LIVE REPORT
PassCode
2020.08.29 @KT Zepp Yokohama
Writer 吉羽 さおり Photo by Shingo Tamai
今年1月、新木場STUDIO COASTでの2デイズ・ライヴ"PassCode CLARITY Plus Tour 19-20 Final at STUDIO COAST"を成功させ、5月末からは、ニュー・シングル『STARRY SKY』を提げた自身最大規模の全国ツアー"PassCode STARRY TOUR 2020"がキックオフ予定だったPassCode。新型コロナウイルスの影響でこのツアーは中止となってしまったが、8月29日のKT Zepp Yokohamaでのファイナル公演は厳重な感染防止対策を行ったうえで、開催となった。同時に生配信も行われ、この日を待ち望んだ観客が会場とオンライン上に集った。
初めにバンド、そしてPassCodeの4人がステージに登場すると会場から大きな拍手が湧き上がる。感染防止のためフロアも座席指定になりソーシャル・ディスタンスが取られたうえ、歓声やコール、一緒に歌うといったことも今回はできない。つまり、いつものPassCodeのライヴに当たり前にあることが、制限されたライヴである。それでも、このコロナ禍で長く、会場に足を運んで生でライヴを観ることが叶わなかったことを思うと、思いが極まるものがあるのだろう。筆者はオンラインでの視聴だったが、会場の拍手の熱さや興奮は十分に伝わってきた。それはPassCodeも同様で、ワンマンとしては約半年ぶりに実現したライヴとあって、溜め込んできたエネルギーを爆発させる勢いがあった。1曲目は最新シングル「STARRY SKY」。今田夢菜の渾身のシャウトでボルテージを一気に上げ、大上陽奈子、南 菜生、高嶋 楓とメロディを繋ぎ、清々しい表情でサビへと駆け抜けていく。今日の物語の始まりとしても最高の1曲だろう。そして、"ただいま!"という南の声で、「Maze of mind」、「DIVE INTO THE LIGHT」、一体感のある振付で、会場からもオンラインからもシンガロングが聞こえそうな「Insanity」や、シャウトありクールなラップありで、激しく展開していくラウド・チューン「bite the bullet」と飛ばしていった。
MCでは会えなかった時間を振り返りながら、"変わらずPassCodeのことを好きでいてくれて本当にありがとう。もしみんながライヴ以上に楽しいことを見つけてしまって、会えなくなったらどうしようとか、そんなことばかり考えていました。こうしてみんなが集まってくれたことが、PassCodeを好きでいてくれる証明だと思っています"と語る。そして、"普段のライヴとは勝手が違って、一緒に歌ったりはできないけど、それでもできることがあると信じています"とつけ加えて、大きく拳を掲げて盛り上がる「Taking you out」へと突入。中盤はPassCodeの中でも、クレイジーでハジけた曲が並んだ。シングル『STARRY SKY』初回限定盤収録で、ハイブリッドなEDMが感情のカオスを生む「Seize Approaching BRAND NEW ERA」と、奇想天外なミクスチャー・ロックで興奮を煽っていく「GOLDEN FIRE」の連投は反則で、そこからカタルシスたっぷりに「ATLAS」や「Tramonto」、そしてインディーズ時代の「オレンジ」とエモーショナルな曲へとなだれ込んでいくと、会場の手拍子はさらに大きくなっていく。その光景に"普段とは違うことがたくさんあるけど、ステージにいることが寂しくない。みんなが楽しんでいることがちゃんと伝わっています。ありがとう"と、この時間を噛み締めるように語った。
MCでわちゃわちゃとしたり、振付の中でメンバーにちょっかいを出してみたりと、この日の4人は本当に嬉しそうで、ライヴという場がPassCodeにとってどれほど大事で、楽しいものかも伝わってきた。"この半年間は練習で鏡に向かっているだけだったから、いろんな人の顔が見えるだけでこんなに楽しいんだって思った"と言う。また、"まだできないことはあるけど、こうしてPassCodeが先陣を切ってライヴをやらせてもらっていて。みなさんの協力がないとできないことだと思うんだけど、こうして地道に少しでも活動をしていれば、きっと他のライヴもできやすくなるんじゃないかなと思ってます。それくらいの気持ちを背負って、今日はステージに立たせてもらっています"と、このライヴに至った決意を観客にまっすぐに伝えた。"遠くない日程でまたライヴをやります。今日がそのための記念すべき1日です。今日はみんながやりたいことを制限されていて、できないことが多くて、悔しい気持ちにもなったりもしていると思います。でも、それ以上に今日という日がきっと未来に繋がっていくと思う。そういう日にしましょう"。この言葉に続いたのが「Future's near by」。突き上げる拳にも力が入る。
後半は怒濤の流れで、「Tonight」、メジャー・デビュー曲でライヴのテッパン「MISS UNLIMITED」、そしてドラマチックな「Ray」から、爽やかに観客の心を束ねていく「It's you」へと、感情を爆発させた。これで感涙のクライマックス......かと思いきや、最後にもう1曲。本日2回目となる、「STARRY SKY」が歌われた。歌詞の映像演出も加わって、ライヴ冒頭で披露した意味合いとはまた違った、かけがえのない願いが響きわたる。"何度でも、何度でももう一度始めよう"。南が叫んだ言葉は眩しく、また深く胸に突き刺さった。このライヴ後には、"PassCode STARRY TOUR 2020 EXTRA"公演の開催も発表。ここからまたひとつずつ、大事にライヴを積み重ねていくその一歩を確かに刻んだ夜となった。
[Setlist]
1. STARRY SKY
2. Maze of mind
3. DIVE INTO THE LIGHT
4. Insanity
5. bite the bullet
6. Taking you out
7. Seize Approaching BRAND NEW ERA
8. GOLDEN FIRE
9. ATLAS
10. Tramonto
11. オレンジ
12. Future's near by
13. Tonight
14. MISS UNLIMITED
15. Ray
16. It's you
17. STARRY SKY
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