COLUMN
NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第5回
音楽業界が不況だと騒がれる昨今だが、
フェスやDJイベント等で今が旬のアーティストを聴いて盛り上がっている若者たちを見ると、日本のロックシーンはまだ死んでいないと感じる事がある。
ロックシーンの変化は速い。
数年前にメタルコア・ラウド・ミクスチャーブームが来たかと思えば、
今は軽妙なリズムとリリックのギターロックが若者に響いている印象がある。
いかに時代の流れを読み、そこに乗るかが大事なのは分かる。
だが裏を返せばそこにあるのはオリジナリティなき後追いなのではないか。
今回は、20年前から時代の最先端を走り続けた日本のバンドをご紹介。
e・go・is・tick / GARI
1997年に東京で結成された4人組のバンド「GARI」。
初期は非常に高水準のラップコア、ミクスチャー・ロックバンドだった。
1999年には自主レーベル「DeadstocksandwicH Records」を設立し、シングルとミニアルバムをリリース。
同世代のRIZE、UZMK、SMORGAS、GUNDOG等と共に和製ミクスチャー・ロックの礎を築いた。
時代はミクスチャー・ロックムーブメントの全盛期を迎える。
この手のバンドサウンドが世の中に溢れていく中、いち早くエレクトロ要素を織り交ぜ、独自のスタンスを確立したのがGARIだった。
DJやブレイクビーツを取り入れたミクスチャーはそこまで珍しくなかったが、
彼等は誰よりも先にEDM的な音楽を導入していった。
そして満を持して2005年「e・go・is・tick」でメジャーデビュー。
ロックよりもポップスがメーンになりつつあった当時の日本の音楽シーンにおいて
(この時代でも商業的に成功を収めたミクスチャー・ロックバンドは恐らくORANGE RANGEくらいだったかと)、
猛烈な異彩を放ったこの作品は13年経った今聴いても全く色褪せていない。
前衛的かつ繊細なエレクトロ要素に、
エッジの効いたリフとキャッチーなメロが絶妙なバランスで組み立てられている。
この壮大な世界観、日本人置いてきぼり(笑)。
だが世界は彼等を放ってはおかなかった。
2006年の「Masked」はフランスでもリリースされ、
翌年開催されたヨーロッパ最大のジャパンカルチャーフェス「JAPAN EXPO 2007」に出演。入場規制がかかるほどの好評を得る。
その後は世界中のフェスやツアーに参加し、海外での評価を着実に高めていった。
反面、日本での活動やリリースは非常に緩やかなこのバンド。
これまで生で見られる機会が少なかったのだが、
なんと今年はライブラッシュ。
Fear, and Loathing in Las VegasやJAWEYEのツアーアクトで東京以外のスケジュールも決まっている。
私も何度かGARIのライブを観ているが、毎回鳥肌が止まらない。
緊張感、昂揚感、解放感、様々な感情が沸き起こり渦巻く空間。
こればかりは生でなければ伝わらない。
是非その目で見て体感してほしい。
世界で評価を受けた日本のバンドの本気を。
彼等がライブをやる気がある今年のうちに(笑)。
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