COLUMN
NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第29回
以前このコラムで日本の音楽的特異点の街として千葉県柏市を紹介したが、
実は同じくらい特異な場所がこの国にはまだある。
それは茨城。
THE BACK HORN(山田将司)、MUCC、ラヴィアンローズ、真空ホロウ、石崎ひゅーい等、数々のアーティストを世に送り出している。
そんな茨城で伝説と呼ばれるバンドが居る。
赤き生命欲 / COCK ROACH
茨城で1996年に結成されたCOCK ROACH。
静と動が入り乱れる先読み不可能なヘヴィで複雑な楽曲構成に、
ボーカルの遠藤氏が吐き出す文学的で生と死に深く切り込む歌詞が合わさり、
ジャンル分け不可能な化学反応が起きている。
リリースしたデモテープは地元のラジオで連日リクエストが入り、4000本を売り上げた程だ。熱狂的な地元人気を獲得した彼等は初の全国流通盤「虫の夢死と無死の虫」を2001年にリリース。
20歳そこらの人間が作ったとは思えない程の世界観とクオリティでCOCK ROACHの名は全国に広がり、同年にはフジロックにも出演。
そして翌年の2002年、彼等の代表作とも言われる2nd album「赤き生命欲」がリリースされた。
全体に渦巻く仄暗い空気の中、それでも一筋の光を掴もうと藻掻く人間の葛藤や欲望を見事にパッケージングしている。
当時洋楽ばかりを聴き漁り、日本のロックなんてセルアウトだ!等と息巻いていた19歳の濱守少年(私の本名)が、友人から「とにかく凄いから聴いてみろ」とこのCDを渡され渋々ながら再生し、聴き終わった結果「俺、ちゃんと日本のロック聴きなおそう」と考えを改め直した程に衝撃的だった。
本当に素晴らしい作品なので、是非激ロッカーの皆に聴いて頂きたい。
その後彼等は2005年に惜しまれつつも解散したが、2019年にアルバム「Mother」で復活。
現在もマイペースではあるがコンスタントに活動をしている。
また、コロナ禍には水戸や県内の音楽シーン活性化のために「ヒカリノハコ」プロジェクトを始動。
オリジナル楽曲やオムニバスアルバムの売り上げを水戸の音楽シーンに還元する活動をしている。
ちなみにだが、同世代のTHE BACK HORNやMUCCは当時COCK ROACHには猛烈な衝撃を受けたと語っている。
個人的な見解ではあるが、彼等のサウンドの節々からCOCK ROACHへのリスペクトを感じる事が出来る。
そんな茨城勢が一堂に会するイベントがある。
9月6日 神奈川・CLUB CITTA' MUCC主催「えん8」
出演:MUCC / THE BACK HORN / COCK ROACH
これはヤバすぎるイベントだ。
是非この日は茨城県川崎市で北関東の特異な音楽と熱量を存分に感じてもらいたい。
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