INTERVIEW
GALNERYUS
2023.02.28UPDATE
2023年03月号掲載
Member:SYU(Gt) Masatoshi "SHO" Ono(Vo)
Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)
2020年に新体制として始動したGALNERYUSが新たなステージへ! コロナ禍を経てこのたびリリースするスペシャル・アルバム『BETWEEN DREAD AND VALOR』は、自身が"ポジティヴな強い思いが詰まっている"と話す通り、より濃厚で強固な仕上がりに。同作を引っ提げ、3月24日から全国ツアー["STRUGGLING BETWEEN DREAD AND VALOR" TOUR 2023]をスタートさせるGALNERYUSからSYU、Masatoshi "SHO" Onoの2名に、作品に込めた想いやツアーの意気込みなど話を訊いた。
一曲一曲に込められている思いが強いですね
-『BETWEEN DREAD AND VALOR』の完成おめでとうございます。前作の『UNION GIVES STRENGTH』(2021年リリース)から約1年9ヶ月ぶりですね。まずは完成した今のお気持ちを教えてください。
Ono:まだ特殊なコロナ禍が続いてますけど、そのなかでもこうして1枚アルバムができたのは大切なことです。しかも何か新しいことを見せつつ、継承する部分もあって、しっかりGALNERYUSですっていうものを作れて良かったと思っています。
SYU:前回の『UNION GIVES STRENGTH』と今回のアルバムは、両方スペシャル・アルバムと呼んでいて、収録曲数的なところもあってそんな呼び方をしているんですけど、特に大きな意味があるかと言うとそうでもなくてフル・アルバムと基本的には変わらないんですよ。
-たしかにトータル時間で考えたらフル・アルバムと遜色ないですね。
SYU:そうですね。すでに2曲目の「RUN TO THE EDGE」は配信されていることもあって、(リスナーが)知っている曲もありつつ、4曲目の「LET US SHINE」はミュージック・ビデオになるんですけど、もう少ししたら完成するので、それも早々と聴いていただけるかなと思います。アルバムを買う前からこの曲知ってるみたいなのが結構ありますね。8曲目の「祈 (GALNERYUS VERSION)」に関しては、Onoさんのソロ(小野正利)の曲をGALNERYUSバージョンでやらせてもらうというのもありつつ、内容としては非常に濃く、しっかり攻めているところがあるので安心して聴いていただければと。ただ今作も前作同様、ミックスに3ヶ月以上を要しました。3ヶ月ぐらいずっと缶詰で大変でしたけど、おかげですごく勉強になることも多かったです。なので、非常にいいバランスで聴いていただけるかなと思いますけど、もっともっと成長したいなという気持ちがより強くなりましたね。
-以前は、アーティストにとってCDをリリースすることが当たり前だったじゃないですか。今は、配信は以前より簡単にできるようになりましたが、CDをリリースすることに関してはハードルがどんどん上がってきてると思うんですよね。そう思うと、実はしっかりと定期的にフィジカルをリリースできるってそんなに簡単じゃないのかなと。
Ono:そうですね。僕はあまり詳しくないけど、ネット上には歌手じゃなくて歌い手さんがいて、今どきの音楽をやってる若者だと、"ライヴってやる必要あるんですか?"くらいの人も多いんですよ。僕らの世代、GALNERYUSのメンバーもみんなそうだと思うんですけど、そこは理屈じゃなく"いや、ライヴはやるもんでしょ"と考えているので(笑)。だからアルバムも、リリースできるって感謝の気持ちはもちろん持ちつつ、一方では当たり前の作業として"新曲を聴いてもらうんだ"、"それに伴ってライヴを行うんだ"ということなんです。活動の仕方は"コロナ禍だから"、"今、時代がこうだから"って言って、例えば"アルバムはやめて配信だけにしようよ"とか、"サブスクでどうだ"とか、そういうことではないんですよね。もしかしたら何年かしたら、この活動の仕方は古いタイプと言われるかもしれないけど、それはそれでいいんですよ。そういう形でやっていかないと気持ち悪いですね(笑)。この2本柱でうまくやっていけているのでありがたいなと思います。"それが当たり前でしょ"っていう感じで感謝しながら続けていってる感じですね。
-なるほど。先ほど今作ではミックスに時間がかかったとおっしゃっていましたが、前作はドラムのLEAさんが加入しての、新編成による初めての作品ということもあり、取材(※2021年6月号掲載)でもガルネリ(GALNERYUS)史上一番長いレコーディングと言うほどに手探りな部分も多かったと思いますが、今作は前作と同体制ということもあり、ある程度カロリー抑え目で制作できたのかなと思ったんですが、そういうわけでもなく?
SYU:そうですね。LEA君は、1回リリースがあってツアー(["FIND THE WAY TO OVERCOME" TOUR 2021])も回って今作に臨んでいるんですけど、まだまだ成長の過程というところがあるので、そのときの100パーセント(の音)は絶対に入れることはできたなと思いますね。聴いてると、前回に比べると生音が気持ち良くなっているところが多くて、実際封じ込めるほうも生音強めで混ぜていくような感じで作った感じですね。なので着実に成長しているところがあって、それに対してほかの音をどんな音にしていくのかって感じでできたから、また違った音になってるなというのが強くあります。
-ではドラムのレコーディングにより制作時間をかけたということでしょうか?
SYU:そうですね。トータルのサウンドメイキングが本当に難しいので、全部が交ざったときにどう聴こえるか。それで、Onoさんの歌がもともとしっかり抜ける声なので作りやすいってのはあるんですけど、そんななかでいかにバランスを取るかっていうところに時間をかけましたね。
-前作に続いてまだ模索中の部分はあるけど、ただアップデートはできているということですよね。
SYU:そうですね。はい。
Ono:僕にはまったくできない作業なので、本当に素人の目線でも"大変なんだろうな"って思うくらいで。それはもう沼ですよね。いつまでもやっていられるけどどこかで"これだ"っていうのを決めなきゃいけないし、もしかしたら"これだ"と思っても次の日に"うーん?"って再び悩むときもあるだろうし。
SYU:人間の耳って毎日何か違うじゃないですか、ハイの出方が全然違って聴こえたり、天候のせいなのか、それとも俺の耳のせいなのかはわからないから、そのなかで間を取った感じにするしかないなと。ローが出すぎとかハイが出すぎとか、キワキワにはしないように、そういうのは気をつけるようにしてます。
-前作のコンセプトは1回目の緊急事態宣言あたりから制作を始めたこともありコロナ禍という時代性を強く反映させたものでしたが、今作のコンセプトはいかがでしょうか?
SYU:今作はもうコロナとかはあまり関係なくなってるので、作品とコロナで結びつくところはないです。だいぶもう飽き飽きしちゃって。前作『UNION GIVES STRENGTH』を作ったときはおっしゃる通りもろにコロナ禍になって、恐怖と戦っているのが如実に表れていたから、曲調もリアルな雰囲気がしてるなと感じるんですけど、今回はそこから抜け切って頑張っていこうぜっていう、ポジティヴな強い思いがすべての曲に詰まっている感じです。
-アルバム・タイトルの"BETWEEN DREAD AND VALOR"ですが、和訳すると"恐怖と勇気の間"でしたので、歌詞含めて前作の延長線上にあるのかなと考えていました。
SYU:すべての曲がコンセプトでまとまっているというわけではなくて、一曲一曲に込められている思いが強いですね。「RUN TO THE EDGE」に関しては戦争を題材にしているんですけど、あまり専門的な言葉を使わないで、自分が受けた気持ちや"これは歌詞にしないとどうしようもないな"っていう想いが曲調とすごく合うので入れました。「TIME WILL TELL」はOnoさんとYUHKI(Key)さん作詞なんですけど、それはYUHKIさんがまず原案として持ってきたのを、Onoさんと分け合って歌詞を書いています。
Ono:YUHKIさんが"この曲に対してこういう気持ちでこんな歌詞を書きたいんだけど、おそらくOnoさんも共感できるんじゃないか"って言うから"そうですね"と言ったら、"じゃあ半分歌詞お願いします"みたいな感じで一緒に書きました。
SYU:あと4曲目「LET US SHINE」、5曲目「WITH PRIDE」がありますけど、この2曲は同じシンセの音色を使っていまして、対をなしている曲だと思ってもらえれば。僕らの中ではメロハー区画って言っているんですけど、GALNERYUSにしてはテンポが遅くて歌をすごく聴かせていく。そのわりには「LET US SHINE」はギター・ソロをすごく弾いてて、ひとり忙しいんですけど(笑)。この2曲は非常に難しいですね。ライヴでしっかり気持ち良くできるようにもっと練習しないと、という感じです。ソロが難しいとかの話じゃなくて、トータルのノリがめちゃくちゃ難しい。
-そうですね。GALNERYUSの楽曲の中では、Onoさんのヴォーカルとキャッチーなシンセが前面に出た王道のメロディアス・ハード・ロックな仕上がりです。
SYU:シンセの音をかなり強調しているところも、GALNERYUSの中ではちょっと珍しいかなと。「LET US SHINE」はミュージック・ビデオになるんですよね。
-もうすでにリード・トラックの「RUN TO THE EDGE」が先行配信されているので、「RUN TO THE EDGE」がリリース後のMV公開になるのかなと思ったんですけど、予想を裏切られました(笑)。
SYU:そうなんですよ。「RUN TO THE EDGE」がミュージック・ビデオかと思いきや実は「LET US SHINE」でして。メンバーもプロデューサーも満場一致で、"今回はこれでいこうぜ"って。
-基本的に疾走感のある曲がMVになりがちですけど、この曲はこの曲でMVの仕上がりが想像つかないので楽しみですね。もうすでに撮影は終わってるんですか?
SYU:終わりました。岩場で撮影しました。めっちゃ寒かったね。
Ono:大寒波って言われていたまさにその日です。
SYU:終わりかけのときに雹がすごく降ってきてえらいこっちゃでした。
-都心でも寒いのに、そういう場所だと絶対に寒さ増しますよね。
SYU:もう信じられないぐらい寒かったです(笑)。
-Onoさんは寒くなかったですか?
Ono:僕はソロで撮るのが昼間で、風もそんなに吹かずに日が出ていて、"思ったより寒くないな、むしろちょっと暖かいな"って思ってたんですけど、最後全員で撮りましょうってなった16時あたりからグッと冷えましたね。
SYU:ちょっと日が落ちてきただけならいいんですけど、雲が出てきてあれよあれよという間に冷え込んできました。
-今は完成を待っているような感じですね。
SYU:そうですね。5曲目の「WITH PRIDE」はOnoさん作詞で、メロハー2曲目みたいな感じですね。この曲もOnoさんの苦悩というか、そんな思いが詰まった曲です。
Ono:"高い声出したいわぁ~"、"高い声出し続けなきゃ~"っていう内容の歌詞です(笑)。
-そういう葛藤と、それを鼓舞する歌詞なんですね(笑)。
SHO:歌詞に関しては、SYU君から日本語で書いてくれとか英語で書いてくれとか、曲がこうでおそらく何曲目ぐらいに来るから流れとしてはこんな感じでとか、明るめでとか切なめでとか程度の要望で、誤解を招くような言い方になるかもしれませんが、いい意味で縛りなく書かせてもらっています。
-話が前後しますが、「RUN TO THE EDGE」はBPM175前後の一般的にはアップテンポな楽曲ですが、BPM200弱の前作の最速な冒頭2曲(「THE HOWLING DARKNESS」、「FLAMES OF RAGE」)と比較すると、そこまでスピードやアグレッションに固執せず、キャッチーなメロディに強く重きを置いているように感じました。このことは「RUN TO THE EDGE」だけでなくアルバム全般に言えることなんですが。
SYU:今作はいい感じに粒ぞろいになってくれればな、というアルバムにしたかったというか。明確なコンセプトを設けている作品ではなかったので、言ってしまえば自由にいい曲を作ろうっていう気持ちだけ持ってやってましたね。
-なるほど。
Ono:これでBPM194の前作の2曲を聴くと"速え!"って思うもん(笑)。
SYU:今回はうちらが一番得意とするテンポかなっていう。
-175あたりが。またGALNERYUSの王道に立ち返ってきた感じですね。
SYU:そうですね。