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INTERVIEW

Survive Said The Prophet

2020.01.14UPDATE

2020年01月号掲載

Survive Said The Prophet

Member:Yosh(Vo) Yudai(Ba) Show(Dr) Tatsuya(Gt) Ivan(Gt)

Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ) Photo by toya

-面白いですね。アルバム・タイトルありきでこの2曲に分けて作っていったという感じなんですね。「Inside」はプロローグ的なトラックじゃないですか。過去のアルバムも必ず1曲目にインストや序章的な曲が収録されています。メンバーのみなさんが影響を受けているバンド、BLINK-182やSTORY OF THE YEAR、THE USEDなどの名盤には意外とそういった曲が入っていないんですよね。どういったところからの影響やアイディアなのか教えてください。

Yosh:僕がそういうのを好きな理由っていろいろあるんですけど、エモが流行った時期に、CIRCLE TAKES THE SQUAREというバンドを聴いていて。実は、今回のアルバムの中にも"Circle taking squares"という歌詞を入れてるんですけど。"同じサイズの四角と丸を隣合せで置いたら、どっちのほうが水を多く入れられますか"って言われたら四角じゃないですか。丸が四角を乗っ取るためには丸が大きくなきゃいけないんですよ。そういう世界観がすごいかっこいいんですが、そんな彼らのアルバムのイントロが鳥肌立つくらいかっこ良くて。そういうかっこいいイントロを探していたんですが、映画のイントロも同じ感覚だと気づいたんです。ライヴだとみんなSEをつけるじゃないですか。SEにこだわるかこだわらないかでだいぶ変わると思うんですよね。なので、最初に僕はテーマに沿ったライヴ用のSEを作っていました。そこから、ライヴで使うだけではもったいないので、アルバムでも使うようになっていったんです。『s p a c e [ s ]』はまさにそうだったよね。

-SE的な曲が冒頭にあるというのは、"アルバム1枚をひとつの作品として最初から最後まで順に聴いてほしい"という思いの現れかなと感じたんですよ。また、サバプロって1stアルバム以降ミニ・アルバムやEPってリリースしてないですよね。"フル・アルバム"に対して強いこだわりを持っているのかなとそこからも思ったんですよ。

Yosh:そうですね。英語で、人生の中の一部分"Slice of life"だけ見ても、"人生"は理解できないって言いますが、音楽も同じで"なんで価値が落ちるんだろう"って不満を言うミュージシャンを僕は理解できない。"自分たち自身で安く売ってるだけだろ"って。"どうやって早く知ってもらえるか"じゃなくて、"こういう趣旨があってこの曲を作りました。好きでしたらもっとこういう曲もアルバムに入ってますよ!"と親切丁寧に提示してあげるべきだと思うんですよね。

-過去4枚のアルバムでは、プロローグ後のTrack.2はすべてアグレッシヴなスクリーモ・スタイルでしたが、今作のTrack.2の「Your Head」は、スケールの大きいミドル・テンポのスタジアム・ロックですね。今作で、ミドル・テンポのこういった曲を冒頭に持ってきたのは意識的なものでしょうか?

Yosh:ワンパターンが嫌いというか、システム化されるのが嫌いなんですよ。

Yudai:結構天邪鬼なので、慣れてきたら"違うのをやろうか"ってなりますね。あとは、たしかに"大きい会場"が現実的になってきたので、そこも踏まえて"1曲目に壮大な曲"というのはライヴの始まりとしてもいいのかなって。

Yosh:いろんな人に聴いてほしいから、うるさい曲もあるしソフトな曲もあるけど、こういうタイプの曲からライヴを始めることで、その次にどの方向にでも行けるということは、今の俺らにとって重要なんですよね。ライヴの流れをどうやって提示するかは真面目に考えてるんで、そこでいい意味で当たり障りのない曲からスタートすることで"次はどこに行くんだろう?"っていうワクワク感を与えられるのかなって思ってます。

-極端なタイプの曲から始めてしまうと次に持ってくる曲は難しいですよね。めちゃめちゃ激しい曲からいきなりバラードを続けてやっても、お客さんがついていきづらくなるけど、センター・ポジションにいれば、そのあとバラードにもアグレッシヴな曲にもフレキシブルに振りやすいというか。

Yudai:実は、それやってたんですけどね(笑)。「Follow」のあとに「Network System」(『WABI SABI』収録曲)とか。

Yosh:あんまやんないほうがいい(笑)。

-お客さんが戸惑う(笑)?

Yosh:そうですね。今はもっと大きな"音楽"って枠になった気がするんで。


僕らが命懸けて書いてる曲なんで"携帯の裏で隠れてる意見"じゃなくて、本当の意見を知りたいじゃないですか


-今作の収録曲12曲の内7曲が、すでにシングルやシングルのカップリングとして世に出ており、その内5曲が会場のみの限定販売です。会場限定ってマイナスな見方もできるかもしれないですけど、今作が出るまでライヴに足を運ばないと手に入らない作品でしたよね。ライヴに足を運んでくれるファンを大切にしているのを感じました。ここまで会場限定の音源がたくさん入っているアルバムって面白いなって思います。

Yosh:その反応は僕らが気にしてるところですね。というのも、僕らはいいと思ってやったわけなんですが......初めて会場限定を出したとき、バッシングを受けたんですよ。CDを会場限定で出しただけなのに"そんなに言う!?"ってくらい。僕も怒っちゃって。

-それはCDショップやネットで普通に買えないから?

Yosh:そうです。"ライヴ行けないやつのこと考えてみろよ"って言われて。僕らが命懸けて書いてる曲なんで"携帯の裏で隠れてる意見"じゃなくて、本当の意見を知りたいじゃないですか。流行ってることをきっかけに来てくれるのも嬉しいですけど、"本当はどう? 心の底からいい曲だと思ってくれる?"みたいなところがやっぱり知りたいんですよ。そういう部分をスキップしてほしくない。パッションというか、本当に思っていることを聞きたいです。"何か言われることを気にせず、自分の真実を言うやつら"の意見が聞きたい。

Yudai:会場限定シングルはこの作品を出してやっと完結だからね。

-「Calm:Unison」はトリッキーでテクニカルなプレイで、途中ブレイクダウンが入ったりと目まぐるしい展開に、跳ねるリズムなど盛りだくさんの斬新な楽曲だと思ったんですが、どういった過程でできてきたんでしょうか?

Yosh:"7(拍子)"の曲が欲しかったんですが、ギリギリまで出すか出さないか悩んではいました。俺的には"サラッといきすぎちゃったのかな?"っていうところもあったりして。

Yudai:たしかにあっさりだった。

-あっさりというと?

Tatsuya:デモの段階のものを全員でリアレンジして完成っていう。普通だとそのあとに"もっとこうして"っていう作業があって、結構変わったりするんですけど、ほぼ5人のアレンジのまま変わらずレコーディングした曲でした。それが逆に不安でしたね。

Yudai:いつもはもっと時間かけてると思うんです。

Yosh:しかも、(「Calm:Unison」は)トリッキーだからこそ"もっと時間かかるかな?"っていう予想をしてたので。そしたら"あれ?"って(笑)。"これ大丈夫? 本当にいいの?"っていう感覚だった(笑)。

Yudai:今までのレコーディングは、シングル以外のアルバムとかはほぼ一緒にいる空間でやってたんですよ。その日の夜みんな録り終わったら"ここはこうだ、ここをこうするべきだ"とか、細かいところを詰めてたんです。今回はそういうのがほぼなしで、エンジニアもバラバラで録ったりして。

Tatsuya:でも、変な曲ですよね。

Yosh:すげぇ変な曲。大変だった......。

-とはいえ聴き手からすると、Yosh君のキャッチーなメロディが乗ると意外に聴きやすい部分もあったりして。

Yosh:そうなんですよね。実はギリギリまでサビが出てこなくて"どうしよう出ない"って悩んでたら"お、これいいじゃん"って思えるサビがパッて出てきて、嬉しいです。

Yudai:"7に感じさせないようなキャッチーさを求めよう"っていうトライが、結構多かったかもしれないですね。

-TVアニメ"ヴィンランド・サガ"オープニング・テーマでもある「Mukanjyo」ですが、こちらは"ヴィンランド・サガ"のために書き下ろされた曲でしょうか?

Yosh:"ヴィンランド・サガ"のタイアップのために作りましたね。

-日本語詞が非常に映える楽曲ですよね。個人的には前作で日本語詞を導入した「found & lost」、「NE:ONE」より、日本語がスッと入ってきたんですが、メンバーのみなさんはどうでしたか?

Yudai:Yoshは普通の日本人が使わないような譜割りで日本語を使うじゃないですか。それがいつも面白いんですよね。新しいというか、"他にないな"って思うし。彼の武器に少しずつなってきてるのかなって気がしてます。裏をすごく意識してるので、日本人が裏に日本語を入れない感覚のところでスパッと入ってきて、響きが新しいですよね。「Bridges」のサビを聴いたときも"ほぉ、そこに行くか!"ってなりましたし。"わかりやすい日本語でやる"っていうのが、自分らの中で固まってきている部分かもしれないですね。だからこそのアプローチがあるんだなというのは勉強になってます。

-耳に残りますよね。例えば宇多田ヒカルさんが世に出てきたとき、メロディへの日本語の乗せ方が、他のアーティストと比べてまったく異質だったのがすごいインパクトでした。"英語脳"というか、英語で思考する方が作る日本語詞の乗せ方って面白いと思いますね。

Yosh:宇多田ヒカルさん大好きなんで、超嬉しいです。そういう先輩っていないじゃないですか。特殊な人種なんで、(同じタイプの)先輩がいなくて。今となっては自分なりのやり方でできたので、"良かったな"って感じられるんですけど、こういう感じで10年前に歌ってたら"変だよ"としか言われなかったと思うんですよ。そこを理解してくれるメンバーがいたからこそ、こういう曲が出てくるのかなって。こういう日本語詞の曲ができたことはすごく嬉しいですね。