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COLUMN

NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第18回

NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第18回

90年代以降、ヘヴィ・メタルは長い冬の時代に突入した。
なぜならNirvanaが「 Nevermind 」というアルバムでそれまでの産業音楽を全てぶち壊してしまったからだ。91年のことだった。
80年代に派手な衣装やパフォーマンスで人気を博していたHR/HMバンド達は旧時代の物として時代に取り残されていく事となった。
Metallica「 Metallica(ブラックアルバム) 」やPantera「 Vulgar Display Of Power 」の様に、上手く時代と適応して成功を収めたケースもあれば、
Anthrax「 Sound Of White Noise 」の様に、あまりに大きく方向転換してしまったが為に既存のファンの支持を得られず低迷期に陥ってしまったケースもあった。
(ちなみに筆者はAnthraxの大ファンなので上記のアルバムも大好きである)
兎に角、オルタナ・グランジの大波に多くのHR/HMバンドが飲まれていったのであった。

今回はその激動の時代に埋もれてしまった、
世が世なら確実に評価されていたであろう名盤を紹介しよう。


Space In Your Face / Galactic Cowboys


89年にアメリカのテキサス州ヒューストンで結成されたGalactic Cowboys。
テキサスと言えば前述のPanteraの出身州でもある。
偉大な先輩の背中を見て彼らがメタルを志したのは分かる。
しかしその頃には同世代のアーティスト達によるオルタナ・グランジムーヴメントの火種が各地で広がりつつあった。
そんな中、彼らは独創的なメタルサウンドを展開していった。
リフこそスラッシュメタルよろしく攻撃的なサウンドだか、そこに突然壮大なコーラスワークとメロディックでキャッチーなヴォーカル、アコースティックギターやブルースハープの音色を織り交ぜながら、曲の構成は親しみやすい程度にプログレッシヴ。
先輩のKing's Xや、同年代のThe Wildheartsの様に、HR/HMを基調としながらもオリジナリティを確立していった。

そして彼らは大手レコード会社のゲフィン・レコードに認められ91年にセルフタイトル「 Galactic Cowboys 」でCDデビューを果たす。 メンバーがカトリックなのもあり、クリスチャンロック雑誌「 HMマガジン 」では「1991年リリースの中で最もエキサイティングな作品」と称賛を浴びた。
だが世は既に冒頭にも書いた「 Nevermind 」ブーム真っただ中。
なんとGalactic CowboysはNirvanaとレーベルメイトかつ同年デビューだったのだ。
当然レーベルは Nirvanaを猛烈にプッシュ。Galactic Cowboysはあまり手をかけてもらえずセールスも結果を残せなかった。
しかしバンドは逆境にもめげず、今回紹介する名盤「 Space In Your Face 」を93年に完成させた。
1stの音楽性を更に昇華させ、よりアグレッシヴでプログレッシヴ、そしてメロディックに。文字通り唯一無二、彼等のオリジナリティを提示した。
当然このアルバムは一定の評価をされ、
「クリスチャンや一般市場に存在する最もメロディックなメタルバンド」と称された。
(ちなみに日本盤には「メタリカ・ミーツ・ビートルズ」という何とも分かりやすいキャッチが付けられていた)
その後レーベルとの契約解除やメンバー脱退等もあり一時的に活動を停止した彼等だが、すぐさま名門「Metal Blade Records」と契約を結び数枚のアルバムをリリース。
やはりどの作品も素晴らしく、オリジナリティとアイデンティティに溢れている。

これだけの名盤を産み出した彼等だったが、それでも時代の流れは味方しなかった。
90年代後半になってラウド&ミクスチャーシーンが台頭し始め、またしても時代と噛み合わないのがこのバンドの悲しい所。
結局大きなブレイクを果たせぬまま、00年にバンドは解散してしまった。
オリジナルメンバーで復活、17年に新譜も発表しているが、現在は「知る人ぞ知る」バンド。なかなか表舞台でお目にかかる機会はなくなってしまった。

ここまで原稿を書いていて、ふと既視感を覚えた。
このバンド、まるで筆者のバンド「 NoGoD 」の様なのである。
ヒットらしいヒットもなく、ブレイクらしいブレイクもなく、それでも業界関係者の支持と熱心なファンに支えられて15年もやってきた。まるで自分自身ではないか。

だが彼等の音楽が今でも色褪せない素晴らしいものだったからこそ私は彼等に出会い、遠い異国の地でこうして記事を書いている。
我々も、これからもっと良い音楽を作り出していければ想像もしない何処かの誰かに届くかもしれない。
なのでこの記事を読んだ激ロッカーの誰かがこのバンドと、ついでにNoGoDの事を後世に語り継いでくれることを私は心から願う。(まだまだ全然現役ですけどね!)

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