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LIVE REPORT

coldrain

2022.07.11 @LIQUIDROOM ebisu

Writer 荒金 良介 Photo by ヤマダマサヒロ

ライヴが始まり、ほんの数曲で汗が噴き出てきた。この感覚は久しぶりだ。coldrainの最新アルバム『Nonnegative』は過去最高に"発汗作用"を促す1枚であった。ということは、新作に伴うレコ発ツアー["Nonnegative" ONE MAN TOUR 2022]初日は、観客を汗まみれにすることを命題に置いていたのではないか。それならば、彼らがわざわざツアー初日にこのハコ(LIQUIDROOM)を選んだ理由がよくわかる。さらに驚くべき点として、初めて新作『Nonnegative』のナンバーをツアー初日に全曲プレイした。coldrainは今年結成15周年だが、アーティストはキャリアを重ねるほど、ライヴでやるべき曲が増え、セットリストは固定しがちだ。もちろんこの日も定番/アンセム曲を織り込んでいたけれど、今日の主役は完全に新曲群だった。

新作=最高傑作という共通認識がMasato(Vo)、Y.K.C(Gt)、Sugi(Gt/Cho)、RxYxO(Ba/Cho)、Katsuma(Dr)のメンバー5人の中にはあったのだろう。その自信がパフォーマンスにも凄まじい推進力を与えていた。ヘヴィで緻密、加えて豪快でポップという、デビューから磨き続けてきたcoldrain流ラウドロックを気持ちいいほど振りかざし、フロアに歓喜の渦を作り出していた。"アルバムの中で一番激しい曲"とMasatoが前置きして始まった「Rabbit Hole」は、音源で初めて聴いたときは思わず笑ってしまった。天国と地獄が交互にやってくるラウド・ポップな曲調は、現場でもやはり特段の映えっぷり。coldrainの真骨頂を刻みつけたやりすぎ感が最高だった!

また、メロコア・バンドと対バンを繰り広げて得た、観客とひとつになる楽しさを反映させたような「Help Me Help You」においても、熱いリアクションを引き出していた。ハンドクラップ&合唱コーラスを盛り込んだド直球のアプローチが奏功し、バンドと観客の一体感を高める1曲として盛大に鳴り響く。そして、Katsumaのマーチング・ドラムが印象的なバラード「Boys And Girls」は、まさに15年というキャリアを経たcoldrainの成熟ぶりを投影した曲調。ラウドロック一辺倒ではなく、普遍的なメロディ・センスで観る者をねじ伏せる深い説得力も彼らの大きな武器である。

ライヴ終盤にはツアー初日ということもあり、ペース配分がわからずに一気に駆け抜けたことを知らせるMasato。続けて"クサいのがライヴハウスだよね? 最初の何曲かは空調を切っていた"とネタばらしする場面もあった。グチャグチャになって暴れることができないなら、せめて汗だくだったライヴハウスの空気を再現したい。その狙いはツアー初日の時点で大成功に終わったと言えるだろう。

"みんなマジで歌ってない......喜んでいいのか、悲しんでいいのか。横アリ(横浜アリーナ/ファイナル公演)ではみんなの声を聴きたい。横アリではそんなに歌うな! っていうのが想像できる"とMasato。そう、本ツアーは横浜アリーナ公演を見据えたものであり、もっと言えば、あのデカいハコをライヴハウス化させたい! という願いがあるのだろう。そのためには、尋常ではない熱さと暑さが必要なのだ。本ツアーは各地で灼熱地獄を作り上げ、そのエネルギーを横浜アリーナで大爆発させるに違いない。あぁ、今から楽しみで仕方がない。

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