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INTERVIEW

ACME

2023.02.14UPDATE

2023年02月号掲載

ACME

Member:CHISA(Vo) 将吾(Gt) RIKITO(Ba) HAL(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-例えば、友人や知人に"このバンドがすごくカッコいいから聴いてみてよ!"とオススメする推し活も、やや大げさに表現すれば洗脳の類いに入りそうです。

HAL:良くも悪くもなんでしょうけど、相手を染めるっていうことはいろんな場面でありますもんね。

CHISA:善いか悪いかっていうのは、極端なことを言うとたぶんそれぞれの人の中にしか答えがないんだと思うんですよ。でも、弱ってる人や迷ってる人が洗脳されやすいっていう面はあるような気がするんで、そのへんも難しい話ではあるんですけどね。

-昨年話題が再燃した某宗教の件しかり、根の深い問題ではあるかと思います。

CHISA:そういうご時世的なことも、なんとなく詞を書いていくなかでは頭の隅にありましたね。洗脳とはなんなのか? って考えていくなかで、自然とそういうことも意識したので。あと、この「洗 脳」って実はラヴ・ソングとしても聴こえるようにはなってるんですよ。

-そういえば、歌詞中には"ふたりの秘密結社"という表現が出てきますね。

CHISA:結局人と恋仲になるっていうのも、見方をちょっと変えると、それって十分そのふたりの間だけで成立してるイルミナティみたいなもんじゃないですか。お互いに洗脳し合ってる、みたいなことはよくあると思うんですよ。

将吾:そういうの、家族間とかでもあったりするよな。

CHISA:一番風呂にはお父さんが入る、みたいなの?

HAL:うちは卵かけご飯のことを"エッグご飯"って呼んでて、俺はずっとそれが正しい呼び名だと思って洗脳されてました(笑)。

RIKITO:あははは(笑)

-個人的にはこの詞の中だと"洗脳 正しく狂う"というフレーズも気になりましたね。この言葉の持つ意味はとても深いと感じます。

CHISA:月並みな言い方にはなっちゃいますけど、この3年くらいで、正義とか悪とか正しいとか間違ってるって、意外と流動的なものなんだなっていうことを実感しましたからね。歴史を遡ってみてもそれはまったく同じことで、正しいってなんなのか? 狂ってるってなんなのか? っていうのを判断するのはすごく難しいことなんだって思ったところから出てきたのがこの歌詞です。

-「洗 脳」は聴く人によって感じ方が変わってくる曲なのかもしれません。

CHISA:聴き方によっては、一歩を踏み出すことがなかなかできない誰かを応援するような、メッセージ・ソングとしても受け取れるようにしたかったですしね。ただ洗脳がテーマですっていうだけの歌にはしたくなかったんですよ。

-なるほど。そして、ここからは少し余談にはなりますけれど、大枠で捉えるとみなさんはそれぞれ"洗脳する側/される側"のどちらです?

将吾:俺はする側でしょうね。

HAL:俺は完全にされる側です。だって、この人(将吾)が"ロックはロー・チューニングだ!"ってずっと言ってくるから、気がついたらどんどんACMEの曲のチューニングが下がってったんですよ。最初はCだったのがG#とかダブル・ドロップCまで行きましたからね!

-ダブル・ドロップCというのは7弦ギターの6音下げですよね? 最高にイカれています(笑)。

HAL:曲を作ってると、無意識のうちに"そうだ、ロー・チューニングにしなきゃ......"って考えてる自分がいるんですよ。そして、その低い音がもはやACMEの音というか重要な武器になってますからねぇ。洗脳って怖いです(笑)。

RIKITO:洗脳ですか......僕もされるほうかなぁ。人から言われたこととか、結構気にしぃなほうなんで。自分の意見をゴリ押しするタイプでもないし、何かを決めるときはいいなと思った誰かの意見に対して賛同したり、その意見を取り入れることが多いです。それだけに、悪い意見はできるだけ取り入れないように気をつけてもいますね。

-この詞を書いた張本人のCHISAさんは?

CHISA:どちらかと言えば、するほうでしょうね。でも、自分が意図しているときだけに限らず、図らずも人に影響を与える可能性だってある立場なんだということ考えると、その責任って大きいなとも思います。たまに、ロジックとして成立していることを発信するんじゃなくて、フィーリングとか直感的な感じで何かを発信した場合に、ファンの方から"なんであれはそうしたんですか?"みたいに聞かれて、自分で"なんでそうしたんだろう?"って考えてしまうことがあるんですよ。

-いいのではないでしょうか。学問や法律を生業にしている場合は別として、すべてにロジックが必要ではないはずですよ。

CHISA:難しいんですよ。どうやって歌詞を思いつくんですか? とか、どうやって歌ってるんですか? って質問されても、なかなか具体的にそれを言葉で説明するのって大変で。自分はかなり感覚でやってるところが多いんだと思いますね。How Toを人に伝えるっていうことが自分にはできないです。

-中には、現役を退いたあとヴォイス・トレーナーになったりする方もいらっしゃいますが、CHISAさんはそんなタイプではないということなのでしょう。

CHISA:そういう本を読むのは好きなんですけど、読めば読むほどそれ通りにはやりたくなくなりましたしね(笑)。僕からすると、ロックとかメタルって"普通それはしねーよ!"って周りが思うことを、そんなの無視して"いや、これカッコ良くね?"っていろんな人がいろんなことをやって発展してきた音楽だと思うから、根本的には理屈とかってあんまり関係ない気がします。誰もやってなくても、理論とか合ってなくても、カッコいいことだったらなんでもやっちゃおうっていうのがACMEです。

-そんなACMEは、5月に"ACME 6th Anniversary Live Tour 2023「閃光と洗脳」"に出ることが決まっております。最新シングル曲「洗 脳」を筆頭に、きっとここではアニバーサリー・ライヴならではの曲たちがたくさん聴けるのでしょうね。

CHISA:6周年ツアーの前にはまたアメリカに行くことになってて、今回は初めて行くミネソタも含めて2週間くらいのツアーになる予定ですね。で、そこから帰ってきての6周年ツアーでは新旧のいろんな曲をやっていこうと思ってます。

-今度のツアーでの衣装やヘアメイクは、きっと公式最新アー写での装いになるわけですよね。個人的にはそこも見どころだなと思っております。

CHISA:前回のシングル「Kagaribi」で、ついに裸ジャケットにハイヒールっていうところまで行っちゃったんで(笑)、今回はスタイリストさんから"もうどうしていいかわかんないです"っていう泣きが入ったんですけど、僕としては、グラム・ロックの雰囲気とか色味の部分にこだわりながら、ヴィジュアルを作っていきましたね。みんなの衣装、なんとなく似てるけどそれぞれ色味は違うんですよ。あの色の布って売ってないんで、あれは白い布に直接プリントして色をつけたんです。

-それはすごい凝りようですねぇ。

将吾:かなり攻めてるよね。でも、今回はふたり(CHISAとHAL)がすげー攻めてるんで俺は普通です。

RIKITO:僕は前回のツアーのとき、ファンの人に"次はどういうメイクがいいか"、"どういう衣装がいいか"っていうアンケートをとりまして、その集計結果を実際に生かしていく感じでした。

CHISA:みんなの衣装の雰囲気は見えてたけど、でも今回HALさんがあの髪型で来るのは予想してなかったなー(笑)。

HAL:レトロフューチャーっていうコンセプトなんで、ヴィジュアルは'80sのUKシーンみたいなイメージで行こうかなと考えてたんですけど、思ってたより頭の雰囲気が"ビーバップ(ビー・バップ・ハイスクール)"方向に寄っちゃいました(笑)。