LIVE REPORT
Crossfaith
2017.02.04 @幕張メッセ
Writer 荒金 良介
ついに"New Age Warriors Tour Final Series"を迎え、今日は正真正銘のツアー最終公演となった。特別な夜になることは予測していたが、こちらの想像を遥かに上回る演出やパフォーマンスに度肝を抜かれた。会場の幕張メッセといえば、SLIPKNOT主催のダーク・カーニバル"KNOTFEST JAPAN 2014"、"KNOTFEST JAPAN 2016"でCrossfaithのライヴを観ているが、それとはまた意味合いがまったく違う。多くのバンドが集まるフェスではなく、今日は彼らだけがステージに立つワンマン公演である。
18時13分、ステージ背面のスクリーンに映像と字幕が流れ、"彼らこそが新時代の戦士たち"という言葉に胸が熱くなったのも束の間、通常ステージのさらに奥に設置されている2階ステージにKoie(Vo)、Kazuki(Gt)、Hiro(Ba)、Tatsuya(Dr)、Teru(Prog/Vision)とメンバーが横並びで登場。バンド名のロゴが入った赤い旗を持ち、最後にゆっくりとKoieが階段を下りると、オープニングからいきなりのアンセム曲「Monolith」をぶっ放す。今日の会場はフロアがスタンディング形式で、それを取り囲む形でスタンド席があるのだが、曲が始まった瞬間からヘドバンをする人や拳を突き上げる人に加え、フロアには巨大なサークル・モッシュができあがっていた。そして、イントロから大合唱を巻き起こしたのは「We Are The Future」だ。スクリーンにはメンバーの姿がモノクロ映像で映され、きめ細かな演出も実にクール。それから凄まじいヘヴィ・リフで攻める「Jägerbomb」へ。曲中にも"何ボケっとしとんねん、走れ!"とKoieがアジテーションし、落差激しいブレイクダウンも相まって、会場の熱気が高まるばかりだ。
ここで最新シングル『New Age Warriors』から「Kill 'Em All」をプレイ。最初から観客がジャンプする壮観な光景を作り出し、Koieの歌を援護射撃するTeruのスクリームも効果抜群で楽曲の沸点はマックスを記録。聴く者を野獣に豹変させるような、即戦力のあるパワー漲る曲調だった。続いてステージから炎が飛び出し、スクリーンに"FIRE"、"BOOM"の文字が躍ると、「Wildfire」が始まった。ここでも、音源で参加したBenji Webbe(SKINDRED)の代わりにラガマフィン調の声を発するTeruが大活躍し、盛大なパーティー空間へと様変わり。重厚な「Madness」を披露したのちに突入した中盤のハイライトは「Tears Fall」である。"Kazukiから脳内出血を告げられ、俺はどうすればいいかわからなかった。俺(Kazuki)は絶対に戻ってくるから、活動を続けてくれと言われて。世界ツアーから帰ったときに聴かせてくれた曲で......キレイで力強くて、この曲がなかったら、この場に立ってなかったかもしれない"とKoieが語り、物悲しいギターを合図に曲は始まった。ピアノを配したバラード風の曲調、Koieの装飾を剥いだ生々しい歌声、そこに天を見上げながらギターを弾くKazukiの姿がスクリーンに映される。バンド史上最大キャパの記念すべきワンマン公演で、この曲を聴くことができて良かった。結果論になるけれど、この日のためにあった曲と言えるかもしれない。
中盤過ぎは3rdアルバム『XENO』の世界に観客を誘う。「System X」、「Xeno」、「Raise Your Voice」、「Devil's Party」と、アルバムの曲順どおりに畳み掛ける。その音の破壊力たるや、大阪発日本代表......いや、世界代表と言いたくなるヘヴィネスで幕張メッセは業火と化す。その空気感をいい意味でガラッと変えたのはインスト曲「Astral Heaven」だ。Teruの美しい鍵盤に導かれるようにバンド・サウンドに移行すると、2階ステージでKazukiは情感のこもったプレイを響かせる。その立ち姿も実に印象的だった。また、スクーンには複数のクラゲの映像が流れ、ドラマチックな曲調を幻想的に彩る演出も良かった。
それから最新シングル収録の「Rx Overdrive」で演奏は再びトップギアに入れる。初期Crossfaithの凶暴さを再び体内に取り入れ、吐き出したド迫力のスクリームと演奏にただただ圧倒される。"お前たちがいてCrossfaithはここまで来れました。導いてくれてありがとう! この曲はお前らの声が重なって完成する"とKoieが言うと、本編最後は「Revolution」を披露。"ウォーウォー!"と観客とコール&レスポンスを交わし、みんなの歌声が革命を起こすと言わんばかりの熱気が渦巻いた。
アンコールではTatsuyaの圧巻のドラム・ソロでここにいるすべての人の心を奪い去ると、「Countdown To Hell」、THE PRODIGYのカバー「Omen」と続き、ラストは「Leviathan」で締めくくる。ラウドからシンフォニックへと急カーブを描く曲展開は、映画のクライマックス・シーンを眺めているような感動に陥った。メタルコアにエレクトロ/ダンス・ミュージックをねじ込み、エンターテイメント性に長けたパフォーマンスを魅せ続けてくれたCrossfaith。彼らの止まることを知らない"進化"に畏怖の念を抱くほどだ。これからがさらに楽しみになってきた。
[Setlist]
1. Monolith
2. We Are The Future
3. Jägerbomb
4. Kill 'Em All
5. Snake Code
6. Eclipse
7. Wildfire
8. Mirror
9. Madness
10. Photosphere
11. Tears Fall
12. Scarlett
13. System X VIP
14. Xeno
15. Raise Your Voice
16. Devil's Party
17. Astral Heaven
18. Rx Overdrive
19. Revolution
20. Drum Solo
21. Countdown To Hell
22. Omen
23. Leviathan
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