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LIVE REPORT

GALNERYUS

2024.12.22 @立川ステージガーデン

Writer : 菅谷 透

メジャー・デビュー20周年イヤーを総括する全国ツアーの第2弾[GALNERYUS 20th Anniversary "THE RISING OF THE NEW LEGACY Pt. II"]を敢行したGALNERYUS。最新アルバム『THE STARS WILL LIGHT THE WAY』の楽曲に加え、ファンから寄せられた"ライヴで聴きたい曲"も組み込まれたセットリストで、日本各地のみならず中国でも開催された本ツアーの最終公演では、バンドの過去と現在、そして未来を見据えたドラマチックでエモーショナルなステージが繰り広げられた。

『THE STARS WILL LIGHT THE WAY』のオープニングを飾るインスト・ナンバー「GO TOWARDS THE UTOPIA」に乗せてSYU(Gt)、TAKA(Ba)、YUHKI(Key)、LEA(Dr)の楽器陣が姿を現し、最後にMasatoshi "SHO" Ono(Vo)がステージ中央に立つと、挨拶代わりのロング・トーンから「THE REASON WE FIGHT」でライヴが開幕。勇壮な合唱、天井を突き破ろうかというハイトーン・ヴォイス、腹の底に響く高速ビート、SYUとYUHKIによる白熱のソロ・パート、静寂から怒涛の大サビへと移ろうスペクタクルな展開に、観客の熱気は早くも沸騰状態。開放感のあるホールの会場も、GALNERYUSの壮大なサウンドと好相性だ。
さらに、続くスピード・メタル・チューン「LOST IN THE DARKNESS」では、コーラスに合わせてフロアに無数の拳が上がっていたが、その手首にはバングル・ライトが光を放っている。12月ということもあって会場周辺もライトアップされていたが、フロア内で輝くイルミネーションはダークで壮観だ。挨拶と"ありったけのハイトーン"のコール&レスポンスを経て、「FINALLY, IT COMES!」では、雄々しく重厚なサウンドとTAKAのスラップ・ベースが炸裂。2008年発表の楽曲「ALSATIA」では、ラウドロックにも接近した重低音リフを叩きつけていく。いつもよりもローを効かせたOnoのヴォーカルも異彩を放っていて、レア曲ならではの魅力を味わうことができた。

中盤のMCではOnoが中国まで出向いた今回のツアーを振り返りつつ、"皆さん「海外に行ったら俺はMCどうしてるんだろう」って思うでしょ? このまんまです"と会場の笑いを誘う。また、最新アルバム『THE STARS WILL LIGHT THE WAY』は、通常通りのライヴができるようになったということで、"ここは歌わなければいけないところなんだな"というパートを数多く盛り込んだと語り、"たくさん声を出して帰ってください。オクターヴ下は許しません(笑)"と観客を焚き付ける。そうして始まった「IN WATER'S GAZE」ではシンガロングが響き渡り、会場の一体感が高まっていく。SYUの叙情的なソロ・パフォーマンスを挟んで、「CRYING FOR YOU」では爽快なメロディアス・ロックに乗せて、Onoがスウィートな歌声を披露。
大サビの伸びやかなフェイクも美しく、多くの観客がじっくりと聴き入っていた。続いてはファンの"無慈悲なリクエスト"に応えた楽曲として「SCARS」をプレイ。"頑張るよ......その代わり、みんなも同じレンジで歌ってね"と前置きしつつ歌唱に入ったOnoだったが、鋭くパワフルなヴォーカルはまさに圧倒的。激しくも緻密な演奏も相まって、会場のボルテージがますます高まっていく。その後は最新アルバムより「VOICE IN SADNESS」、「I BELIEVE」の強力ナンバー2連発で畳み掛け、白熱の本編を締めくくった。

アンコールの手拍子を経て照明が灯り、自然と立ち上がる観客。しかしステージに姿を見せたOnoはそっと着座を促し、その意外な所作に観客から笑みがこぼれた。ライヴ前のいつものルーティンを忘れたという話に始まり、LEAの天然エピソードを披露する等、彼の人柄が滲んだMCで会場は徐々に和やかな雰囲気に。また、本公演の映像作品を春に発売し、ツアーも実施予定であることを告げると歓声が沸き起こっていた。そして1月には58歳の誕生日を迎えることを明かし、"60歳になっても今と同じような声が出ていたら、俺はハイトーン・シンガーらしいと触れて回ろうかと"と心境を告白。控えめな言葉だが、未来への揺るぎない決意が感じられた。観客全員を巻き込んだ声出しで仕切り直した後は、ストレートで力強い「HEARTLESS」が緩んだ空気を一気に引き締める。LEAのダイナミックなドラム・ソロを経て、「THE TIME HAS COME」で会場の熱量はさらにヒートアップ。ラストにはあちこちでメロイック・サインが掲げられていた。

フロアは再び闇に包まれたが、熱狂の幕はまだ下りることはない。荘厳なイントロから始まった「ULTIMATE SACRIFICE」では、爆発的なビートと慟哭のメロディが容赦なく胸を揺さぶってくる。ラストではSYUがOnoのそばに歩み寄り、嚙みしめるようにフレーズを奏でていたのが印象的だった。矢継ぎ早に投下された「RAISE MY SWORD」では、イントロで降り注いだ金テープを、観客が誰からともなく天に向かって掲げ始める。それは会場全体へと広がっていき、まるで希望の光のように眩しく輝いていた。演奏を終えるとSYUは、まず観客へ、続いてメンバー一人一人へ感謝を伝えていく。その中でこの日Onoが体調を崩していたことが明かされると、そんな素振りは一切見せていなかったこともあって会場は驚きに包まれた(Onoも"言っちゃった"と苦笑い)。"だけど、ものすごい歌を聴かせてくれましたよね?"と問い掛けると、観客は力強い同意の拍手が。バンドの連帯感や、プロフェッショナリズムが垣間見えた瞬間だった。そして、トリプル・アンコールとして届けられたのは「DESTINY」。バンドとフロアそれぞれが熱量をぶつけ高め合っていくような最高潮の盛り上がりで、2時間半に及ぶ熱演はフィナーレを迎えた。

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