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LIVE REPORT

PassCode

2023.12.09 @豊洲PIT

Writer : 菅谷 透 Photographer:ヨシモリユウナ、森好弘

初のUSツアーを2023年9月に開催し、10月からはその流れを汲んだ日本ツアーとして"US / JAPAN TOUR 2023 - GROUNDSWELL -"と題し全国11都市12会場を巡ってきたPassCode。ツアー・ファイナルにして2023年最後のライヴとなった豊洲PIT公演は、開演前のアナウンスの時点でフロアから大きな歓声が上がるほど期待感に満ちていた。

SEが流れ出し、バンド・メンバーに続いて南 菜生、高嶋 楓、大上陽奈子、有馬えみりの4人がステージに現れると会場の気温がグッと上昇。最新作『GROUNDSWELL ep.』の表題曲で、本ツアーのタイトルでもある「GROUNDSWELL」からライヴがスタートした。"PassCodeはここまでライヴだけで上がってきたグループです。ライヴが売りのグループです。準備いい? 声出せ!"という南のアジテートから投下されたのは「Maze of mind」。PassCodeの歴史を彩ってきたナンバーによって、フロアはさらなるカオスへと導かれていく。

『GROUNDSWELL ep.』と対をなす『REVERBERATE ep.』の収録曲「NOTHING SEEKER」、「SIREN」へと続いてもハッカー(PassCodeファンの総称)の勢いは止まることがなく、新旧の楽曲が血肉となって強烈なエネルギーを生み出しているのが感じられた。小休止を経て、"コロナになってからの2年半、ただただこういう日が来るのをずっと待ちわびてました。こんな夜がないとやってられへんよな! 楽しんでこうぜ!"(南)と披露された「MYTH」は、めまぐるしい構成に合唱パート、殺陣のような振付まで盛り込まれた圧巻の情報量でユニーク。攻撃的なリフとシャウトを突きつける「FLAVOR OF BLUE」、ラウドながらダンサブルなビートがフロアを揺らす「Melody from the Bumbling Clash」と続けたあと、「Anything New」では大合唱とジャンプが会場をひとつにする。コロナ禍を経て、4人とハッカーが掴み取ったエモーショナルな景色に胸が熱くなった。

中盤のMCでは、ツアーでの豊洲PIT公演が2021年(["STRIVE" for BUDOKAN Tour 2021])以来だと述べ、コロナ禍の規制真っ只中で人と人との間隔が空いていた前回を振り返り"ライヴハウスっぽい豊洲PITは久々に見た気がします"と、密なフロアに笑顔を向ける。2023年最後のライヴということでやや早い年の瀬の挨拶が送られたあとは、ツアー各地に遠征してきてくれたハッカーの話題に。この日はニューヨークやフィンランドなど海外から駆けつけた人もいたようで、こちらも渡航が自由になった、アフター・コロナの現場ならではと言える。また対バン企画"VERSUS PASSCODE"にも触れ、2024年は2月に決定しているROTTENGRAFFTYとの対バンだけでなくもっといっぱいやれたら、と願望を口にすると大きな期待の声が上がった。

そして、今回は久しぶりの全国ツアーということで新しい曲だけではなく昔の曲も、と披露されたのは「Nextage」。イントロから割れんばかりの歓声が上がったあとは、高まったテンションを反映した力強いコールに"かわいい声で"と返してみたり、指でハートを描いたりと、手加減のないアイドル・モードで観客を虜にしていく。その後は"ザ・PassCode"なサウンドを継承し発展させた「Future's near by」、「Live your truth」で畳み掛け、「Lord of Light」では美麗なコレオでも魅了。高強度でありながら多彩なステージングで駆け抜けた。

終盤戦に入っても観客のボルテージは衰えることなく、暗転時でも止まないコールにステージから"私たちよりも全然元気だね"と驚きの声が漏れる。MCではバンド・メンバーにそれぞれツアーの感想を無茶ぶりしつつ、有馬もライヴハウスらしいツアーは初めてでは? という流れから南が"続けてきたからこういうライヴができると思うと、続けてきた甲斐がある"と語る。そして、南にとってPassCodeは10年前、16~7歳のころから続けてきた"青春"だと述べ、青春を始めるのに年齢は関係なく、思い返したときに最高だった/楽しかったと思えるもの自体が青春だとしたうえで"みんなと一緒にPassCodeという青春を作っていけたらと思っています"と告げ、大きな拍手が響き渡った。

ステージもフロアも決意を新たにしたところで、コロナ禍でリリースされた「Freely」をリミッター解除のフル・スロットルでパフォーマンスすると、矢継ぎ早に「Club Kids Never Die」を投下。イントロから狂喜乱舞のシンガロングでますますヒートアップしていくなかで"この曲は私たちの光の歌"(南)と「Ray」が続く。歴代アンセムが並んだあとで披露された「Clouds Across The Moon」でも大きなシンガロングとクラップが起こっていて、コロナ禍を経てライヴのスタイルを再定義してきた2023年のPassCodeを象徴するような"新たなアンセム"になっていた。ラストは"ずっとこの日を待ってました。2023年を一緒に完成させよう"(南)と呼び掛け、「It's you」の大合唱。"ライヴを続けてきて、PassCodeを続けてきて本当に良かった"と、充実の笑顔で1年を締めくくった。


[Setlist]
1. GROUNDSWELL
2. Maze of mind
3. NOTHING SEEKER
4. SIREN
5. MYTH
6. FLAVOR OF BLUE
7. Melody from the Bumbling Clash
8. Anything New
9. Nextage
10. Future's near by
11. Live your truth
12. Lord of Light
13. Freely
14. Club Kids Never Die
15. Ray
16. Clouds Across The Moon
17. It's you

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