INTERVIEW
ACME
2022.07.11UPDATE
2022年07月号掲載
Member:CHISA(Vo) 将吾(Gt) RIKITO(Ba) HAL(Dr)
Interviewer:山口 哲生
シンプルなものでも自分を出せるようになってきたのかもしれない
-(笑)そして、今回リリースされる「Kagaribi」に関しては、メロディがとても立っていて。原曲はどなたが作られたんですか?
HAL:これは僕です。5周年を迎えた、今のACMEの魅力だったり、今のACMEがやれる最高のものだったりを、1曲に全部詰め込んでみようかなって。あと、5年前よりもちょっと色気が出てきたかなとも思ったので、そういうメロディにしてますね。だから、全部乗せみたいな感じです。
将吾:ギターも全部乗せな気がする。この曲は、何も考えずにレコーディング本番に挑んだんですよ。録りながら"こういうフレーズにしようかな"とか、"これはいる? いらない?"っていうのを話しながら進めていったんで、逆に苦労した感じはなくて。いつもだったら、こういう曲ならこうするっていうのがあるんですけど、そこは全部乗せな感じ。Cメロのところとか、サビの裏でうっすら流れているやつとか、全部思いつきで、じゃあそれ使おうか、みたいな。
-何か狙いがあってそうされたんですか?
将吾:自分の固定の意識をなくすためです。ひとりで練習して、そのフレーズを持っていくと、頭がもうそれだけになっちゃって、それ以外のものが本当にいいのかわからなくなるときがあるんですよ。でも、フラットな状態だったら、みんなの意見も取り入れやすいじゃないですか。
HAL:そういう理由があったんだね。"めんどくせぇから"とかじゃなくて。
将吾:違う違う(笑)。俺の場合、そっちのほうがいろいろ思いつくんですよ。ひとりで考えてきたやつを"これでどう?"ってやるよりは、みんなに聴いてもらって"これとこれとこれ、どれがいい?"っていう選択肢を出したくなるんで。そういうアイディアも誰かがいたほうが生まれやすいし。
-より柔軟に臨んでみようと。RIKITOさんはどう臨みました? 全部乗せというお話がありましたけど。
RIKITO:将吾君の話を聞きながら、俺はレコーディングのときどうしてたっけなって思い出してたんですけど。ベースに関しては、みんなに家に来てもらう前日の夜に録って、来たら聴いてもらって、直すところを言ってもらって直すっていう感じなんですけど、いつもだいたい2パターンぐらい用意しておくんですよ。で、全部乗せっていうことに関しては、基本的にどの曲も自分節は全部乗せようと思っていて。
将吾:たしかに出てるもんね。
HAL:いつもはそれを削っていく感じだよね。"ここはそういうのじゃなくて"っていう。
RIKITO:だいたいシンプルなほうが選ばれることが多いですね。あと、間奏の落ちたところでベースがちょっとメロウっぽいのを弾いていて。録ったときは何も思わなかったんですけど、ミックスしたら、なぜか弾いているフレーズと音がTAIJI(Ba)なんですよ、X JAPANの(笑)。
HAL:なんか聴いたことあるなと思ったら(笑)。
RIKITO:なんの意識もしてなかったんですけど、たぶん降りてきたんでしょうね。
将吾:あのコーラスのかかり方もそうだよね(笑)。
RIKITO:そうそう。ミックスのときにエンジニアさんがエフェクトを掛けてくれたんですけど、それがもう完全にTAIJIで、"こいつめっちゃ意識してるやん!"みたいになってて。そこはちょっと恥ずかしいんですよ(苦笑)。フレーズもよくよく聴いたらなんかそれっぽいし。
将吾:Killerのベースが見える(笑)。
HAL:"好きなんですか?"って言われそう。あと、この曲は幻のBパターンがあったんですよ。ブレイクダウンでチューニングがDになるっていう。
将吾:ダブル・ドロップD。
HAL:それはちょっとやめとこうかなって(笑)。わりとスカっとした曲なんだけど、突然魔界に変わる、みたいな感じだったんで。
将吾:俺は好きやったけどね。でも、チューニング的に1本の竿じゃ厳しいっていう話になって。
-ライヴで観てみたい気もしますけどね。曲中に竿を持ち替えたりとか。
将吾:でも......今ならできるか。
HAL:うん。いろいろな科学の技術を駆使してできそうな感じ。
-今後そういう曲も出てきそうですね。
将吾:今俺が作っているデモはそんな感じですよ。まぁ、使われるかどうかはわかんないけど(笑)。
HAL:でも、そうやって自分たちの最高を更新していけたらいいかなと思います。
-歌詞はCHISAさんですね。
CHISA:全部乗せだなっていうのは感じていたので、歌詞でそのあたりの最終調整をしないといけないかなと思って。テーマは、苦戦したというよりは、時間をかけていろいろ試行錯誤してましたね。ギリギリのギリギリまで書いてました。
-そこまでギリギリになることはあまりないんですか?
CHISA:そこは、自分のデモじゃないからっていうのもありますね。自分が作ったデモであれば、イメージがなんとなくあったりするけど、これはHALさんが持ってきた曲だし、しかも今回は5周年のタイミングで出すし、全部乗せ感もあるから、どういう歌詞が相応しいのかなっていうのは、結構考えようかなと思って。
-そこで辿り着いたテーマが"篝火(かがりび)"だったと。
CHISA:なるべくわかりやすくて、すっと入ってくる言葉を選ぼうとは思っていたんですけど、すごく簡単に言ってしまえば、"いつでも帰ってきてね"っていうメッセージではあるんですよ、この歌詞って。それをどうやって言ったらエモいかな、みたいな感じでしたね。毎日がうまくいかなかったとして、そのうまくいかない毎日に未来が進んでいってしまったのは、あのとき何かを諦めてしまったからじゃないのか、みたいな。例えば、あのときに会いに行こうと思ったけど、でもいいやって諦めてしまった、その先の未来がうまくいっていない今日で。だったら、気持ちのままに会いに行こうかなっていう。
-過去に後悔したことがあって、戻ってやり直せることなのであれば、またそこまで戻ればいいんじゃないかと。
CHISA:でも、そういうふうに考えたら、やっぱり今日後悔のない行動をしようっていう。今目の前に何か選択肢があったときに、自分がいいと思えるほうを選ぼうっていう感じです。
-かなりまっすぐな歌詞ですよね。"燃え尽きたはずの 感情が/確かにこの心臓に 火を付けるから"とか。
CHISA:僕らとしても、コロナとかで活動がいろいろうまくいかなかったり、大変だったりしたことがあって。消耗したはずではあるんだけど、でもやっぱりまだ燃え尽きてはいないというか。5周年のステージで、お客さんの前で歌ってみて、どっちにも響く曲になったかなっていう気がします。
-たしかに。どうすればエモくなるか考えたとのことでしたけど、いつにも増してエモさが際立っていますよね。そこは5周年のタイミングも大きかったと思うんですが、そういった言葉が自然と出てくるモードでもあったんでしょうか。
CHISA:そうですね。それこそ(歌詞にもあるように)飾らずに、カッコつけずに、"会いに来てよ"、"会いに来たらもう離さない"って言えたらいいなって。いろんな曲を出して、いろんなライヴをして、いろんな趣向を凝らすけど、やっぱりすごくシンプルに"会いたい"と"会いに来てほしい"を、お互いもっと素直に言えたらいいなって。
-しかも昨今は"会いたい"とか"会いに来てほしい"を言いにくいご時世ですし。
CHISA:そうです。それを伝えたいなと思って。
HAL:曲としては現時点でのACMEの集大成みたいな感じをイメージして作りましたけど、例えば、僕らが20代前半でこの歌詞を歌ってもなんか違う感じがするんですよ。でも、メンバー4人それぞれ、これまでの人生とか、ACMEが始まってきたこの5年であったり、3周年、4周年のライヴができなかったことだったり、いろんなことがあってのこの曲なんですよね。これを若くてキャピキャピしたやつが歌っても......。
CHISA:言い方(笑)。
HAL:(笑)でも、今のCHISAが歌うことによって、すごくストレートに入ってくるというか。シンプルな言葉ほど突き刺さる。この前も別の場所で話したんですけど、最近思うのは、(CHISAは)ヴィジュアル・シーンの竹原ピストルだなって。
将吾:言いよったなぁ、それ(苦笑)。
HAL:CHISAの声を通すと、普通の歌を歌っても深く聴こえる。今度本気で「ぞうさん」を歌ってもらおうかなって。"おはなが ながいのね/そうよ かあさんも/ながいのよ"っていう、すごくシンプルな歌詞なんだけど、それが親子というものであって。母が子を思う気持ち、子が母を思う気持ちみたいなものが、CHISAが歌うことによって見えてくる。ひとつの絵になる。これを子供が歌えば、でっかい象とちっさい象が2頭いるだけなんだけど、ストーリーが見えてくるなっていうのに気づきました。
-CHISAさん、そう言われてみていかがです?
CHISA:あ、頑張ります。
一同:(笑)
CHISA:歌詞だけじゃなくて歌い方もそうなんですけど、今までは個性を探しに行く旅をしていたんですよ。でも、自分がだんだんわかってきて、今度は逆にいらないものを取り除いていくというか。そういう作業をしてもいいのかなって気はしてますね。この歌詞はシンプルだけど、そのシンプルなものを自分の中の基準で選んでいると思うし、シンプルなものでも自分を出せるようになってきたのかもしれないです。
-そこは積み重ねてきたものがあるからこそですね。
CHISA:あとはやっぱり、気持ちが先行して書いた歌詞でもあるので。このバンドを火に喩えたら、"火が消えずに燃えていれば明るいから、いつでもそれを目掛けて会いに来てよ、俺らは火を絶対に消さないから"っていうイメージを言葉で書いていった感じですかね。そういうヴィジョンみたいなものがぼやっとあって、それを言葉にしていった感じでした。
-2022年下半期も様々な予定が決定しています。国内の予定としては、SILHOUETTE FROM THE SKYLITを迎えたツーマン"ザ・ラストワンショー 2022・シーズン3 再びACME汁祭り supported by 激ロック"を開催することになっていて。
CHISA:対バンとかツーマンも再開し始めたし、久しぶりに一緒にやるバンドとか、初めてやるバンドもそうですけど、積極的に絡んでいきたいなと思ってますね。
-そして、6月30日から北米ツアー"FAKESTAR Presents ACME NORTH AMERICA SUMMER TOUR 2022 「WILDFIRE」"を開催されると。今回はロサンゼルス、オースティン、ダラス、トロント、ニューヨーク、ピッツバーグの6ヶ所ですけども、ニューヨークは初ですか?
CHISA:初です。カナダとピッツバーグも初ですね。テキサス州は行ったことあるんですけど、オースティンは初めてで、ダラスは2回目です。ロサンゼルスとダラスは、イベントではあるんですけど、どっちもソールド・アウトしてます。
-おぉー! すごいですね。
CHISA:今回で5回目ぐらいなんですけど、初めてかもしれないですね。
将吾:めちゃめちゃ人はいたけど、たしかにソールドしたっていうのは聞いたことなかった。
CHISA:取材の依頼も結構来るんですけど、ゲストがもうパンパンですみませんって断ってて。ロサンゼルスは、今回のツアーの中で2番目に大きいイベントなんですけど、それが初日なので、結構いいテンションで最後まで回れそうです。
将吾:前回("Unbreakable Tour 2021")はアトランタが1発目で、ソールドはしてなかったけど、3,000人ぐらいいたんですよ。それでテンション上がったので。
-スケジュール的にちょっとゆっくりできそうなんですか?
CHISA:そこまでキツキツではなさそうですね。
RIKITO:でも、僕と将吾は、アメリカに着いたらそのままライヴなんですよ。
将吾:日本を6月30日に出発して、6月30日にロスに着くんです。
-あぁ、日付が戻って。
将吾:で、着いたその足でそのままライヴハウスに行って、ライヴです。
-すごい行程(苦笑)。
RIKITO:ヤバいです。ヤバいとしか思えない(笑)。不安しかないですよ。
将吾:RIKITO君がそうなったのは俺のせいなんですよ。
RIKITO:僕は29日にメイクさんと行こうっていう話になってたんですけど、"ひとりなら行かん!"って将吾君が言い出したんです(笑)。いや、成田空港からひとりで飛行機乗ったことあるやろ!? って。
将吾:無理。国内じゃないとひとりは無理。
RIKITO:一緒やん!(笑)、乗り換えもないんやし(笑)。
将吾:入国審査あるし。まったく英語しゃべられんし。
-他にも国外での予定はいろいろと決まっているんですか?
CHISA:今年は、北米以外はやらない感じで終わるのかな。でも、いつかチャンスがあったら、まだやったことのない国でやりたいっていう気持ちはずっとあって。
将吾:ヨーロッパとかね。
HAL:今年、ロンドンでACMEがメインのDJイベント("Visual-kei Night, collaborates with ACME")があったんですよ。我々は行っていないんですけど、ヴィジュアル・ロック・ナイトみたいなのがあって、そこにコメントも出して。映像を観せてもらったんですけど、結構盛り上がってたんですよ。
CHISA:良かったよね。
HAL:歌ってくれたりとかもして。そうなると、"これは行かなきゃ!"って思ってますね。
ACME
RELEASE & LIVE INFORMATION
14thシングル
「Kagaribi」
NOW ON SALE!!
※ストリーミング&ダウンロードにてリリース
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