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INTERVIEW

locofrank × HAWAIIAN6 × dustbox

2024.04.16UPDATE

2024年04月号掲載

locofrank × HAWAIIAN6 × dustbox

今、初めての時代が来たような気がして。その時代に、11年ぶりにおっさんが頑張る──これがどう世の中に刺激を生み出せるかが楽しみ(HATANO)


-そして作品のラストにくるのがHAWAIIAN6の「The Ocean」で、作品を包み込むようでありつつ、どこかここからも続いていく感じというのも匂わせるような、いいエンディングだなと思いました。

木下:あれはいい曲ですよね。

HATANO:そう聴こえているなら良かったなと(笑)。

SUGA:多分、俺らが最後はあれじゃなきゃイヤだみたいな感じでしたもんね。結構みんなで意見も出し合ったりしつつ、でも最後の曲が決まったのは早かったですよね。

HATANO:そうだね。俺はもう今回に関しては、曲順すらも気にならなかったんですよね、全員の曲を聴いたときに。どういうパターンで出てきても、1個のものとして聴ける自信があったというか。dustboxとlocofrankの音を聴いたときに、これは誰が何番目でもいいやって思えたくらいだったので。

-結局、曲順ってどう決まったんですか。

木下:俺は曲順決めの場には行ってないんですけど、自分が思うものを送っておいて、それで揉んでもらった感じだったんですけど、結局どう決まったんですか?

SUGA:locofrankでまとめたものとか、正行の気持ちとか、このへんの曲は上のほうがいいとかはなんとなく聞いていて。ざっくり2パターンくらいになったのかな。最後のほうは、もうこれでいいんじゃないみたいな(笑)。揉めることもなく、同じバンドの曲が並ばないようにしようっていうくらいで。

HATANO:だいたい3曲出してっていうと、その中にバンドだから1曲目候補っていうのは必ず入っているんですよね。だいたいこれは2曲目っていう感じで作ってるのかなっていうのがあったり。その組み合わせは言わんとしてもわかるというかね。あとはそれをどう並べたら自然に聴こえるかというだけな感じで。今回は、前回よりも全然スムーズだったんじゃないかな。前回は初めてだったからというのもあったし。

-それぞれいろんな力も入ったでしょうしね、お互いへの牽制も含めてという。

SUGA:しかも前回って、全員で集まって曲順も決めたんですよね。

木下:やったっすね。

SUGA:それも良くなかったんですよ(笑)。みんながみんな違うっていう。

HATANO:全員が言いたいことを言ってるだけで。今回はちょうどdustboxとHAWAIIAN6でツアーをしていたので。ライヴの前に楽屋でなんとなく話していたんですよ。こんな感じいいんじゃない? って。あとはlocofrankの意見を聞いて、擦り合わせればいいかっていう。そういうのもあって自然だったのもあったね。楽屋で曲を流してみて、フワッとみんなで話しながらね。

SUGA:JOJIとかも楽しそうにやってたから、曲をかけたりしながら。

HATANO:珍しくみんな積極的だったね。

SUGA:だから楽しかったですよ。

-なんだか話を聞いていると、この3バンドのスプリット、『THE LAST ANTHEMS』というもの自体が、バンドにとってもいいイベントになったという感じですね。

HATANO:そうですね。これがきっかけでモチベーションが下がってはいけないし。これをきっかけに、またツアーがあって、ツアーでさらなる高みを目指すことができてとか。というのは自分たちで探していければいいんじゃないですかね。それが作品を作ってツアーを回って、あぁ楽しかったねっていうんじゃダメだと思うし。この3バンドだったら、良くも悪くも毎回反省していけると思うんですよね。3バンドが一緒にやっている意味というのを──前回ってアワアワしてるうちにZeppツアーが終わっちゃったんですよね。それが今回は、話し合えるんじゃないかなという気がするので。ライヴですらも物語に。当然毎回、出順は違うので。それでも物語を作るにはどうしたらいいかはみんなで頭抱えながら、楽しくやりたいですね。

-今はたくさん後輩のバンド、若いバンドも増えてきていると思いますが、前回の『THE ANTHEMS』を聴いていましたっていうような後輩たちはいるんですか。

SUGA:ここ最近また、自分たちの音源を持ってきてくれるバンドが増えてきて。すげぇ昔から聴いてて、ずっと追いかけますみたいな。一時期はいなくなっていたんですけど、また帰ってきた感じで。

HATANO:もう20年以上もやっていると、バンドを押し出してくれた作品って昔の1stアルバムだったりするじゃないですか。もうそこじゃなくていいんですよね。過去の作品も当然ライヴでやっている曲なので、それは大事なんですけど、たった今自分たちがやっていることを見てもらって、面白いと言ってくれる後輩がいるのであれば、それがすごくいいし。今をどれだけ更新し続けるかが、一番やらなきゃいけないことというか。本当にそういうときって面白いんですよ。言ったら国内外のメロディックのシーンを作ってきたものすごいビッグ・ネームですらも、もう知らない世代が出てきているので。そういう世代の人たち、言わば真っ白な状態でポンとこんなおじさんがいるんだよって提示して、そのおじさんを見て高校生が面白いって言うなら夢があるし。そんなふうになれたら一番いいんですよね。自分たちが18歳とか20歳の頃、40代のやる音楽なんて聴かなかったじゃないですか。

-そうですね。まず、こうして長く活動を続けてくれるバンドがそんなにいなかったというのもありますしね。

SUGA:いなかったですね。

HATANO:今の時代そういうのを見るとアンバランスな感じだけど、面白いと思うんですよね。フェスの中身が40代後半とか、意味がわからないですもんね(笑)。それを考えたら今までの繰り返しじゃない、見知らぬ時代に突入したんだなと。本当に初めての時代が来たような気がして。その初めての時代にまた、11年ぶりにおっさんが頑張るという。これがどういうふうに世の中に刺激を生み出せるかというのは楽しみですけどね。

SUGA:そうですね(笑)。

-それぞれのパワーはもちろんのことですが、3バンドで一緒に作るこそのエネルギーはすごいものがありますからね。

木下:そういうことです。

SUGA:今回やってみて思ったけど、そりゃ10年とか開くよなって(笑)。やっぱりプレッシャーとか、そこにかける気持ちみたいなものが重いんですよ、こうして集まってやるって。自分たちのニュー・アルバムを作るのとはまた違う。

HATANO:うん、面白いよね。昔のオムニバスってあったじゃないですか。オムニバスの時代って、今だからわかるんですけど、あのオムニバスがすごく盛んな時代に、オムニバスに入るバンドというのはレーベル所属じゃないんですよね。まだまだレーベルには所属していない、なんの条件も制約もないバンドたちが入っていて。で、1枚1,000円で20バンド入ってますとかだったじゃないですか。あれってすげぇ面白かったんですけど。それぞれが事務所に所属して、いろんな発売元があって、1個にまとめるとなると大人の事情が出てくるもので。

-たしかに、そこが大変そうなイメージはあります。

HATANO:でもその大人の事情ですらふざけんなっていうのがバンドの面白さであったり。でもそれをやると言ったとき、いいねって言ってくれたのが3バンドの会社で。レーベルがそれすらも面白いと言ってくれる環境ってすごいことだと思うんです。だいたいそれやりたがるかと言ったら、やりたがらないじゃないですか、それぞれの会社の方針もあるし。当時この3バンドはそれぞれ別の会社でやっていたんですけど、"面白いじゃん"って自分たちを支えてくれたレーベルごと言ってくれたのもデカいんですよね。

SUGA:たしかに普通だったら、大人の事情でああだこうだなりそうなところが。

HATANO:後ろにいたはずの大人が実は子供だったという(笑)。『THE ANTHEMS』とかを見て、面白そうだなとか羨ましいなと思う人はいると思うんです。ただ形にしようと思ったときの難しさって本当にいろいろあると思うので。俺たちはそういうことでは幸せなんですよね。

SUGA:でもね、受け取る側の人たちが、俺らが楽しそうにやってることを楽しそうに見えてるのであれば、それは大正解なので。

HATANO:若いバンドたち、音源を持ってきてくれるようなバンドたちって、これから自分たちでレーベルを作るかもしれないし、自分たちでフェスをやるのかもしれないし、いろんな可能性があるじゃないですか。その先に、こんなことを俺らもやってみたいというのがあれば、自分たちだってやり方次第でできるんだなっていうのは、提示しておきたいですよね。

-ちなみに今回"THE LAST ANTHEMS"と冠した、この"LAST"としたのは。

SUGA:この"LAST"は、日本語的に考えるとこれで最後なのかなっていう感じに思っちゃうかもしれないですけど、"最後に残った"という意味もあって。このシーンで最後に残った俺らだぜという感じもあるし。響きもいいし、提案をしたらみんながいいねと言ってくれたので。それプラス、最後になるかもっていうのもありますしね(笑)。

HATANO:タイトルの候補が出たときに、"THE LAST ANTHEMS"いいじゃんと思って。でも英語がわからない俺からしたら、最後なの? と。まるでdustboxから絶縁状を受け取ったような感じで。

木下:ははははは!

HATANO:SUGAに聞いたらそういう意味じゃなくて、ということでこういうことでと言うので。最初はびっくりしましたね。

SUGA:こうやって作ってみると、いやぁこれ次あるのかって思いますけどね(笑)。本当、最後になってもいいくらいの気持ちで今回は挑みたいというのはありましたから。

HATANO:これは俺の感覚で、自分のバンドですら思うんですけど、来年で終わろうが半年後に終わろうが、別にそれでいいんですよね。たった今やっていること──今日が例えばライヴだったとしたら、今日のライヴで終わるならそれでも全然悔いがないんです。若い頃って、5年後にはこんなこと、10年後にはこんなことをって打ち上げでみんなで話すじゃないですか。そういうことすら思わなくなったんですよね。今決まっているスケジュールがすべてであって、それが更新されるのであれば、それをただひたすら毎日が最後になってもいいと思って繰り返していくだけで。仮にこの9人がたまたま居酒屋で会って、やるかって話になったのが5年後だったら、そのときが最速で。それでいいじゃんっていう。

木下:そうですね。

HATANO:これをやるためにあと5年バンドを頑張りましょうというのはイヤなんですよね。すげぇ夢中になってやっていった5年後にそんな話が出たならば、それでいいじゃんっていう。繰り返していったら10年経っていたというのが理想だなと思うんです。