COLUMN
NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第35回
先日、インドのメタルバンド「Bloodywood」の東京公演を観に行った。
インドの伝統的なダンスミュージックであるバングラーとメタルを分かりやすく融合したノリの良いサウンドが素晴らしいのはもちろん、ドールという民族楽器を演奏するメンバーが居たり、衣装がインドの民族衣装"クルタ"であったりと、万人に分かりやすく「インド」を表現していた。とても素晴らしいステージだった。
彼等の1st Al「RAKSHAK」も是非チェックして欲しい。
さて、前置きが長くなったが、今回はBloodywoodのように母国の伝統音楽とメタルを融合させた変わり種バンドをいくつか紹介しよう。
Roots / Sepultura
南米ブラジルは知る人ぞ知るメタル大国だが、Sepulturaはブラジルの民族音楽とメタルを高次元でハイブリットした先駆けではないだろうか。
祖先であるインディオ達への敬意を民族楽器と極悪なメタルサウンドで表現した名盤である。
Babylon / Skindred
メタルの中にジャマイカ発祥の音楽「レゲエ」を色濃く取り込んだのがSkindredだ。
バンド自体はウェールズ出身なのだが、Vo.のベンジーの両親はジャマイカ人。本格的なレゲエサウンドとニューメタルのグルーヴがこんなにも相性が良いとは驚きだ。
Voice of Wilderness / Korpiklaani
北欧民族音楽とメタルを融合させ、フォーク・メタルというジャンルの発展に大きく貢献したフィンランドが誇る偉大なバンドだが、日本では「小屋からおじさんがバイオリン弾きながら出てくる変なMVのバンド」としての印象が強いだろう。日本盤CDの邦題がすべからくふざけているのも特徴。
All Is One / Orphaned Land
イスラエルが産んだオリエンタル・メタルのパイオニア。
アラビアンな中東音楽にヘヴィ&プログレッシヴサウンドを混ぜ合わせ、30年以上に渡り愛や平和を歌い続けるOrphaned Land。NoGoDの私が言うのもあれだが、この人達は多分神様だ。
The Gereg / The Hu
遂にモンゴルでメタルを奏でるバンドが現れるとは......!
伝統楽器である馬頭琴やトブシュール、口琴等の演奏に乗るのは、伝統的発声方法であるホーミーを駆使した歌唱。正直他のバンドに比べてメタル度は低めではあるが、母国の音楽の良さを大切にしつつもきちんとハードロックサウンドに昇華させた功績は計り知れない。
他にも、
アンデス地方の音楽「フォルクローレ」を取り入れたペルーのFLOR DE LOTO。
台湾の伝統楽器・二胡を取り入れたアジアンメタルの雄CHTHONIC。
ヨーロッパ民族楽器てんこ盛りのスイス産笛メタルELUVEITIE。
ラテン×メタルのIll Niño等、世界中の音楽とメタルは数々の化学反応を起こしてきたのだ。激ロック読者達にもメタルの汎用性の高さと無限の可能性を少しでも感じて頂けたら幸いである。
しかし、最後にこれだけは言っておきたい。
いくらメタルが万能とは言え、必ずしも融合が上手くいくとは限らないという事を。
インドネシアの民族音楽「ガムラン」をシンフォニックメタルに取り入れたLord Symphonyの曲を聴いて私はこう思ってしまったからだ。
「ナシゴレンとシャンパンは合わないもんなぁ......」と。
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