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INTERVIEW

BLACK SWEET × YUHKI(GALNERYUS/ALHAMBRA)

2019.11.13UPDATE

2019年11月号掲載

BLACK SWEET × YUHKI(GALNERYUS/ALHAMBRA)

BLACK SWEETの2年ぶりになるアルバム『The Lights』が、驚くべき内容に仕上がっている。従来のSTRYPERを彷彿とさせるメロディアスなハード・ロック路線は堅持しつつ、それ以上に様々なチャレンジをふんだんに盛り込んで、新天地に到達した作風を掲げているのだ。今作はGALNERYUS/ALHAMBRAのYUHKIをサウンド・プロデューサーに迎え、バンドと作曲段階から二人三脚で取り組む制作体制を取った。前作以降のバンドの人間的、音楽的成長を存分に引き出し、過去最高のバラエティに富む曲調が揃った作品について、BLACK SWEETの鷲塚、吉田のふたりとYUHKIによる特別座談会で今作の魅力を深掘りしたい。

BLACK SWEET:鷲塚 真志(Vo/Gt) 吉田 淳(Ba)
GALNERYUS/ALHAMBRA:YUHKI(Key)
インタビュアー:荒金 良介 Photo by うつみさな


今回は、新しいことを恐れずにやろうと思ったんですよ


-今作はYUHKIさん全曲プロデュースになりますが、とにかく楽曲の振れ幅がとんでもないことになってますね!

一同:はははははは(笑)。

-その作品の内容については追って訊きます。まずはBLACK SWEETとYUHKIさんの出会いというと?

鷲塚:もともと共通の知人がいて、僕が一昨年の年末に某バンドのライヴを観にいったら、そこにYUHKIさんがいらっしゃって、その知人から"YUHKIさんがいるんだけど、CD持ってないの?"と言われて。それまで全然喋ったことがなかったけど、挨拶してCDを直接渡したんですよ。で、YUHKIさんに気に入っていただけたんですかね?

YUHKI:うん(笑)。実際に聴いたら、メロディもいいし、彼らのやってることも面白いなと思って興味を持ったんですよ。

鷲塚:で、特にリリース予定のない新曲2曲をYUHKIさんとスタジオに入って、聴いてもらうことはできますかね? と話をしたんです。

-そんなにトントン拍子に話が進んだんですか?

鷲塚:そうなんですよ(笑)。

YUHKI:とりあえず一緒にスタジオに入って、このハーモニーはこうしたほうがいいんじゃない? って、僕なりにアレンジに口を挟みました。彼らの魅力はコーラス・ワークにもあるから、それをもっと生かしたらいいんじゃないかと。それが最初かな。

鷲塚:それで半日くらいアレンジをいじって、せっかくなのでそのあとも面倒を見てくださるという話に行き着いたんですよ。まずは、リリースするかどうかはさておき、YUHKIさんとレコーディングしようという。それが前作のシングル(2019年3月リリースの『We Are One』)ですね。

-シングル自体はもともと出す予定はなかった?

鷲塚:そうですね。

YUHKI:彼らがすごい勢いで進化していたから、フル作に先駆けて名刺代わりで出すのもアリだろうと。

鷲塚:YUHKIさんと僕らが好きな音楽も近いものがあったし、以前はGALNERYUSの人というイメージが強かったけど......。

吉田:ははははは(笑)。

鷲塚:僕らが好きなメロディアス・ハード・ロック、クラシック・ロックも好きだったので、そこでも馬が合いました。

YUHKI:僕が関わると、ハイトーンを出せ、速弾きしろ、とか言われるんじゃないかとビクビクしてたみたいなんですよ(笑)。僕自身、プロデュースという仕事は初めてだし、よっぽど自分がやりたいと思わないとやらなかったけど......彼らにすごく興味を持ったことが大きいですね。

-改めてYUHKIさんが思うBLACK SWEETの魅力とは?

YUHKI:最初の出会いから制作に入り、今日に至るまで彼らに対するイメージは二転三転しましたね(笑)。昔の彼らと今の彼らでは全然違います。それぐらい成長したと思ってますね。出会ったときはメロディアス・ハード・ロックをやりたいんだろうなと思い、そういうアルバムになるんじゃないかとイメージして制作に臨んだんですけど。10曲を入れるとして、短時間で10曲作って、10曲録るのは大変なことなんですよ。曲を煮詰め切れないし......。それもあって、今回は10曲を2曲ずつに分けて、5クールでやろうと僕から提案したんですよ。

-なるほど。

YUHKI:前作シングルに収録されている「We Are One」と「Walk In The Rain」のあとに、第2クールに入るという流れですね。その第2クールで彼らから来た曲が「Break and Remake」、「Leader Of My Life」で、特に前者に至ってはイメージとあまりにも違いすぎて、僕もびっくりしたんですよ(笑)。

鷲塚:1stアルバム(2017年リリースの『Time To Depart』)とは全然違いますからね。

YUHKI:そこでまた"こいつら面白い!"と思っちゃったんです。例えばメロハー(メロディアス・ハード)と言うと、懐古的なイメージがつきまとうし、オリジナリティを出しづらいというか。Steve Perryぐらいに歌が上手くないとね。

-JOURNEYの元ヴォーカルですね!

YUHKI:でも、BLACK SWEETはメンバー同士の仲もいいし、バンドの勢いをすごく感じたんですよ。その勢いを作品に封じ込めたかったから、「Break and Remake」は面白いなぁって。「Leader Of My Life」は懐かしい歌謡曲っぽい感じだよね?

鷲塚:そうですね、アレンジで変わりました。

YUHKI:だから、このアルバムはどんな作品になるのか、僕もわからなくなって(笑)。

吉田:第2クールで印象に残っているのはヴォーカル録りで、「Break and Remake」の落ちサビの後のコーラスが......。

鷲塚:たしかに! あのコーラス・アレンジは思いつかなかったね。

YUHKI:あぁ、QUEEN風のコーラスね。彼らが作った曲に対して、練りに練ったアレンジというより、直感的にこんなのどう? と提案して、その場でやったんですよ。

吉田:スタジオで試して、それをこなすことでレベルアップに繋がりましたね。

-1stアルバム発表以降、バンド内で何かしら変わってきた部分はあるんですか?

吉田:音楽的には、聴くものが変わりました。

鷲塚:以前はSTRYPERしか聴いてなかったけど(笑)、国内のシーンも幅広く聴くようになりました。聴かず嫌いが多かったんです。John Mayerだったり、BRING ME THE HORIZONだったりも以前は聴いてなかったけど、今は聴きますね。

吉田:いろいろ聴くと、自分もトライしてみたいという気持ちが生まれて、それを今回の歌やビート感にも落とし込めたかなと思います。

YUHKI:彼らが新しいものを吸収するのはすごくいいことだと思う。新しい時代に適合したものを作って、個性やオリジナリティを出さなきゃいけないですからね。

-BLACK SWEETの場合、メロハーの血はすでに体内に脈々と流れてますからね。

鷲塚:そうですね(笑)。今回は、新しいことを恐れずにやろうと思ったんですよ。新曲を作るたびに新たなチャレンジを盛り込もうと。曲によっては同じバンドが作っているの? と思うぐらいの違いがありますからね。

YUHKI:だから、僕自身も勉強になりました。彼らの成長具合にも驚きましたね。真志の歌も3段階ぐらい上がったし。

鷲塚:1stアルバムはセルフ・プロデュースでしたけど、YUHKIさんが第三者として判断してくれて、これは良し、これはダメと意見してくださるので、ダメだったら次はどうしようって考えましたからね。