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INTERVIEW

GALNERYUS

2023.02.28UPDATE

2023年03月号掲載

GALNERYUS

Member:SYU(Gt) Masatoshi "SHO" Ono(Vo)

Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)

-アルバム1曲目に話を戻しますが、「DEMOLISH THE WICKEDNESS!」はプログレッシヴでテクニカルなインストですね。アルバムの本編を期待させるに十分なイントロダクションですね。ただプロローグとしては珍しいタイプの楽曲なんじゃないでしょうか。

SYU:そうなんですよ。ライヴのSEとして出ていくために流す曲ではあるんで、わかりやすい感じにしても良かったんですけど、聴いていてすごく面白い曲でありつつ、最近いろんなオープニング・テーマを書いてると、こういうテンポ感の曲って少ないなって。ちょっと変化球みたいではありますけど、とにかく流れたときにテンションが上がるか上がらないかっていうことだけを考えて作りました。

-インタールードだったらありそうな気はしますが、でもこれがプロローグというのはいい意味で期待を裏切る感じですね。

SYU:そうなんです(笑)。

-6曲目の「BRAVEHEARTS」は冒頭から勇壮ですね。ヴァイキング・メタル的な勇ましいクワイアもかっこいいです。ライヴでの大合唱が早く聴きたいです。

SYU:今回特にシンガロング系が多くて、コーラス・パートを非常に重厚に入れてます。「BRAVEHEARTS」のサビは男気あるコーラスを入れてるんですけど、"スタジオにいる人みんな来て"みたいな感じで僕らももちろん歌いつついろんな人に歌ってもらって。ライヴでマスクさえしていたら声出しOKって風潮になってきてるのもあるし、ツアーを回る頃にはいっそう収まってるかなという期待を込めてコーラスを入れました。こういう曲調の曲はコーラスを重厚にするとより映えるなって思ってたので、結構理想通りになりましたね。もともとヴォーカル以外がコーラスをしながら歌を聴かせていくバンドがすごく好きだったので、ライヴでもいい感じにできたらいいなと。

-コーラスの雄々しさは、ヴァイキング・メタルやイタリアのRHAPSODY OF FIREをイメージしました。個人的にもすごく好きでした。

Ono:雄々しいですよね(笑)。

-そうですね(笑)。この曲を筆頭にアルバム全体的にもコーラス・パートが多いですよね。声出しが制限されている状態が解除されるタイミングで、お客さんと一緒にシンガロングしたいなという思いが滲んでるのかなとは想像していました。

SYU:前回のツアーが2021年だった([GALNERYUS "FIND THE WAY TO OVERCOME" TOUR 2021])んですけど、そのときは特に声を出しちゃいけなくて、入場制限ももちろんあるしマスクもあるし、あとは"換気タイム"もやりましたね。そのうち何年かしたら、"こんなことやってたんだよ"って笑い話にできるかもしれないと思いながら当時はやってました。もうすでに過去の話だなって感じてはいるんですけど。

-そうですね。

SYU:Onoさんもソロでライヴしてるし、僕もキーボードのYUHKIさんとふたりでライヴしてますけど、来ていただけるお客さんの表情を見ていても全然気にしてなくて、もう慣れ切ってるというか。マスクさえしてれば声出ししてても特に問題ないみたいな風潮になってるから、ようやくやりたかったことをやれる日が戻ってきつつあるかなという感じではありますね。Onoさんも言いましたけど、ミュージシャンにとってライヴをすることの意義は音楽そのものなので、ライヴをしてないミュージシャンというと、それはミュージシャンと呼べるのかどうかって疑問になるんです。もちろんいろいろな形はあると思いますけど、一番原始的な話をすると、人前で何か音を鳴らしてそれを聴いてもらうのが音楽ですから。ひとりよがりでやってても良くはならないと思うし、できるだけたくさんの人に同じ気持ちでライヴで一緒に歌っていただけたらなという想いをより強く持って各曲作りましたね。

-なるほど。ライヴでしっかり映える感じの楽曲が勢揃いしていて、お客さんと一体になれそうですね。

SYU:一体化したいんですよね(笑)!

一同:(笑)

Ono:ステージに立ってると不思議なもんで、客席のお客さんが今どんな感じなのかってすごくわかるときがあるんですよね。例えば僕のソロで1993年に日本青年館でWOWOWのライヴ生中継("小野正利ライブ~VOICEⅢTOUR")をして、ステージにバーッて出ていったら明らかにお客さん緊張してるんですよ。"いやいや、リラックスしてくださいよ、あなたたちは緊張しなくていいから"みたいな空気感なんです(笑)。あとはGALNERYUSの過去のエピソードで言うと、僕が本番当日にちょっと調子が悪くて、1曲目歌うときも、"ハイトーン無理だ"と思って本来出すべきところを出さなかったんですよ。"お金払って時間使って来てくれてるお客さんに申し訳ないな"と思ったら、会場の空気が"なんだよふざけんなよ"じゃなくて、"あれ? Ono調子悪い? じゃあ俺たち頑張ろうよ!"みたいな感じできてくれたので、あれは本当にありがたかったですね。

SYU:名古屋だっけ?

Ono:野外とかでもあったし、何回かあるんですよ。

SYU:俺覚えてるの名古屋だなぁ。

Ono:"じゃあ俺ら歌おうぜ!"みたいな感じですごく助けてもらって。申し訳ないなと思いながらもお客さん温かいなぁと。お客さんも同じ空間で一緒に楽しんで、空気を作ってもらいましたね。僕も歌のレッスンをしていると、歌っていうのは本来誰かに聴いてもらう、聴かせる前提で歌うって行為があるからって話はするんですけど。今どきはそれをネットで聴かせればいいじゃんって言う人もいますが、やっぱり空気感としてライヴっていうのはね......。

-そうですよね。話を戻しますが、7曲目の「A PIECE OF SOULS」は「BRAVEHEARTS」のメロディをピアノで奏でながらの物悲しいエピローグですね。同じメロディでも表現の仕方で勇壮な曲にもエモーショナルな曲にも変化しますね。まさに本編最後を飾るに相応しい楽曲だと思いました。

SYU:これは聴いてもらえたらなんとなくおわかりかと思いますけど、ライヴが終わったあとの余韻で流す感じの曲にしたいと考えてて。いつもアンコールのあと最後に"ありがとうございました!"ってステージを掃けたあとに何か流すようにしてて、これはそんな感じの曲です。僕が作ってYUHKIさんにピアノを弾いてもらいましたね。まるっと1日かけて録音してくれたので、ぜひ最後まで聴いていただけたら嬉しいなと思います。

-8曲目にはOnoさんのソロ曲「祈」(2023年1月配信リリース)のGALNERYUSバージョンが収録されていますね。ピアノ&オーケストラ・サウンドの原曲がバンド・サウンドに生まれ変わっています。

SYU:"終末のワルキューレⅡ"の主題歌EDテーマですね。昨日ちょうど観てて流れてきたのでちょっと喜んでました。

一同:(笑)

SYU:しょうがないですけど、だいたいクレジットを飛ばすことになるじゃないですか。クレジットを観るっていうのを押さないと全部聴けないのはちょっとイラっと来るけど、そこも考えて作曲していて、テレレレーレレって入ってくるあれで"うん?"って思ってほしい。本当に数秒の勝負だなって。何人いるかわからないですけど、泣きのメロディから始まっていくことで、ちょっと聴いてみようかなって思ってくれたらいいなと。

-そういうところまで考えるんですね。

SYU:Aメロの出だしの部分はすごく考えましたね。現代の技術で飛ばすことができるっていうのはレコード会社的には嫌だと思いますけどね。視聴者にとっては楽なボタンではあるんだけど"聴けや!"みたいな。"せめて早送りしかできないようにしとけ!"と思っちゃうんです。かと言って僕がほかのやつ観てたら"よし、次のエピソード"ってなるけど(笑)。あれは"終末のワルキューレⅡ"だけでもやめてほしい(笑)。

-(笑)最後にツアーの話ですが、3月24日、さいたま新都心 VJ-3を皮切りに["STRUGGLING BETWEEN DREAD AND VALOR" TOUR 2023]が始まります。2021年のツアーと比較してコロナ前に近づいた環境下でライヴができるのではないでしょうか。そういった点も踏まえてツアーの意気込みを聞かせてください。

SYU:前回のツアーのときは肩に力が入っちゃってる部分があったかなと思うので、メンバー間でもお客さんをもっと楽しませてあげたいなという気持ちがすごくあって。お客さんと一緒にその現場をひとつの気持ちで共有していけるように、演奏やパフォーマンスはやっていけたらなと。話全然違うんですけど、ディズニーランドでやってるパフォーマーの人たちやいろんなアトラクションの人とか、やっぱりすごいなって思うんですよね。シーンとしてるところでも何かドカンと盛り上げるんですよ。僕自身いつでもできるかな? って考えたときに、自分はもしかしたらできないかもしれないと思うところがあったので、どんなときだって楽しんでもらえるようなパフォーマンスを身につけたいなと思いましたね。ファイナルのKT Zepp Yokohamaは僕たちにとっては初めての新しいZeppということで、1曲目の「DEMOLISH THE WICKEDNESS!」をSEで流したときに、できる限り派手なパフォーマンスがそこでできるように今いろいろ考えています。ファイナルに向けて一ヶ所一ヶ所気合入れて臨みますよ。とにかく楽しんでいただいて、自分たちも自由に楽しめるように頑張ろうと思います。

-Onoさんはいいがですか?

Ono:やっぱりヴォーカリストっていうのは、バンドのひとりではあるんだけど、どうしても真ん中で前に出て歌ってますから、さっきの話の続きで言えば空気感を作る、SYU君の言葉を借りればより楽しむ。GALNERYUSはヘヴィ・メタル・バンドなんですけど、世の中のあまりメタルに詳しくない人が考える"ちょっと怖いんでしょ"とか、"少し暴力的なんじゃないの?"とかではなく、僕も自由にセンターで振る舞ってますからいろいろと空気を作りやすいんですよね。

SYU:そういうの見てるとフロントマンってスゲーなと思うよ。

Ono:いやいや、それはね、(メンバーの)5分の1でいろいろ助けてもらいつつやれてるので。

SYU:OnoさんのMCの喋り方とか空気感すごく作ってますよ。

Ono:僕は"オラァー!"みたいなのできないけどそれでもいいですかって言って入ったので。

SYU:みんなそういう雰囲気が好きだって言ってる。

Ono:ハイトーン出せないけどいいですかって言ったらいいっすよって言われて入ったんです(笑)。

一同:(笑)

Ono:個人的には、(ツアー日程で)珍しく続いてるのが大阪と名古屋だけなので、それ以外は間があるし、体調管理をしっかりして、ペースをうまく掴みながらやっていきたいなと思っています。本当に各地楽しみです。

-ファンの方は前回のツアーも楽しんだとは思うんですけど、状況的に100パーセント出し切れない方もいたでしょうね。

SYU:絶対声出せないっていうのがルールとしてあったので、あれはちょっときついなぁと。

-ジャンル的にもメタルとかラウド系はきついですよね。

SYU:今の感染者5,000人と当時の5,000人の感じって違うじゃないですか。ちょうど(2021年8月の)新宿BLAZE公演の日が、感染者が5,000人くらいになってしまってるときで、声出しちゃいけないし、コロナにかかるとどうなるかわからないみたいな風潮だったから、言いすぎかもしれないけど命懸けて来てくれてるみたいなところを自分たちも感じてて、違うとこで感動しちゃうというか、こんなご時勢に来てくれてありがとうみたいな。だけど今回は"楽しもうぜ!"っていう思いがお客さんも強いんじゃないかと。

-リラックスした状態で来てくれそうですよね。

SYU:今からすごく楽しみです。身体もしっかり作っていかないと。

Ono:お客さんもこの状況に慣れてきてるから、そのなかでどう楽しむか工夫されてると思うので。さっきの話じゃないですけど、"俺たち楽しんでるから大丈夫だよ"みたいなシグナルを出してくれてるんですよね。