LIVE REPORT
coldrain
2013.10.12 @SHIBUYA-AX
Writer ムラオカ
coldrainにとってSHIBUYA-AXでワンマン公演を行うのも1500人規模でワンマンを行うのも今回が初だが、チケットは早い段階でソールド・アウト。彼らの今の勢いがダイレクトに集客数に反映しているのが見て取れる。後方までパンパンの会場はスタート前から期待に胸躍らせるキッズたちの熱気ですごいことになっている。ほぼ定刻通りにSEが流れ始めると、ステージ背後のバックドロップの巨大なcoldrainのロゴが暗闇のなか点滅を始め、SEが終了すると4月にリリースした『THE REVELATION』から同名のリード・トラック「The Revelation」が鳴らされる。ワンマンという長丁場にもかかわらず頭っからブッ飛ばしてくる。個人的にも2013年のベスト・トラック候補のこの曲でテンションが上がらないわけがない。最新作から続けざまにセレクトされた「Timb Bomb」では息の合ったコールアンドレスポンスでステージとフロアが徐々に繋がってゆき、2ndアルバム『The Enemy Inside』より「Rescue Me」がそれに続く。エッジのきいた楽器隊、そしてMasatoのUSメタルコア勢の影響を感じさせる野太いスクリームが原曲をもう一段進化させ、新たな魅力となって吹き込まれている。Masatoの両サイドを刈り上げたヘア・スタイルに袖を切り落としたデニム・ベストという今日のファッションもそうだし、筋肉質なステージ・パフォーマンスも海外の最新型メタルコア、スクリーモ・シーンの影響も感じさせ非常にクールでかっこいい。その後、「Behind The Curtain」、「Persona」、そして拡声器を用いてMasatoが歌う「Given Up On You」とここ2作からチョイスし披露していく。
ここまでブレイクをほとんど入れずに畳み掛けてきたが、一旦ブレイクしMasatoが"THE REVELATION TOURにようこそ!"と叫ぶと観客から大歓声が上がる。そして不敵な笑みを浮かべて、"じっくりゆっくりぶっ殺してやるからかかってこいよ東京!!" と叫び、彼らがバンド史上初めてブレイクダウンを導入した「Die tomorrow」を会場に解き放つ。作品やリリース当時のライヴよりアグレッションが倍増しTHE REVELATION TOUR仕様となり刺激度が増している。ここまでMasatoのヘヴィな側面に目が行っていたが彼の成長はそれだけではない。次に演奏した「Inside of me」では彼のクリーン・パートの安定感と表現力が飛躍的に向上していることに改めて気づかされた。
ここでMasatoが"全国9本ツアーを回って来ましたが全国各地ヤバすぎでした、今ラウドロックが日本で1番のジャンルじゃないですか?"とMC。自分たちのライヴが盛り上がってるのだから、coldrain盛り上がってます!でいい気もするが、日本のラウドロック・シーンを誇らしげに語る姿を見て新世代を引っ張っていくのは彼らに違いないと確信させられた。
その後、哀愁のバラード「Miss You」で会場及びステージをクールダウンさせ、HOOBASTANK、LOSTPROPHETSを継承する王道ラウドロックの「Next To You」、そしてライヴ映えする「Never Look Away」を続けてプレイ。そして"古い曲やっていいですか"、"全員で飛ぶぞ!Jump Da Fuck up!"という掛け声とともに「24-7」をプレイ。会場の最後尾のキッズまでブリブリで縦ノリなリズムに合わせてジャンプを繰り返すと、筆者がいる2階席まで振動が伝わってくる。勢いそのままに個人的に大好物の「Six Feet Under」が繰り出され、殺傷力の高いギター・リフが観客の理性を完膚なきまでに打ち砕いていく。初めて"TRIPLE AXE TOUR 2012"でこの曲を体験した時の衝撃も凄いものだったが、ツアーで鍛え上げられてきたことでグルーヴと切れ味が増し、その場にいるものを確実に締め落とす曲に成長してきているのがよく分かる。またテクニカルなソロやエグい落とし方のブレイクダウンなどY.K.CとSugiのギター・コンビが大々的にフィーチャーされている名曲だと言っていいだろう。
その後、ワンマンならではのレアなRxYxOのMCが登場。普段はフードを被ってクールにプレイに徹している彼だが、そんなイメージとは裏腹に砕けたトークで観客を笑わせ和んだ空気が会場に漂う。そんなライトな話題から一変してMasatoの口から来年1月18日の新木場STUDIO COASTでのワンマン・ライヴが発表され、会場は一時騒然となる。SHIBUYA-AXを即完させた彼らの勢いをもってすれば、STUDIO COASTで行うことは博打などではなく現実的な選択だと言えるだろう。
サプライズMCの後はcoldrain随一の切ないバラード「Confession」が奏でられる。フェスやイベントではないワンマンというフルサイズのライヴを体感すると、彼らがバラードやミドルテンポの曲を魅力的に鳴らすバンドだということがよく分かる。そのクオリティは国内、海外問わずラウド・ミュージック・シーンで活躍するバンドでは圧倒的なものであることは間違いない。
ライヴはいよいよ終盤戦に入り、最新作『THE REVELATION』のオープニングを飾る「The War Is On」が披露される。アルバム冒頭向きなノリのいい曲でもキャッチーな曲でも決してない、重厚なミドルテンポのこの曲をアルバム冒頭にあえて持ってきていることで、彼らがこの曲に対して揺るぎない自信を持っていることが窺えるが、ライヴで聴くとその魅力はさらに増して聴こえてくる。そしてアッパーなヒット・ソング「No Escape」では会場いたるところでモッシュとダイブが巻き起こる。「Voiceless」の後、「The Maze」では無二の戦友であるSiMのMAHが登場。予想できるゲストで驚きはなかったが、普段から仲が良いだけにコンビネーションも抜群で今のラウド・シーンを背負う2人のスクリームの掛け合いに会場全員が楽しんでいたのは間違いない。
そしてMasatoが"どうしてもやりたいのでやらせてください!"とまさかの「The Revelation」を再びプレイ。緊張感でヒリヒリとしたオープニングでの演奏も魅力的だったが、終盤戦での全メンバーがリミッターぶっ飛んだ状態での再演は、鳥肌が立つほどに、という比喩ではなく、実際に全身に鳥肌が立ち、演奏中全く治まらなかった。
ここまで19曲を演奏し何度もクライマックス級の昂揚を会場に巻き起こしていたが、本編ラストを飾る「To Be Alive」が放たれると、Katsumaの大胆豪放なドラミングが原曲のスケール感を倍増させ、それに引っ張られるように、長時間のモッシュ&ダイブで体力を削り取られてるはずのキッズたちが、最後の力を振り絞り至るところで飛びまくり、頭を振りまくる光景はまさに圧巻であった。
少ししてアンコールで再び登場すると、Masatoが"PTPでゲストを4枚取っておいた―――"と語り始める。"KはAXワンマンはすごく重要なんだと常々言っていた。俺はそれを聞き続けてきた。だから俺もAXワンマンを目指してきた。天国のKに歌います。届くかどうか分からないけど。"そうMCで語り、奏で始めたのはもちろん「Carry On」。ベースのRxYxOはKが立ち上げたブランド、nine microphonesのタンクトップに着替えてプレイ。言葉を発せずともKに敬意を示しているのが伝わってくる。そしてグルーヴィな「Adrenaline」を経て、ラストには飛躍的に進化を果たした彼らの飛躍の原点「Final Destination」が本日1番の疾走感をもって放たれ終演を迎えた。
coldrainにとって目標の1つであったSHIBUYA-AXワンマンを成功で締め括り、次は更なる高みのSTUDIO COASTワンマンを目指す。彼らの成長、進化を目の当たりにするとSTUDIO COASTワンマンだろうが武道館ワンマンだろうが彼らならきっと成し遂げる。そう筆者は確信めいたものを感じている。
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