の人たちも楽しんでくれているのであれば、どんどん発信したいなって。

CHISA:もちろん、今やれることをやっていくスタイルでいるんですけど、やっぱりライヴはしたいですよね。これまで何をするにしても、ライヴを軸にして動いてきたんですよ。そのことを改めて思うこともあったし、国内でも久しぶりに会っていない人と会いたいなって。だから、今回のツアーは満を持してというところもあるし、自分たちの音楽に対しての心境の変化とか、楽曲の変化も見られるツアーになるかなと思ってます。