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INTERVIEW

G-FREAK FACTORY

2022.09.13UPDATE

G-FREAK FACTORY

Member:茂木 洋晃(Vo)

Interviewer:フジジュン

-でもその考えに至るまでにすごく悩んだし、葛藤もあったはずで。それを心のままに吐き出した曲が「STAY ON YOU」だったりして。そこから導き出された答えや、そこから生まれた優しさや心の深さ、寛容さが表れた曲が「Dandy Lion」で。この2年間、思うように活動できないなかでもどかしさも感じたと思いますが、2年2ヶ月ぶりに完成したこの作品に、その間の体験や考えたことをちゃんと帰結することができていると思います。

そうですね。でも思うのは、"こうしてやり玉に上げられて、バンドマンかわいそう"と思われて、"バンドマンってかわいそうでしょう?"と言ったらそれまでだけど、決してそんなことなくて。ライヴや作品を楽しみにしてる人たちや、錯覚かも知れないけど、それがないと生きていけないと思ってた人たちだとか。スタッフの人とか、そういう人たちがみんなかわいそうだと思うんですよ。

-そう思えるのが、周りからは人のために生きてるように見えるんですよ(笑)。

そうか(笑)。"大変でしょう、ミュージシャンは?"ってみんな言いますもんね。でも、"いや、言うほど大変じゃねぇけどな"と思うようにしてます。むしろ、これで1回フラットになって、また違う感覚を持った固定観念のないお客さんと渡り合えるとすればチャンスだと思うし、やりがいがあると思ってて。悪あがきだけどね。

-僕も極端な話、1回ご破産でもいいと思ってます。みんなに嫌がられたり、何もないところから価値観を作り上げたりするのって、ロック・バンドが得意とするところだと思うし。

そうそう、そもそもロックってそういうものだったからね。1回全部チャラにして、お金の価値とか0にして。物々交換の葉っぱから始めていけば、すげぇクリーンな社会になっていけばいいのになと思いました。

-コロナ禍で山の中に入る機会も多かったそうですが、そんなこと考えてました(笑)?

考えてました。むしろ病んでますけどね、そんなこと考えるのって(笑)。俺はマンションで魚焼くだけでクレームがくるような、ギスギスした都会とは違うところで暮らしてるから。堂々と焚き火して、ローカルのやつらと徒党を組んで。"俺らの街の過疎化をなんとかするのは、今しかねぇぞ! 空き家だらけの街に人を呼ぼう"みたいなこともしたし。

-そこから、G-FREAKの制作モードに入ったのって、何かきっかけがあったんですか?

G-FREAKとしては、コロナ禍で何も示せてない状況もあって。俺はソロで1曲出せたから制作モードに入れたんですけど、メンバーはすごくくすぶってて。"俺はあのソロが出せたから、G-FREAKはバンド・サウンドで違う方向に振り切っていきたい"ってメンバーに話をして、みんなのスイッチが入った感じでした。あと規制があるにせよ、ツアーに出られたことが大きくて、メンバーからも"制作したい"という言葉が出てきて。振替とかステージに立てない状況もあって、下手したら、『VINTAGE』のまだできていない振替公演を、『Dandy Lion』のツアー([G-FREAK FACTORY"Dandy Lion" TOUR 2022])が追い越しちゃうかも知れないけど、それでもいいと思うし。"このイレギュラーに対して、ちゃんと筋を通そう"と話せたので、それもモチベーションになったし。追い込まれて、背水の陣的に力が湧いてきたところもありました。

-『Dandy Lion』が形になっていくなかで、思ったことや感じたことはありますか?

この感じ、懐かしいなって(笑)。レコーディングはすごく楽しかったです。曲作りはスタジオで"せーの"でやってたのが、スタジオに上手に入れない状況だったので。データのやりとりをしたり、ハイブリッドなレコーディングの手法になりました。でも俺たちは膝と膝を突き合わせて、0を1にする作業が合ってるなと思いましたけどね。

-まだ形にしてない新曲があるという話もありましたが、この3曲を選んだ決め手は?

G-FREAKっぽくなればいいなというところですね。「Dandy Lion」はたんぽぽの綿毛とライオンっていうミスマッチな感じで、百獣の王とひ弱なたんぽぽがワンワードになった言葉遊びみたいなところが、あまりにも皮肉だなと思ったし。表題曲はすごく迷いましたけど、これで良かったなと思いました。

-紙資料のセルフ・ライナーノーツで、吉橋伸之(Ba)さんは"レコーディング中から表題曲になるのではないかと感じてました"とコメントしています。

感じてましたか(笑)。俺はある意味ライヴハウスっぽくないというか、今のライヴハウス環境だったら、これはアリかも知れないと思ったんです。でも、どうしてもぐしゃぐしゃになるライヴハウス環境に戻ったら、表題曲はこれじゃなかったと思うんですが。ツアーも回って、今のお客さんがこういう顔で観ているというか、浴びてるだろうなというのを想像して書いたし。これだったら自分たちもやり過ごせるなというところはイメージしました。

-「STAY ON YOU」の歌詞には怒りとか疑問とか、葛藤とか問い掛けとか、今の思いをギュッと詰め込んでいますが、疾走感のある曲とメロディに言葉が乗ったとき、スッと耳に入ってくる感覚があったし。最後は問い掛けで終わって、いろいろ考える隙がありました。

この曲は実際の歌詞の4倍くらい書いて、"これはダメだな"とか"誤解されるな"って言葉を引いて、ギリギリのところをかすった、今の歌詞になりました。信じるものが少ないってのは、やっぱり寂しいじゃないですか? アメリカなんて、どんなギャング・スターでも日曜になると、みんなお母さんと教会に行って、ピュアなんですよね。それが今は信じるって行為を、根こそぎ奪われてるから。信じるものがなくなると主張もなくなって、何者かわからなくなってしまうんですよね。そこにインターネットとかAIとか、また新しい支配下に置かれて。俺たちはそれを避けるようになんとか生活してるつもりなんだけど、スマホの電波がない場所に行ったら、すごく怯えたりする。そんなとき"俺たち、電波にどれだけ依存してるんだろう?"って考えるんだけど、なければないでそんな居心地のいい空間はないし。電波の届かない場所で起こることこそ、本当のリアルなんじゃないかと思うし。オンラインでやるべきこと、対面でやるべきことを自分で熟考したうえで、自分の答えを出してほしいなと思うんです。

-「唄種」はタイトル通り、本当にうたた寝してしまうほど歌詞と向き合って、夜の闇と悩みをそのまま書き綴ったという実験的な曲でもあります。歌詞もサウンド面も聴くたびにいろんな解釈や発見があって、繰り返し聴いてすごく楽しい曲になりました。

最初は箸休めくらいの気持ちで書き始めたんですけど、形になっていくうちに面白い曲になっていきましたね。バンドでフル・セットやるときはテンポを変えても面白いと思うし、ライヴ・アレンジをちょっと変えてみるとか、アコースティック・バージョンもやってみたいし。アコースティックはすごくい面白いんですよ、ごまかしが効かないですしね。

-今作リリース後はツアーがスタートして、ツアー中には25周年の日比谷野音ワンマン("G-FREAK FACTORY 25th ANNIVERSARY ONE MAN LIVE")も控えています。

ここから、なかなかのスケジュールなので、あまり見ないようにしてるんですけど(笑)。野音に関しては、2018年の初めての野音(["カモメトサカナ"TOUR 2018])のときは、ぐっしゃぐしゃのライヴハウスでやってた時期なので。ステージから降りちゃいけないとか指定席でやるとか、縛りの中でやるライヴにアジャストするのが難しかったんですが、ここ数年はそれをやってきたので、目も身体も馴れてる状況で、もう一度チャレンジできることが嬉しいです。今でこそ野音をやりたいなと思いますし、今度は楽しめると思います。

-そして12月3日には高崎芸術劇場で"山人音楽祭2022"が開催されて、12月4日には同会場でのワンマン・ライヴが決定。25周年を思い切り楽しんでください。

はい、ありがとうございます!