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INTERVIEW

G-FREAK FACTORY

2017.03.03UPDATE

2017年03月号掲載

G-FREAK FACTORY

Member:Hiroaki Moteki(Vo)

Interviewer:荒金 良介

-今、Motekiさんが音楽で重要視している部分は?

先ほども言いましたけど、正直さですね。俺、今回のレコーディングでパソコンに書き溜めていたリリックが完全に飛んじゃって。ある日、パソコンを立ち上げたら、画面にビックリマークが出たんですよ。

-こっちがビックリですよね(笑)。

そうそう。20代から思ってきたことをずっと書き溜めていたから。紙の端切れに書いたものも、これで絶対大丈夫! と思って、パソコンに入れてたんですよ。それが全部飛んじゃって......それが良かったのかもしれない。

-というのは?

今からまた始めればいいんだなと。「島生民」(2003年リリースの1stアルバム表題曲)も20代の曲だし、今はどこかしら無理しないと、歌えないところもあるんですよ。今作も10年後に聴いたら、ここは青いな、ここは素晴らしかったなと、写真のアルバムみたいに思うだろうし。無理して良いことを言おうとすると、あとで自分が苦しくなりますからね。

-今の気持ちで勝負すればいいと。

いや~、未練タラタラでしたけどね。1週間ぐらいブルーになりました。でも本当に思っていることなら、絶対また降ってくるだろうと。そこで、もう一度ゼロからやればいいんだなって腹を括れたんですよ。

-METALLICAのKirk Hammett(Gt)もギター・リフのアイディアを大量に詰め込んだ携帯を紛失してますから(笑)。

えっ、マジですか? 自分は"よっしゃ!"って、スイッチを入れるしかなくて。作詞作曲はパソコンに向かうだけでは進まないし、スピード感と勢いが大事だなと。それまでは、過去に自分がたくさん綴ったものから引っ張ればいい、という甘えがずっとあったと思うんですよ。それが飛んだことで、逆のスイッチが入って、絶対今の言葉で書いてやろうと。

-冒頭曲「ONE DAY」(Track.1)を聴いたときに、従来のG-FREAK FACTORYと違うと思ったんですよ。これほど穏やかでシンプルな曲調も珍しいですよね?

それも「ダディ・ダーリン」があったからですね。あの曲をきちんと発信できたことで、そのアンサー・ソングを書こうと。「ダディ・ダーリン」は過去を歌ったものだから、次は未来を歌おうと思ったんです。でも、なかなかうまくいかなくて、最後にできた曲なんですよ。全部出揃ったあとに、"これじゃリード曲がない!"って、バンドマンあるあるですね(笑)。

-「ONE DAY」もいわゆるリード曲とはまた違う気もしますが。

そこはBADASSですから(笑)!

-この曲を堂々とリード曲にするところに、今のG-FREAK FACTORYの自信を感じました。

本当はアップテンポの曲の方がリード曲に相応しいですよね。でも、もしこれが最後のアルバムと仮定したら、「ONE DAY」がリードだろうと。もちろん、この先も作りますけどね(笑)。今回はこの曲で引っ張っていく作品にしたかったんですよ。「HALF-DONE」(Track.5)は去年10月に10-FEETのTAKUMA(Vo/Gt)からアイディアをもらって作ったんです。でも、これもリードとは違うなと思って、12月にもう1曲録ろうと。それで最後の最後にできました。

-難産だったんですね。Motekiさんはどこに手応えを感じました?

移動中もフォーク・ギターをずっと弾いてたんですよ。それでサビの転調を見つけたときに、これは面白いなと思って、それを膨らませようと。レコーディングではいつもジャストを狙って歌うけど、後ノリで乗せてみたら、情緒が出てきて"あっ、こっちだな"と。結局、ライヴで長持ちしている曲は1日で作ったものばかりなんです。こねくり回した曲は長持ちしなくて、直感を信じた曲の方があとに残るんですよね。

-「ONE DAY」は冒頭の囁くような歌声からインパクトがあります。そこで"声が枯れ落ちる前に伝えておこう"と歌ってますけど、そこに込めた思いは?

これは子供たちに向けた曲なんですよ。そう思うと、スラスラと歌詞を書けたんですよね。

-"今ある色を育めばいい"とポジティヴな歌詞も目立ちます。

今まで、未来や子供たちに向けて歌ったことがなかったから。これから先の人たちへ、という意識で書きました。未来がネガティヴだと、やりきれないじゃないですか。俺が天国に言っても、見ててあげるよって。

-Motekiさんはまだ死ぬ年齢ではないと思いますけど、ミュージシャンは自分が死んでも曲は残り続けますよね。そういう意味で世の中に残る曲を書こうと?

それはイメージしました。ツアー中に俺が死んでも、曲は届けられるなと。俺は言葉を詰め込みがちだけど、この曲は1音1音を大きく記したくて。それも過去にやったことがなかったですからね。

-えぇ、スケール感のある曲調ですもんね。

そうなんですよ。歌詞や曲に対して責任も強くなったから。そうすると、書く言葉も変わるし、ちゃんとケツが拭ける範囲で書こうと。