INTERVIEW
AA=
2012.07.11UPDATE
2012年07月号掲載
Member:上田剛士 (Ba,Vo,Prog)
Interviewer:KAORU
-「We’re Not Alone」はフリーダウンロードという形でしたが、この方法を取った理由は?
販売という形で資金を得て、それを寄付するということも考えたんですけど、全額を寄付に回すようなことが出来ない、システム的な問題があって。権利関係のところ、具体的に言うとジャスラック的なこととか、そういうことがどうしても入ってしまうんですね。だったらもうそういう権利関係のものが一切入らない、全員がボランティアでいられる形でやりたいという思いで、最終的にこの形を取りました。
-「We’re Not Alone」はどのくらいのダウンロードがあったのですか?
大体10万ダウンロードですね。
-AA=、上田さんは震災前にもアルバムの売り上げをWWFに寄付していて、ずっとチャリティー活動を続けていましたよね。震災以降には、様々なミュージシャンがチャリティー活動をするようになりましたが、そのことについてはどう思いましたか?
素晴らしいと思うし、とても心強いですよ。行動を起こしている人がたくさんいるので、自分もやれることをやらなきゃな、という気持ちになりますね。それを必要としてる人もいると思うし、音楽って、音を届けるっていう基本的な部分もあるけど、気持ちとか、考え方とか、大げさな言い方だけど、生き方とか、影響を与えることが出来るものだと思うので、そういう意味では演奏する側の人間が、自分はこう思う、自分はこういうことが“正しい”って言っちゃうと強い言葉になっちゃいますけど。姿勢というものを示すことは、聞く側の人にもいい影響を与えることが出来ると思うので。自分も影響を受けるし、先輩のミュージシャンから若い頃に影響を受けたっていうのもあるし、今の同年代とか、若い子たちの行動から影響を受けることもあるし。それが音楽のいいところであると思う。ただ音を商品として売って、消費するという産業的なことではなくて。そういうことを大事にしたいなという気持ちは僕の中にも常にありますし。
-さて、『#3』はドイツのレーベルGan-Shinと契約を結び、ヨーロッパ全域と数カ国で配信がスタートしていますが、結果はどのような感じですか?
THE MAD CAPSULE MARKETSが海外で活動していたこともあるので、海外の方からAA=の作品はどこで買えるんだ?という質問を受けることも多かったので、そういう意味では配信でヨーロッパの人に簡単に届くようになって良かったですね。喜んでくれてる人もたくさんいるので。そうなってくるとツアーをして欲しいとも言われるんですけど、それは大変だなみたいな(笑)。
-そうですよね。AA=はメンバーが集まるのも大変ですもんね。Gan-Shinは日本のバンドをたくさんリリースしているレーベルですが、彼らと契約をしたのは面白いなと思いました。
そうですね。日本のバンドをリリースしているという意味でもやりやすかったですし、こっちも契約するレーベルを探していたので、お互いに話が合ったという感じですね。
-それでは本題、シングル『The Klock』についてお伺いします。シングルなのに、CDを入れた瞬間75分という表示にびっくりしました(笑)。表題曲の「The Klock」は、映画「ヘルタースケルター」のエンディングテーマとして提供された曲ですが、「楽曲を作る時、初期段階のトレイラーの音を消して観ながら作った。絵から音を繋げていった感じ」とのことですね。曲の原案が完成されるまでにどのくらいの時間がかかりましたか?
アイディアをまとめて監督に聞かせるくらいの状況になるくらいまでは一週間くらいですね。そいういう意味では割と時間がない状況でした。
-視覚からインスパイアされて曲を作るということは今までにありましたか?
音楽を作るときに、頭の中で映像的なものであったり、色であったり、そういうイメージが浮かんで作ることは多いんですけど、実際に映像ありきで、“こういうイメージで”とはっきり提示されて作るのは初めてでしたね。
-具体的にどういうイメージが浮かびましたか?
一番最初に浮かんだイメージを形にしたのが「The Klock」のデモの段階で、ほぼ今上がってるのと変わらないですね。あれこそが浮かんだイメージなんですけど。例えば、ずっと鳴っているサンプリングの警報機のようなブザーのような。ああいう音は最初にパっと見て浮かびました。熱くて激しいんだけど、どこか静かであったり。両極端の二面性というのも、映像を見た段階から感じていたものですね。
-BPM143くらいのテンポの重厚な四つ打ちのヘヴィな曲でありながら、サビで上田さんのメロディックなヴォーカルが乗って、世界が開けてくる感じがとてもかっこいいですよね。因みにAA=の曲は、今まで四つ打ちは多くなかったと思うのですが、今回は何故四つ打ちになったのでしょうか?
うーん、四つ打ちの曲を作ろうという意識でやったわけではないんです。作っていく過程で自然とそうなりました。サンプリング音が元になっていて、BPM的にも、元はサンプリング音のタイム感で決まっているんですよね。そこからリズムが生まれて、リフが生まれてという。