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COLUMN

NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第16回

NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第16回

これを執筆している5月下旬、全国的に緊急事態宣言が解除となったが、
ライブハウスシーンが日常を取り戻すにはまだまだ時間が掛かりそうだ。
我々の日常を取り戻すまで、もう少しの我慢である。

さて、読者の皆様はクロスオーバーというジャンルをご存じだろうか?

直訳すると異なる物を掛け合わせ、新しいものを作るという意味なのだが、
個人的には音楽ジャンルで言うとオルタナティヴやミクスチャー等と同義語だと思っている。

要は、古い物や伝統的な物に縛られず、自分たちのバックボーンを全てごった煮にし、誰も聞いた事のない新しい音楽で懐古的な世界をぶち壊そうぜ!という事だったのではないかと考察している。

今回紹介するのは、かつて水と油だったヘヴィメタルとヒップホップをクロスオーバーさせ、現在のニューメタルシーンを切り開いた偉大なバンド。


Pigwalk / Stuck Mojo


86年 Aerosmith × Run-DMC「Walk This Way」、91年 Anthrax & Public Enemy「Bring The Noise」、93年 映画「JUDGMENT NIGHT」のオリジナルサウンドトラック等、ヒップホップとロック・メタルの融合が徐々に進んでいく中、89年にアトランタで結成されたStuck Mojoは、間違いなくラップメタルの始祖的なバンドだ。
それどころか90年代後半から00年以降も続くニューメタルシーンの設立に貢献した最重要バンドだと言っても過言ではないと私は思っている。

彼等はエッジの効いたソリッドかつグルーヴの有るメタルサウンドに、アフリカ系アメリカ人のリードボーカリスト/ラッパーBonzのオリエンタルかつクールなラップをメッセージ性の強い歌詞とともに絡ませる事により、とんでもない化学反応を生み出している。
それが生まれたのが90年代初頭とはとても信じがたい、今聴いても全く古臭さを感じないサウンドを確立した。

初期はヴォーカルが黒人である事や、本来相容れないジャンル同士を融合させた事を揶揄されたようだが、それ以上に彼らのサウンドやライブの評価が上回り、95年に「Snappin' Necks」でデビュー。
作品はレビューでも高評価、ツアーも国内外で称賛され素晴らしいスタートを切った。

更にサウンドをモダンかつヘヴィに昇華させた名盤「Pigwalk」を96年にリリース。
「Rage Against the MachineとPanteraの面白くて魅力的なクロスだ」と称賛された。

そして98年「Rising」でビルボードトップヒートシーカーズチャートの48位にチャートイン。
このアルバムは非常にキャッチーで聴きやすくて自分は大好きなのだが、どうやら一部から「あいつら変わっちまったな」的な扱いを受けたらしい。

結局バンドはその後00年に休止したが、中心人物であるRich Wardにより05年にリユニオンされている。

日本での知名度は低い彼等だが、いかに後続のモンスターバンド達に影響を与えていたか、一度聴けばすぐに分かるはずだ。

最後に、我等が激ロック代表ムラオカ氏がRichへのインタビューで聞き出した彼の名言を抜粋させて頂く。

「俺たちはクロスオーバーがファッションになる前からここにいたし、流行が終わってからもまだここにいる。俺たちはStuck Mojoであって、俺たちに不愉快なシーンなど必要ないんだ。」 Rich Ward

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