INTERVIEW
SYU(from GALNERYUS)
2019.01.17UPDATE
2019年01月号掲載
Interviewer:荒金 良介
SYUのソロ・アルバム『VORVADOS』がとにかく素晴らしい。これはお世辞抜きに傑作と言いたくなる内容だ。GALNERYUSがデビュー15周年イヤーに突入し、その第1弾作としてリリースされる今作。そこにはSYUがこれまで培ってきたものに加え、ソロ作ならではの魅力もふんだんに詰め込まれている。初のヴォーカルをフィーチャーした楽曲には豪華なメンツが勢揃い。小野正利(GALNERYUS)、苑(摩天楼オペラ)、団長(NoGoD)、DOUGEN(AFTERZERO/THOUSAND EYES/UNDEAD CORPORATION)、Fuki(Fuki Commune/Unlucky Morpheus/DOLL$BOXX)、AKANE LIV(LIV MOON)、HARUKA(TEARS OF TRAGEDY)と、男女ヴォーカリストが華麗に彩る曲調は凄まじい完成度を誇っている。今作についてSYUに話を訊いた。
-GALNERYUSのデビュー15周年イヤーの第1弾として、SYUさんのソロ・アルバムがリリースされます。
以前からソロ・アルバムを作りたくて、それが15周年イヤーと被った形ですね。GALNERYUSでコンセプト・アルバムが2作(2015年リリースの『UNDER THE FORCE OF COURAGE』と2017年リリースの『ULTIMATE SACRIFICE』)続いたので、充電期間も必要だなと。なので、2018年はGALNERYUSの新作制作はまだ行わないことにしたので、ソロ作を作る時間がありました。
-今作は初のヴォーカル入り作品ですけど、歌とギターがせめぎ合う、バトル感溢れる内容で、演者同士の魂が衝突した濃密な作品で驚きました。
そう言ってもらえると、ありがたいですね。ゲスト・ヴォーカリストはずっと仲良くさせてもらってる人ばかりなので、どんな歌を歌うのかは理解しているから、この人ならこういう曲が合うだろうと。それが自分の中でうまくいきました。特にFuki(Fuki Commune/Unlucky Morpheus/DOLL$BOXX)が歌った2曲(「REASON」、「AndroiDedication」)に関しては、泣きのメロディ全開でザ・メタルという曲ですから、ピアノで打ち込みしているときにすでにFukiの声が聴こえてました(笑)。各ヴォーカリストの個性が強いので、「Euphoria」も団長(NoGoD)さんをイメージして作りましたし。クラブ・メタルというか、言い方がちょっとあれですけど(笑)。仮タイトルがその名前で、クラブ・サウンドとメタルを掛け合わせたので、AMARANTHEっぽいニュアンスを目指した曲ですね。
-各ヴォーカリストをイメージした曲作りという意味ではGALNERYUSとは取り組み方がまた違いましたか?
うーん、GALNERYUSでも基本は歌をメインに考えるので、気にしたことと言えばキーぐらいですかね。とはいえ、苑(摩天楼オペラ)さんが歌ってくれた「ここで区切れと天使は歌う」はめちゃくちゃキーが高くなったんですけど。Fuki、苑さんに無理矢理お願いしたら、レコーディングで"出ちゃいましたね!"みたいな(笑)。
-今作の制作はいつごろから取りかかったのですか?
今年の1月(※取材は2018年12月下旬)から曲作りを始めました。曲は決め打ちで作るので、今回もそんなに多く作ってないんですよ。いいメロディが浮かんだら、そこから曲を膨らませていくので、むやみに曲を作ることはないですね。
-ということは、1曲に対してこだわり抜くタイプ?
そうですね。各ヴォーカルのバッキングや、そのバランスにも気を遣いますからね。完全に家内制手工業なので、普段よりも相当時間はかかりました。プログラミングしたり、ベースを弾いたり、やることも多かったですからね。
-楽器はもちろん、プロデューサー的視点も必要になりますよね?
はい。今回の演奏に関してはほぼ全部僕がやりましたし、録ったヴォーカルに関しても自分の責任で選ばなきゃいけないので、ギターを弾く以外の作業がとても多かったです。GALNERYUSはメンバーに恵まれているので、改めてありがたいことだなと思いました(笑)。
GALNERYUSと変わらず、絶対にいいアルバムだと言わせるものにしたかった
-今作を作るうえで特に意識したことはありますか?
1曲目にインストを置いて、2曲目に自分的なストライクな曲を入れて、それから流れを踏まえて曲を配置するのはGALNERYUSと同じですね。
-そこは自分の中にある必勝パターンをソロでも意識したと。作品全体としてはどんなイメージを持って臨みました?
ソロ作はバンドの音源と比べると、軽く見られがちだと思うんですよ。そう思われるのが嫌なので、ちゃんとしたバンドのアルバムであるというイメージづけをしたくて。ということは、GALNERYUSと変わらず、絶対にいいアルバムだと言わせるものにしようと。ゲスト・ヴォーカルが歌っているけど、作品に流れがあって、アルバムとして完成度が高いものを目指しました。重みのある作品にしたかったですね。
-1曲1曲の聴き応えが半端じゃないです。SYUさんが考える重みのある作品とはどんなものでしょう?
GALNERYUSの経験が自分の中ではすごく大きくて。妙に捻くれた曲作りをするわけではなく、ベタなところはベタに攻めて、少しフックを入れたいところは入れるという。キャッチーさは大事にしているので、それは今回も反映されてると思います。ただ、キャッチーすぎると、飽きがくるだろうし、聴くたびに発見がある作品にしたかったですね。
-実際のレコーディング自体はいかがでした?
小野(小野正利/GALNERYUS)さんを含め、素晴らしいヴォーカリストが揃っているので、早い人は1時間半ぐらいで終わりました。小野さんはバラード曲で歌詞もお願いしたんですけど、GALNERYUSの小野さんじゃなく、"ソロの小野さんで"とお願いしたんです。僕は、1992年に発売された「You're the Only...」という曲のシングルを普通に買ってたんですよ。だから、あのイメージの小野さんでお願いしました。
-そこまで具体的にお願いしたんですね(笑)。
ソロの小野さんは歌い回しが違って、コロコロしながらもフワッと歌うところがあるので、そのニュアンスでやってほしかったんですよ。いちファンの気持ちでリクエストしました。
-今作は基本的にゲスト・ヴォーカルの方に歌詞もお願いしてますよね?
そうですね。各ヴォーカルの個性を出してもらうには自身の文章で書いてもらった方がいいなと。で、各自が書く歌詞も好きですからね。曲を作る人が絶対君主みたいにはしたくなくて。やってくれる人の色が入ってこそバンドだと思うし、そのスタイルは曲げたくなかったんです。
-歌詞は何かしらリクエストしたんですか?
ざっくりですね。「REASON」は強い心的な感じでお願いして、「AndroiDedication」はちょっと恋心でいきましょうって。何も言ってない曲もありますけどね。苑さんには好きに書いてくださいって。そしたら曲の雰囲気を感じ取って、配偶者との死別みたいな歌詞を書いたと言ってくれて、その内容にも感銘を受けました。