COLUMN
NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第42回
先日某メタルフェスの惨状が話題になった。
「日本のメタルは終わった」「日本のメタルは死んだ」等という声がネット上であがる中、ある男が、いやある漢がこう言い放った。
「日本のメタルは終わっちゃいないよ」と。
その漢こそ日本ヘヴィ・メタル界の宝、冠徹弥氏である。
So What? / So What?
激ロック読者であれば彼のソロプロジェクトである「THE冠」は認知している筈だが、彼のキャリアスタートは1991年に結成した「So What?」というバンドだ。
80年代に栄華を極めたジャパニーズ・メタルシーンも90年代には冬の時代に突入。
そんな中、最新の海外メタルサウンドをいち早く吸収し、シーンを変えようとしていたのが冠氏率いるSo What?だった。
彼等はまだ日本に殆ど居なかったPANTERA的なグルーヴかつサウンドに、コミカルだがメッセージ性の強い歌詞をブレンド。冠氏の高い歌唱力とコミカルかつアグレッシヴなパフォーマンス、昭和の俳優の様な甘いマスクと芸人顔負けのキャッチーなキャラクターも相俟って話題となった。そして聖飢魔IIのルーク篁氏のプロデュースで1995年に今回紹介するセルフタイトルアルバムでメジャーデビューを果たす。
コミカルな歌詞とヘヴィ・メタルと言えばSEX MACHINEGUNSが有名だが、彼等のデビューは1998年。実は冠氏の方が先なのである。(とは言え当時はお互いを意識していたというわけでは無く、どちらも自然と今のスタイルに辿り着いたそうだ)
So What?解散後にTHE冠としてソロキャリアをスタートさせた冠氏だが、映画「デトロイト・メタル・シティ」や劇団☆新感線の舞台、数々のバラエティ番組等の出演で活動の幅を広げている。がしかし彼の真髄はやはりライブのステージにある。
ジャンル関係なく「メタルって楽しいやろ」の精神で、観る者全てを魅了するスーパー・メタル・エンターテイメントを今日まで最前線で続けている。
私の様に彼をリスペクトするアーティストは非常に多く、10-FEET主催「京都大作戦」やROTTENGRAFFTY主催「響都超特急」等、アーティスト主催のロックフェスに数多く出演し、普段メタルを聴かないキッズ層にもその重厚なサウンドと魂を布教し続けている。
しかし日本のメタル業界の一部では原理主義的な思想は未だ根強く、コミカルないし前衛的な物を是としない媒体やイベントが多々ある。
前述した某メタルフェスのラインナップも、レジェンドはもちろん良い。昨今勢いのあるガールズメタルバンドも良い。だが日本のメタルシーンを盛り上げたいのであればまずは冠氏に真っ先にオファーをすべきだった。
90年代に日本のメタルの灯を守り抜いた冠氏をもっと業界全体でリスペクトすべきだと私は声を大にして言いたい。
......と、ここまで長々と褒め称えたのだから、もう間違いないだろう。
冠さん!
来年こそはTHE冠プレゼンツ「大冠祭」のオファーお待ちしてます!!!
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