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INTERVIEW

G-FREAK FACTORY

2020.07.13UPDATE

G-FREAK FACTORY

メンバー:茂木 洋晃(Vo)

インタビュアー:荒金 良介

できるだけ短く、削ぎ落とすことを心掛けました


-なるほど。今作はP×O×N(渡部"P×O×N"寛之/Dr)さん加入後初のフル・アルバムですが、これまでと違う点はありました?

P×O×Nはレコーディングがめちゃくちゃ早いんですよ。フレーズを決めるのも早いし、俺はスタジオでリリックを書くのに右往左往するほうだけど、その時間もなくて(笑)。彼はチャレンジャーだし、ようやく肌も合ってきたので、これからもっと良くなるんじゃないかな。あとP×O×Nが入ったことで(音楽の)幅を持っていいんだなと思いました。アイディアも持っているし、メンバーの長所も後ろから見ているから、いいまとめ役ですね。前のツアー(["FLARE/Fire" TOUR 2019])でそれを感じたから、今の状況はなおさら悔しくて。

-なかなかライヴできない状態がもどかしいと?

うん。でも、普通に休んだらバンドは終わっちゃうから。俺だったら川に行って川にハマるBPMや曲を作ってみたりね。

-その発想は面白いですよね。

そうなんですよ。昨日もテントで寝て。朝には現実に帰るんだけど、今までやらなかったことをやることでそれが栄養になるから。「ダディ・ダーリン」は"太陽が西の山を突き刺して"というサビなんだけど、東京の人は山が見えないでしょ? それは俺が歌っていい曲だと思うし、レゲエが好きだからって海でレゲエの曲を演じても、ハマらないから。でも、山のレゲエもあるはずだし、山の人間としての刻みを自分はやればいいんだなと思ったんです。

-今作は楽曲もコンパクトになり、ほぼ3分台のナンバーが並んでますよね。

ミニマムで表現したいから、曲ができたときに分数を気にするようになったんですよ。できるだけ短く、削ぎ落とすことを心掛けました。分数がボリューミーになると自分も苦しくなるから。まぁ、その反動でいつか10分みたいな曲ができてもいいし、今作はなるべく短い曲のほうがいいなと。

-特に驚いたのはハーモニカとアコギを用いた「ヴィンテージ」で、完全に新境地と言えるシンプルなアプローチですね。

レコーディングの中で1曲足りないタームがあって......ある程度のところまでアコギで作って、リリックも殴り書きなんですよ。「ダディ・ダーリン」もそうだったけど、この曲は頭じゃなくて、感覚だけでやれました。

-スッと出てきた曲のほうが名曲になることが多いとバンドマンはよく言いますよね。

長持ちする曲が多いんですよね。もう少し寝かせて清書したら正解がわからなくなるんです。メンバーも聴いたことがないような曲ができたから、奇跡だと思うし、それが表題曲になったことも奇跡ですね。

-この曲は挑戦というより、自然に出てきたもの?

全然自然ですよ。挑戦しようとしたらもっと韻を踏むし、化粧もすると思います。慌てて書いた曲だけど、ちゃんと攻めてるからいいんだと感じる。この曲はライヴでもハーモニカとギターを弾きながらやってみようかなと。

-えっ、長渕 剛みたいに?

そうじゃないと成り立たないことに気づいたんですよ。ハーモニカを同期するわけにはいかないから。練習しなきゃいけないんで、この自粛は助かりました。まずはギターのフレットを見ないで弾けるようにしなきゃいけないなと(笑)。

-ライヴで聴ける日を楽しみにしてます。

相手やフロアの評価なんて全然関係ないところまで振り切ってやらないと、こういう曲は火傷すると思います。

-"慣れたくない自分と慣れなきゃならない自分/それに慣れてきた自分に決着をつけてきた"(「ヴィンテージ」)の歌詞にはどんな思いを込めているんですか?

いろんなものが急ピッチで進んで、それに慣れたくないとずっと思っていたんですよ。でも、それじゃダメだし......だけど、こういう曲を書くということは時代錯誤なのかなって(笑)。

-「ヴィンテージ」はアウトロ部分のポエトリーも印象に残りました。今の時代に刺さる言葉だなと。

バンドも今日頑張ったことが明日に反映されることはなくて。作品を出したらいきなり世界が変わるわけじゃないし、その3年後に作品の真価が問われるのかなと思うんです。人生も3年前にやってきたことが今日返ってくるわけで、そういうふうに考えると今日頑張れるじゃないですか。今日の答えは3年後に返ってくると思ってそれまでは長い目で結果を待とうぜって。コロナで今はこういう状況になり、閉じこもってYouTubeばかり観ていたらそれがまた3年後に返ってくるわけで、コロナでしいたげられた思いをしているけど、コロナがあって良かったとあとで思うように生きなきゃいけない。そうしないと負けっぱなしで終わっちゃいますからね。すぐに結果を求めたらブレブレになっちゃうし、腰を据えて生きていこうぜ! って。

-G-FREAK FACTORYらしい希望の歌と言えますね。あと、「AGAIN AND AGAINST」のリズム感も今までなかった感じですが。

それはP×O×Nちゃんのファイン・プレーですね。元LONG SHOT PARTYだし、クソパーティー野郎だったから(笑)。これはテンションがいいときに書いた曲ですね。今作の中でも一番明るい曲調に仕上がっているんじゃないかな。聴けば聴くほどコロナのことを言っているのかなというリリックにもなったから......"あっ、この曲を出そう"と思って。

-仮タイトルは"オリンピック"だったんですよね?

うん、"頑張れ日本!"みたいな曲を作ろうと思ったらこういう感じになっちゃいました。コロナの状況にも当てはまるだろうし、でも暗い作品にはしたくなかったから、こういう曲があったら楽曲同士が引き立て合うかなと。

-「乞え~KOE~」はスラップ・ベースも強烈で、リズム隊が牽引する曲調ですね。

シングル『FLARE/Fire』(2019年リリース)のときにあった曲で、これを表題にしようかという案もあったんですよ。曲が足りなくてほぼ一夜漬けで、みんなで作ったんです。P×O×Nも本気を出してますね。火事場のクソ力で、ちゃんとやれば作れるんだなと思いました。ライヴでもいっぱい遊べそうなサウンドに仕上がったんじゃないかなって。

-そして、最後を飾る「呉々も日の暮れと」は"孤独を楽しむ そんな未来よ 重く足を踏み出した"という歌詞を含めて胸に沁みます。いい曲ですねぇ。

孤独と言ってしまうとネガティヴだけど、それを楽しめたら勝ちだなと。オンラインが普及したらたぶんもっと孤独になるわけでしょ? 実際自分が孤独だなぁと思いましたしね。夕日をきれいだなぁと思うときもあれば夕日に殺されそうなときもありますから。

-自分の置かれた心境次第で受け取り方も変わりますよね。

うん、それすらも楽しめないとこの先は生きていけないと思うから、これは本当に最後の最後にできた曲ですね。

-わかりました。では、毎年恒例の"山人音楽祭"に関して今言える範囲でどんな状況なのでしょうか?

今言えることは、どうやったら開催できるのか、もがいている状況ですね。開催するにしても開催できないにしても、どっちの覚悟もすでにできてます。公共施設を使うわけだから、そちらの言い分もありますしね。もし開催できないとなった場合は、2021年にどうなりたいのかを決めたうえでちゃんと発表したいと思います。

-今作のレコ発ツアー(["VINTAGE"TOUR 2021])は来年初頭から始まります。ライヴを楽しみにしているファンに向けて何かあればお願いします。

おそらくツアーで真価が問われるだろうし、みんなもライヴに行けない時間の中でハードルが上がってると思うんですよ。今は練習もなかなかできないけど、どこまで鍛え上げられるかなって。この自粛期間の答えがその1本のライヴに出ると思うから、それを確かめにきてほしいですね。怖ぇなぁと思いつつ、それに甘えないでやりたい。BRAHMANのTOSHI-LOW(Vo)が"ライヴで人様を踏んづけることはできないんだから(※観客がいるフロアの中で仁王立ちするパフォーマンス)、違う方向でやらないと生きていけないぞ!"と言ってたんですよ。絶対コロナに対するカウンターはあると思うから、その小さな可能性に賭けたいですね。