INTERVIEW
Survive Said The Prophet
2022.02.01UPDATE
2022年02月号掲載
Member:Yosh(Vo) Ivan(Gt) Tatsuya(Gt) Show(Dr)
Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)
-続いては10月に配信リリースされたもうひとつの楽曲「Win / Lose」です。
Yosh:曲の評価ってすごくシンプルなものなんですよね。僕らがどう思って作っても、聴き手がカッコ悪いと言えばカッコ悪いし、カッコいいと言えばカッコいいし、古いと思えば古いし、新しいと感じてくれるんなら新しいものにもなれるっていう。僕らは"スタジアム"をずっとキーワードというか、目標にしてきたんですけど、それに近づいた曲って感じですね。みんなで、スタジアムで歌える曲は昔からありますけど、自分たちもその道程を歩んでるんだっていうことが提示できたんじゃないかと。コロナ禍で、実際みんなで歌うっていうことはできなくなってますけど、聴こえる感覚があるんですよ。みんな声は出していないはずなのに聴こえてくるっていう感覚は、僕らだけじゃなく多くのバンドが体験してると思うんです。そういうのが音楽の力じゃないですか。そういうマジックが、この楽曲でできたっていうことは、誇らしいですね。
-今はライヴでもオーディエンスの声出しはNGですもんね。そういうなかで、「Papersky」はシンガロングじゃないですけど、掛け声やお客さんが歌いたくなるパートがあって、そしてもちろん「Win / Lose」も頭からシンガロングで。今聞いた話だと、歌いたいけど歌えない状況を、感じ取れる声として皆さんはすごくプラスに捉えているように感じたのですが、今の時代そういうパートを盛り込むことにもしかして葛藤があったのかなと思ったのですが......。
Tatsuya:今はこんなふうにライヴで楽しんでもらおうっていうのは、作る段階から話し合っていたことなので、そこに対する葛藤はなかったですね。むしろ、普通にライヴができるようになったらもっと感動するんじゃないかなって。
Yosh:声に出せないぶん、小さな涙とかは大きく見えますし、声に出せないことがこんなに悲しいんだ、みんなで歌えるってこんなに大事だったんだっていうのは、こういう機会がないと知れなかったことですしね。自分だって、好きなアーティストにはそんな気持ちを伝えたいですし、僕らもできることをやっていこうというメンタリティは持っていたいです。
-そうですね。歌えないからそういうパートはなくそうっていうのは単純すぎますよね。観客が声を出せない分、メンバーみんなで歌って、観客は一緒に心の声を届けるっていう。やれる方法はありますよね。これまでバンドによっては"ライヴで盛り上がるために、ここにシンガロング入れるか"とか、盛り上げるために安易に入れることもあったと思うんですよ。それが、もうお決まりじゃなくなってしまって、そんななか今こういうシンガロング・パートや掛け合いを入れる意味深さを考えてしまいました。
Tatsuya:それも、もしかしたらなぁなぁになってしまってた部分かもしれません。そんなすべての常識がいったん壊れた感じですよね。
Show:またイチからライヴのあり方も考えていこうよってきっかけにはなりました。頭って使わないと老化していっちゃうし、そういう意味ではいい変化と捉えることもできますよね。
Tatsuya:今の子は、コロナ禍でライヴに行かなくなったりしてるけど、そもそも昔ってライヴハウスに行くの親に止められたりしなかった?
Yosh:あぁ、たしかに。
Tatsuya:で、"危ないところだから行くな"って親に言われても、自分たちで選んで足を運んでたわけじゃない? その状態とそんなには変わらないのかなって。結果的に"行くか行かないかを決めるのはあなたたち自身だよ"っていうことが、世の中から提示されているみたいな。だから、ライヴハウスのあり方自体は、もしかしたら変わらないのかもしれない。
Yosh:そして、来ることを選んでくれた人たちに居心地のいい場所を提供するのが、アーティストの仕事なんですよね。だから、努力の仕方は変わるかもしれないけど、いい方向に行くように頭を動かして工夫できればなって。
-そうですね。話は戻りますが、先ほどイージーコアの話が出ましたけど、イージーコアって、やっぱり明るい"陽"のイメージというか、バスケットボールのスタジアムで気分を上げてくれる楽曲として相性がいいですよね。
Yosh:そうですね。あと、日本でしかこういうことはできないんじゃないかなと思います。僕が初めてこの話を貰ったときに、じゃあヒップホップみたいな曲作って、バスケットボールの音サンプリングして、ラップやるかー......って思ったんですけど、やっぱ違うんじゃないかって(笑)。イージーコアのハッピーなエッセンスで、メッセージが伝えられるんじゃないかって思ったんですよね。
-歌詞もすごくいいですよね。"勝ち負けだけが答えじゃない"っていうメッセージがあって。
Yosh:ありがとうございます。なかなか英語の歌ではないですよね。だいたい"勝ちか負けだろ"っていう(笑)。日本語は入ってない楽曲ですけど、だからこそ逆にちょうどいいかなって。
-もちろん、バスケットボールの選手や観客に向けたメッセージではあると思うんですけど、それが今の時代のメッセージとしてもマッチしているなと感じました。
Yosh:実は、もともとは清掃員の方をイメージした歌詞なんですよ。誰も見ていないけど、バスケットボールの会場をきれいにすることで試合を盛り上げる人たちですよね。その意味で、勝ち負けとは違う、日々の努力の積み重ねで結果を出すことの大切さというか。
-裏方の大切さ?
Yosh:もちろん、裏方だけじゃないですけどね。勝ち負けじゃなく、ひとつのイベントを成功させようって共通の目標達成へ向けて、ひとりひとりの力が必要なんだよという。これは、みんなのことだよってメッセージですね。
-なるほど。
Yosh:"お前が来てくれたから、今日のこのイベントはあるんだよ"っていう観客に向けたメッセージにもなれば、日々努力を積み重ねているバスケットボール選手たちへのメッセージにもなるし。ライヴについてもそうですよね。今、こういう状況下で必死に調整してくれる人たちがいて実現するわけで。ステージに立つ人だけにフォーカスが当たってはいけないと思うんですよ。ヒーロー、ヒロインだけじゃなく、ひとりひとりに向けて"頑張ってる?"、"頑張ってる?"、"頑張っていこうぜ?"って語り掛ける感じです。
Show:音楽だけじゃなく、すべての仕事にも置き換えられるよね。コロナ禍で、社会を支えるそういうひとつひとつの仕事へのありがたみを感じるようになりました。
Ivan:今回の2曲は、そういうポジティヴなヴァイブスというか、メッセージでセット・アップされたシングルですね。
-そうですね。「Win / Lose」のMVをひと足先に拝見したんですが、バスケにかけてスポーティな仕上がりになっているかと思いましたが、いい意味で裏切られました。ストーリー性の強いMVですが、設定やストーリーはメンバー考案でしょうか。
Yosh:今回はアイディア勝負って感じですよね。
Ivan:演奏シーンをバーンって撮るだけなら簡単じゃないですか。でも、曲のプラスなイメージもちゃんと表現したいってところで、ちょっとファニーな映像に挑戦したいなというのがあったんですよね。それで、バンドの映像とは別に、ストーリーを走らせようってことになって。そこから監督さんがいろいろ考えてくれてって感じですね。
Yosh:もちろん、ファニーなテイストでっていう前提があったんですけど、どうなるのかなって観てみたら、最後ちょっと涙出ちゃいましたね(笑)。宇宙人が出てくるんですけど、その宇宙人にシンパシーとエンパシーをすごく感じてしまって。オチを言っちゃうとアレなんであまり言えないですけど、東京に住んでると誰でも自分が宇宙人みたいに感じられるときってあると思うんですよ。そういう意味で、監督さんからも"Yoshさんはインター(インターナショナル・スクール)で日本人だから、コミュニケーションが難しかったこともあったと思うんですよ"とか補足してもらったら、ほんとに涙出ちゃって。だから、ファニーなだけじゃなく、ちゃんと最後に感動もあって、ぜひ最後まで観てほしいですね!
-そしてさらに、SiM、10-FEETとの3マンでの"NO MATTER LIVE"も発表されましたね。なかなかこういう先輩に囲まれたライヴってあまりなかったんじゃないですか?
Yosh:そうですね。メンバー個人とは会っていても、こういうかたちで対バンってあまり機会がないです。
-そういった予定もありつつ、今年2022年のサバプロの動きとしては、今後どのような感じになるのか教えていただけますか?
Yosh:僕らは、アジアの文化を世界へ、もっとグローバルな存在になっていきたいなとは思いますね。日本の中でエンジョイしているだけではなく、もっと世界に広げていきたいというか、そのためにもいろいろなカルチャーをクロスしていきたいです。もちろん、アニメーションもそうですし、映像だけじゃなく様々なスタイルで、2022年もグローバルというキーワードを掲げて走っていけたらな、と思っています。
Show:やっと"動いてます!"っていうのを見せられる年になったので。これまでの1年は、表向きはブランクみたいな期間だったと思うので、それが動き出しますよっていうことは強く伝えたいですね。
Tatsuya:楽しめるものを用意するし、ニュー・チャプターが始まるよっていう。楽しみにしてもらいたいですね。