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INTERVIEW

GALNERYUS

2019.10.23UPDATE

2019年11月号掲載

GALNERYUS

Member:SYU(Gt) Masatoshi “SHO” Ono(Vo) YUHKI(Key)

Interviewer:荒金 良介

日本を代表するヘヴィ・メタル・バンドと言っても過言ではないGALNERYUS。彼らが通算12枚目のアルバム『INTO THE PURGATORY』を完成させた。前々作『UNDER THE FORCE OF COURAGE』、前作『ULTIMATE SACRIFICE』と2作品連続でコンセプチュアルな作風を掲げ、バンド独自の世界観を徹底的に突き詰めた彼ら。今作もその延長線上で来るかと思いきや、いわゆる一曲入魂の通常のオリジナル・アルバムへと舵を切ることになったそうだ。しかし、そこには前々作、前作で得たスキルと経験値が活きており、さらに新たなチャレンジも盛り込まれた傑作に仕上がっている。SYU、Masatoshi "SHO" Ono、YUHKIのメンバー3人に話を訊いた。


楽曲優先で一曲一曲の性格がはっきりと出た


-前作(2017年リリースの『ULTIMATE SACRIFICE』)、前々作(2015年リリースの『UNDER THE FORCE OF COURAGE』)とコンセプト作が続きましたけど、今作はそういう形式は取らず?

SYU:コンセプト作ではないです。当初は今作を含めて3部作にしようと思っていたんですけど......。

-3部作の予告もしてましたよね?

SYU:そうなんですよ(笑)。でもタイミング的に作風が似通ってしまうと思い......コンセプト作は相当な精神力が必要になるし、ストーリーを書かなきゃいけないし、またそれに沿った曲も書かなきゃいけないので。YUHKIさんと曲作りの話をしてるときに、3部作の完結編みたいな案も出たけど、曲を書いているうちにコンセプトにしないほうが面白い作品になるんじゃないかと。より自由度を高めて、各曲に同じ愛を込めていくというか。今回は、一曲一曲キラーチューンを作る従来のアルバムの作り方に戻りました。

YUHKI:コンセプト作はSYUの負担も大きいから。今作で負担がなかったかと言えば、そんなことはないんですけど(笑)。個人的にはSYUの作るリフが好きなんで、7弦を活かしたリフものの曲を何曲か作ってほしいなと頼みました。攻撃的なアルバムを作りたかったし。Onoさんが歌うキャッチーな曲はいつでも健在なので、ドスンとした迫力のあるパワー・メタルをやりたくて。

SYU:今回は楽曲優先で明確な意図があって作られたので、一曲一曲の性格がはっきりと出てるんじゃないかと。

-Onoさんはいかがでした?

Ono:ガルネリ(GALNERYUS)ではメロは書かないけど、今回も何曲か歌詞を担当させてもらっているんです。コンセプト作は自分の限られた語彙の中で書こうとすると難しくて。でも今回は伸び伸びと書けましたね。

-今作も普通に7~8分の楽曲がゴロゴロありますからね。

Ono:そこはすっかり慣れました。時間は気にしない。ソロ区画が長いので(笑)、ずっと歌ってるわけじゃないですからね。

SYU:今回、楽器隊は長めにやっちゃってます。「THE END OF THE LINE」はさっきもリハでやってたんですけど、ガルネリ史上最長のユニゾン・パートがあるので、それはやりがいがありますね。インスト・パートがたくさん詰まった作品です。

YUHKI:今回は明らかに(インストの長さに)挑戦してるだろ! って感じで。録り終わったときに達成感もあったし、ライヴでこの曲をやってもすごい達成感が得られるだろうなと。

SYU:今、世界陸上とかやってるじゃないですか。選手がうまいことできたら、拍手喝采が起きますけど、あの感じに似ているなと。

Ono:ふふふふ(笑)。

SYU:そういうチャレンジも聴きどころかなと。「THE FORCE OF COURAGE」(『UNDER THE FORCE OF COURAGE』収録曲)が14分だったり、「ULTIMATE SACRIFICE」(『ULTIMATE SACRIFICE』収録曲)が12分だったり、そこに及ばないまでも長めの曲を書いてきた経験が今役に立ってます。長い曲でダレさせないためにどういうアレンジをすればいいのか、すごく勉強したつもりですからね。「THE END OF THE LINE」は9分近くありますけど、ダレないようにみんなで雑技団状態になって。

YUHKI:はははは(笑)。

SYU:自分で作ったフレーズですけど、録音してるときに楽器をぶん投げたくなりました(笑)。いつも挑戦する心が大事やと思うんでね。それでいて、歌が一番キャッチーであることは忘れずに。

-では、今作を作るうえで一番念頭に置いたことは?

SYU:過去2作とは違うことをしたいという気持ちは強く持ってました。あと、自分のソロ作『VORVADOS』(2019年1月リリース)で7弦ギターを久々に使ったら、"あっ、ええ感じやな"と思って。ガルネリでもやりたいと思い、「THE FOLLOWERS」、「COME BACK TO ME AGAIN」では7弦ギターを使いました。特にMVになった「THE FOLLOWERS」はガルネリっぽくない曲で。ダークで、リフもので、TAKA(Ba)さんが作詞を手掛けてたり、ベース・ソロが入ってたり、Onoさんのオペラちっくな歌唱だったり、YUHKIさんのパイプ・オルガン風の音、7弦ギターとか、新しいことだらけの曲なので、これはMVにするべきだなって。

-「THE FOLLOWERS」は今作の中で最も驚く人が多いでしょうね。

SYU:一番売り要素が多い曲ですね。メロディも奇抜なので、自分たちでも気に入ってます。言うたら直球メロスピだけが好きな人は、"どないしてくれんねん!"と思うかもしれないけど、アルバムを聴いてもらえたら、"そういうことか!"とわかってもらえると思うから。特に「THE FOLLOWERS」は意識して変えようというのはなかったんですけど、7弦ギターを触っているうちにああいうリフが出てきて、YUHKIさんがそこにパイプ・オルガン風の音を入れてきてくれて。歌を録りだしたら、"これはオペラでよろしく!"と、その場のひらめきもあったりしたので。このメンバーじゃないと、できない曲ですね。

-まさに、このメンバーでなければ生まれてこない曲ですね。

YUHKI:SYUが8割のデモを作ってくるので、最初に聴いたときも名リフだと思ったし。そこにポップスではありえない、オペラ風のメロディが乗る。このメンバーのセンスと技術でできた曲だと思います。僕は個人的にこの曲が一番好きです。

-オペラちっくな歌唱に対応できるOnoさんの存在も大きいですよね。

SYU:Onoさんがソロ作『VS‐VERSUS‐』(2017年リリース)の中で「A Question Of Honour」(Sarah Brightman)をカバーされてて、その冒頭部分でオペラちっくな歌唱をされてるから、これはガルネリでもやるしかない! って。ソロのライヴも観にいって、その曲を聴いて、身体がゾワゾワッとしましたからね。

Ono:良く言うと、自分の歌唱スタイルはポップスのほうが長く歌っていたので、そちらは定まっているんですけど。悪く言うと、そこから外れた歌い方は試せないというか。"オペラちっくで!"と言われたときに、"ちょっとこれできるかな?"と思ったけど(笑)。自分ではそういう案が浮かばない人なんですよ。周りに言ってもらって、歌い手としての可能性を引き出してもらえているのかなと。昨日、今日とリハでもやりましたが、楽しいですねぇ(笑)。

SYU:いや、さすがっすよ! レコーディングでもブーブー言うし、リハーサルでもブーブー言いますけど、なんとかしちゃうんですよ。それは才能だなと。

Ono:いやいや、そんなことはないんだけど、なんとかね。

-「THE FOLLOWERS」は、ラウド好きはもちろんクラシック音楽好きにも刺さりそうだなと。

SYU:そうですね!

YUHKI:この曲だけ全編英語詞なので、ヨーロッパとかそっちの方面でも聴いてもらえるかなと。

-MVもそんな雰囲気ですからね。

SYU:全世界配信もしているので、各国の反応も楽しみです。Facebookではヨーロッパ、南アメリカ系の反応も多いですからね。盤石な感じでいくと、「MY HOPE IS GONE」、「THE END OF THE LINE」、「COME BACK TO ME AGAIN」みたいなメロスピ曲をMVに持ってくるのもアリやけど、"おっ! えっ?"と思わせるものにしたくて。