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INTERVIEW

locofrank × HAWAIIAN6 × dustbox

2024.04.16UPDATE

2024年04月号掲載

locofrank × HAWAIIAN6 × dustbox

-前作はそれぞれの曲でそれぞれのバンドらしさが出て、1枚のパッケージになったという印象でしたが、今回の『THE LAST ANTHEMS』を聴いてすごく感じたのが"アルバム"らしいなということだったんです。1曲目(「if」/locofrank)からラストへのストーリー性も感じますし、9曲の意味合いがあるものになっているということで。

HATANO:今回のほうがスケジュール的には倒れそうだったんですけどね(笑)。

木下:3バンドともそれぞれツアーをやっていたから。

HATANO:最初に話し合ったじゃない? このスケジュールでレコーディングできるかっていう話をしたんですよ。そしたら3️バンドとも、やるしかないでしょっていう。

SUGA:なんとかやりますって言って。

HATANO:全員ツアー中のレコーディングでしたね。

-locofrankはちょうど結成25周年というバンドの節目となるツアー("locofrank presents SQUAD GOALS TOUR")もありましたよね。

木下:本当そうですね。でもだからこそ良かったのもありましたけどね、スケジュール的には地獄でしたけど(笑)。こういう音源、スプリットを出すということも刺激的だし、自分たちの冠で25年もやってきたんだなという実感もありつつの曲になりましたから。すごくいいタイミングではあったと思います。

HATANO:ただ、たまにライヴで会うじゃないですか。どう? ってみんなで進行状況を聞くんですけど、全員揃って"ヤバいです"とは言ってましたけどね。

木下:全然できてないと(笑)。

-今回も特にテーマというのはなしですか。

SUGA:そうですね。なんの話し合いもしてないのに、曲が集まってみるとあんな感じになるのが面白いよなっていうのは、この前も話していたんですよね。

HATANO:たぶん、単独音源だったらヤバいはヤバいけど、そこまでプレッシャーってないんですよ。ただこれが3バンドのスプリットだから、自分たちがそこに曲を提供する重みが変わってくるんですよね。さっき、1枚のアルバムに聴こえるとおっしゃっていましたけど、流れを途切れさせちゃいけないですからね。自分たちなりにも3曲で物語みたいなものをちゃんと作らなきゃいけないって、全員がたぶん思っているから、倒れそうなくらいのプレッシャーがあるというか。

SUGA:dustboxとしては、HAWAIIAN6とlocofrankが絶対作らないような曲は1曲作ろうとか、今までにないくらいメンバーで話し合いましたもん。俺が何曲か、こんなのどう? ってデモを持っていって作っていったんですけど。結局、7曲ぶんくらいのネタを渡したんですけど、そこから1個しか使わなくて。

-それがどの曲ですか。

SUGA:それが「Curse」かな。あとの2曲は、そのあとに合宿に入って、そこで1曲作って。その合宿でも何曲か作っているんですけど、でもそこからも1曲だったんです。そのあとに俺がもう1回いろいろと考えて、レコーディングの2週間前くらいにもう1個こんなのあるんだけどって。すでに候補はあったんですけど、こういうのどう? って投げてみたら、いいかもってなったんですよね。そのあとHAWAIIAN6とツアー("HAWAIIAN6 & dustbox presents DIAMOND KNUCKLE second season")に入って、ツアー中に、メンバー内でデモを送ったり、アレンジとかリズムはこう変えたらどうかとかやっていて、それが「Daybreak」でした。それは今までのdustboxでもなかったような曲になりましたね。

-HAWAIIAN6として最初に作ったのはどの曲ですか。

HATANO:最初に形ができたのは「No Age」でしたね。あれは自分が作ったんです。メロディだけはヴォーカル(YUTA)がつけたんですけど、大枠は自分が作って、そこからみんなでいじりたいように手を入れてみてくれってことで。お試しで、こういう作り方をしてみようって作った曲だったんです。もうスケジュールがパンパンすぎちゃって、何がなんやらわからないという感じで(笑)。

-locofrankとしてはどの曲あたりを最初に作ったんですか。

木下:今回の3曲は、メンバーがひとり1曲ずつ作ったんですよ。それで最初にできたのが「if」という曲で。

-今回の『THE LAST ANTHEMS』の1曲目を飾る曲でもありますね。

木下:ドラム(横川慎太郎)が持ってきてくれていた曲だったんですけど、それが最初でしたね。

SUGA:そう考えると今回はみんな、ちょっと作り方に変化がある感じだ。

HATANO:そうやらなかったら間に合わなかった(笑)。

SUGA:たしかに、タイトなスケジュールだったからこその作り方だったり、考え方でできたというのはあるかもしれないですね。

HATANO:曲作りは一生、たらればだよね。

SUGA:たとえ時間があってもということですよね。

HATANO:もっといいものになったかもしれないし、でも時間があったら変に手を入れちゃって迷ったものになったかもしれない。これはたらればなので。もう、できたものがすべてですね。

-ちゃんと一曲一曲にストーリーもあるし、きっといろんなものを積み重ねてきた今の年齢だからこそお互いに見えているものを書いていると思うし、いろんなシチュエーションで誰かの背中を押せるようなアンセムになっていると思います。それがあるから、頭から終わりまで聴いて、よりグッとくるものがあるんですよね、いいアルバムだなぁと。

SUGA:俺も何回も聴きましたもん。

-そこにはコロナ禍の経験もあるでしょうし、年齢から見える景色もあるでしょうし、バンドマンとしての目線もある。それぞれからのいろんなメッセージが込められいるように思います。

HATANO:長くやっていると、最近思うんですけど、イベントでもそうだし、音源は特にバンドマンはデリケートなものなんですけど。そういうデカい作品、気持ちの中でウエイトのデカいものを作るじゃないですか。デカければデカいほど、それをやるときってバンドが危なくなるんですよね。不安定になる。それってたぶん、人の心理というか、そういうものが働くんだと思うんですけど。そういう大きなものをやろうとすればするほど、外から見たらすごく楽しみなものに見えるんですけど、やっている本人たちって本当にいろんなものを削られていて。バンドが解散するくらいに危ないものになるんですよ、そういうデカいものをやるときって。そこを乗り越えられたのが良かったなと思うんですよね。まだツアーがこれからあるので、なんとも言えないですけど。とにかくやっている最中は葛藤と言うんですかね、それは計り知れないものでしたね。だからこそ良かったのかなと思うんです。続けていくって、本当に大変なんだなと、ここ2年くらいは思いましたね。

木下:本当にそうですよね。

-だからこそ、今回11年ぶりに、というのを聞くとすごいなという思いはより強くありましたね。ちゃんとここでまた3バンドに会える、3バンドが混じり合っていくというのを体験できるわけですしね。

HATANO:ちょっと前に俺がインタビュアーになって3人で話していたんですけど。そのときに、例えば5年後でも10年後でもいいんですけど、またやろうぜっていうときに、誰か死んでるかもしれないしな、って(笑)。そういう年頃だしなっていうか。そんな思いすらもあるんだろうなと思うんですよね、やっていることに対して。

-はい。だからこそ作品に、曲に言葉を、思いを残していくということですよね。年々作る曲って、伝えることだったり伝え方とかで変化はしてきているんでしょうか。

木下:どうですかね、根っこの部分はそんなに変わらんと思うんですけど。HATANOさんもSUGAちゃんもそうですけど、続けてきただけではなく、少なからず乗り越えてきたバンド人生だと思うので。その中でタフネスももちろんあるし、かといって切り捨ててきた、諦めてきたこともある。楽しいことばかりではなかったという意味では、いろんな意味でタフネス=弱さも知っているということで言うと、ただただ鋭く尖ってどうのこうのという感情だけを書く歌詞だけではなくなってきたかなとは、自分でも思っていますね。自分の家庭で言えば、子供ができてとか、なりふり構わずやってきたことが、そうでもなくなってきたりとか。それは弱さなのか強さなのか、というハテナの部分もクリアしてきたつもりでもあるので。そういう意味では、より広く物事を捉えて、伝えたいことも変わってきたかなというのはありますけどね。

-「if」とかもそういう思いも込められているようで、作品の導入としても響くものがあります。

木下:実は「if」は歌詞もドラムの横川が書いてるんですよ。

-歌詞もそうだったんですか。

木下:そうなんです、初めて自分で作る曲に歌詞も乗せたいと思ったらしくて。今までlocofrankが書いてきた歌詞をひと通り読んで。こういうことを言いたいんですけど、これって例えば正行さんが書いた曲と矛盾するかもしれません、と。いやそれは全然いいよ、書いた人の思う気持ちでいいと思うしっていう。それを俺がこのニュアンスはこう歌ってもいいのかなっていうのは確認をして、話し合ったうえで、歌わせてもらいましたけどね。

HATANO:ずいぶん楽したなお前(笑)。

木下:楽はしてない(笑)! なんかおかしい。

SUGA:じゃあ勇介(森 勇介/Gt/Cho)が作ったやつは勇介が歌詞も書いてるんだ?

木下:もちろん。

SUGA:いいなぁ。

木下:だから、"一曲入魂"みたいな感じですね。

-この作品で全員がソングライターになったんですね、locofrankとしては。

木下:そうですね、勇介は昔からそうで、自分が作った曲では自分が書きたいということで、2作目くらいからそうなってますね。昔は、俺が歌うから俺に書かせてくれって言っていたんですけど、やっぱり作った本人がどういう気持ちで作ったかというのはあるじゃないですか。歌詞の内容まではしっかりと決まってはいないけど、こういう感情の曲を鳴らしたいというところが、俺が歌うことで俺が歌詞を書くことでちょっとアウトプットが違うふうになってしまうと、せっかく作ったのに申し訳ないなと思ったので。今回も、歌詞って書くことに抵抗ある? って、ドラムに聞いたんです。そしたら書いたことないので、書けないですって言うから、書いてみてもないのに言わんでいいんちゃう? って。それで書いてみたら良かったので。

-ここからまたバンドとしての選択肢も増えていきそうですね。

HATANO:できる子たちが揃ったなぁ。

木下:いやいや、できるはずですよ、みんな(笑)。

-dustboxの「Contrast」はラップっぽいものが入っていたりと面白い曲になっていますね。

SUGA:そうですね。俺らは歌ってる内容みたいなところは結構、変わらないというか。少年の葛藤だったりを、言葉遊びを含めつつ書いていたりして。曲のエッセンスや軸は変わってないけど、周りの肉づけみたいなのは、その時代のものをちょっとずつブレンドしていったりとか、面白いなと思ったものは足していくというスタイルなので。結構メンバーもみんなジャンル違いの音楽が好きだったりするので。JOJI(Ba/Vo)こういうの好きそうだなとか、YU-KI(Dr)はこういうドラムが上手いんだよなとかで、ブレンドしたり。あとは自分で好きなものとか、この前に聴いたあそこのフレーズカッコ良かったなみたいなのを、すぐ曲に取り入れちゃうっていう癖みたいなのがあるんで。そういう意味では作り方というのは、毎回変化はしてると思うんです。言いたいこととかは変わってないし、同じようなことばっかり言ってると思うんですけど(笑)。ただ、言い回しだったり言葉で遊んだり、最近は日本語もちょっと混ざったりとか。すごくでも今が一番楽しく、自由に作ってる感じはしますね。ジャンルとかも縛られない感じで。