MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

Survive Said The Prophet

2022.02.01UPDATE

2022年02月号掲載

Survive Said The Prophet

Member:Yosh(Vo) Ivan(Gt) Tatsuya(Gt) Show(Dr)

Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)

-うまい(笑)。そして、そういった時期を乗り越えて、今回1年ぶりにリリースされるCDが、ニュー・シングル『Papersky | Win / Lose』ですね。まず、オリジナル曲のパッケージでのリリースとしては、2020年1月リリースの『Inside Your Head』以来2年ぶりということになります。以前のインタビューでは、"サバプロはリリースのタイミングがすごく早い"ということを話題に上げていましたが、ここまで期間が空くことは今まではなかったですよね。

Yosh:そうですね。もう禁断症状出ちゃいますよ(笑)。以前にもお話ししましたが、僕らってリリースのタイミングでいつもは、次の作品がすでに見えているんですよね。今回は、世の中の状況に合わせてタイミングが遅くなってしまいましたが、もちろん曲は作ってますし、"作ってるんだよ"っていうことをみんなに伝えたいです。

Show:信じられないくらい作ってるよね(笑)。

-毎月アルバム出せるくらいとか(笑)。

Yosh:できますよ(笑)。

Ivan:走り続けるだけじゃなくて、1回立ち止まって呼吸することも大事ですからね。そういうタイミングでもあったと思うし。もちろん、新体制で準備を整えていくっていうのもあったし。

Yosh:まぁ、今回はシングルですからね。アルバムに照準を当てていくのがサバプロのやり方なので、今はちょっとずつ見えるんですが、それに紐づいている大きな動きもあるので。さっきのライヴの話じゃないけど、僕らの音楽ってオーディエンスがいないと成り立たないんですよ。だから今はまずはみんなの健康とか、ガイダンスをしっかり守ってきちんと積み重ねることが大事ですね。だから、そんななかでリリースできることは、すごく良かったと思うし、感謝してるんです。こうやって1歩ずつ確認していって、それから"じゃあ、行きます!"ってことになると思うので。なので、その確認の段階が終わればアルバムが出ます(笑)。

-では今作はその第1歩目というか、新体制の挨拶代わりの作品ということですね。

Show:そうですね。

-1曲目の「Papersky」ですが、TVアニメ"東京24区"のオープニング・テーマとして書き下ろされた楽曲ということですが、実際にこの作品を観て作ったのでしょうか?

Yosh:原作マンガのないオリジナルの新作アニメなので、事前に完成した動画を観ることはできなかったですね。まだ何もなくて、作品のテーマやアウトラインを聞いたくらいで、そのサウンドの部分を任されたって感じですね。今までいろいろなタイアップがあったおかげで、そこの信頼があったんじゃないかと思います。

-なるほど。ちなみにタイトルの"Papersky"はどういう意味でしょうか?

Yosh:実は、僕の先輩のバンド名です。僕が日本に帰ってくるきっかけになったバンドなです。カリフォルニアで育った帰国子女とハーフのメンバーがいて、僕のインターナショナル・スクール時代の先輩なんですけど、"日本人が英語でやってもこのシーンなら成立するから、お前も日本でやれよ"って言ってくれて。彼らは意外と早いタイミングで解散しちゃったんですけど(笑)。生まれたときから必ず人間に約束されてることって"死"だけなんですよね。それをポジティヴに変えられることって、やっぱり日ごろの行いじゃないですか。この曲はそういう感覚で、天国に行くときには、あとに続く世代に繋ぐというか、そういうことを歌詞で書いているんです。だから、タイトルにしたバンドのことをそのまま詞にしているわけではないんですけど、自分たちにとっては希望を与えて繋いでくれた先輩なので、"タイトルどうする?"ってなったときに一発で思い浮かんだんですよね。ちなみに、彼らのバンド名自体は造語なんですけど(笑)。

-造語ですよね。検索しても出てこなかったので。

Yosh:もう彼らの情報ってほとんど残ってないと思うんですけど、maxillaのYouTubeチャンネルにはMVが残ってますね。初期のmaxillaがMVを作ってて、アルバムが完成したらFear, and Loathing in Las Vegasとのライヴが決まってたとか、そういう立ち位置の面白いバンドだったんですよ。

-今さらながら気になりますね。

Yosh:当時のMyspaceで聴くインディーズ・バンドとしてはすごく良かったんですけど、今の感じで聴いたら、"ちょっと違うかも......"とか思われちゃいそうですね......。でも、"なんで好きだったんだっけ?"とならずに、ずっと好きなバンドってあると思うんですよ。時代は変化しても同じ空を見てるって意味でも"Papersky"って言葉がリンクするし、今回のタイトルにはピッタリだったということですね。

-なるほど。楽曲の面に関して言うと、すごくエモーショナル且つ明るいメロディで、寄り添ってくれる優しい感じのサバプロ節というか。そんな雰囲気の出ている曲だと感じました。

Yosh:ストレートに言っちゃうと、次のアルバムに繋がる1曲なんです。"早く曲を出したいな"って思いは強かったんですが、今回タイアップなので、求められているものはあるわけで。そんななかで、日本のアニメだから"日本語=日本の歌"という固定概念じゃなく、日本語でもワールドワイドな表現が実現できたと思います。サビで外国人でもわかるようなわかりやすい簡単な日本語を出すとかじゃなく、どの国でも、日本語を歌いたくなるようなワーディングとフレージングになってると思うんです。それでいて、その意味を理解しようとすれば、中には日本の文化が入っていて。日本人の心というか、そういうカルチャーを共有できるものにしたいってヴィジョンがあったんです。

-なるほど。

Yosh:作曲的なことで言うと、エレクトロニカとかちょっとエモいところとかイージーコアのブレイクダウン前とか、そういう音楽的な表現はもちろんありますけど、そこを"だれだれっぽく"ではなく、お年寄りから子供まで聴きたくなるようなサウンドに仕上げたかったんです。

-たしかに、すごく間口が広い楽曲ですよね。

Yosh:でも、もちろん僕らの"激ロック感"というか、エッジは捨ててるつもりはないですけどね(笑)。"イージーコア良かったよねー"、"あのバンド、カッコ良かったよねー"って懐かしむだけじゃなく、そういう人たちに"前を向いてもこういう楽曲があるよ"って提示するのが、僕らの役目です。それが"サバプロイズム"って呼ばれるのであればいいかなと。そういう意味でも、このアニメのタイアップで、さらにレベルアップしたグローバルなバンドになれたんじゃないかとは思いますね。

-サバプロの楽曲はアニメとの相性もいいですね。

Tatsuya:そう言ってもらえると嬉しいですね!

Yosh:アニメの知識のあるメンバーもいますが、僕なんかは特に、アニメに詳しいわけでもないので、そういうコンテンツに特化したアニメ・バンドみたいな感じにはなれないんです。それでも多くの方たちに相性がいいって感じていただけるというのはありがたいですね。詳しいメンバーもいるので、メンバーの中で話し合って、どうやってフィットさせていくか、すり合わせて作っていってます。

Ivan:バンドを始めたてのころ、"君たちのジャンルは何?"ってよく聞かれたんですけど、僕らは多くのジャンルから影響を受けているし、それぞれ好きなものも違うこの4人でやったら、"ロック"という幅広い括りになるんじゃないかなって言っていたんですよ。そういうことも今回の話に繋がるのかなと。この4人でジャムるというか、音を合わせていくことに、さらに映像作品、アニメなどの要素も合わさって、音楽を作っていくということですね。そういういろんなジャンル、カルチャーと一緒にやっていく柔軟性のあるやり方は、これからも続けていきたいです。

-メンバーの中でもアニメに強いおふたりの意見はどうですか?

Show:僕らの曲って、良くも悪くも、典型的なアニソンではないんですよね。アニソンっていう定義も難しいんですけど。アニメの主題歌だったらアニソンなのか、その作品の内容を歌ったものがアニソンなのかっていう疑問はありつつ......そのどちらの解釈にも響くような楽曲になっていると思います。

-そのへんは強みですよね。

Show:普通にライヴでやっても、"これアニソンだから"って思われないような内容っていうことですね。タイアップがなくても、ひとつの楽曲として成立しているというのは自信を持って言えるし、一方で仮にアニメのイベントに出させてもらったとしても、しっかり映えるような曲だと思うんです。

Tatsuya:曲自体はもう完全にサバプロ節なんですけど、それに対してアニメーションをつけてもらったときに歌詞とリンクしている映像があって、それによって"あの曲って、あのアニメの曲だよね"とイメージが繋がりますよね。逆に、曲だけで聴いた人はアニソンだとは感じないと思うんですけど。そういう、どちらとも取れるバランスにできていると思います。

-タイアップに歩み寄ってはいるけれど、その根幹の部分はきちんとサバプロ節なんですよね。アニメのタイアップ曲のほうが、日本語詞が多くなっていて、そういう意味では楽曲の親しみやすさというか、サバプロの間口をアニメが広げてくれている側面もあるのかなと。アニメのイメージに食われてしまうのではなくて、サバプロの楽曲としてさらに多くのリスナーに浸透していってるというか。

Show:そうですね。アニメのタイアップがひとつのきっかけになって、日本語詞を取り入れるようになっていったので。

Yosh:アニメーションというだけじゃなく、時代的な問題もありましたね。見られ方と、考え方と、日本が世界に向けてどんな立ち位置であるのかとか、そういう変化が全部合わさったなかで、ラッキーな道程を歩ませてもらった感じです。今振り返ると、"あそこで行く道を間違えてたら、ここには来られなかったのか......"って思うこともあります。

Show:今、アニメは、オーバーグラウンドなカルチャーになってるじゃないですか。それによって引っ張ってもらえている部分もありますし。逆に自分たちが引っ張っていかなきゃっていう気持ちもあるし。タイアップを貰えるようになる前は、もっとニッチな世界にいたわけですが、そのころに出会ってしまったら、もしかしたら交わらなかったかもしれないですよね。それで、悩んで出した決断が、"もっとオーバーグラウンドな作品に合わせたものを"っていうことだったので、その意味ではいい決断だったかなと。

-お互いにとっていいタイミングでマッチングできたというか。

Tatsuya:ある意味、毎回アニメのタイアップには、バンドとしての分岐点を貰ってるかもしれないですね。

-たしかに。今回も、新体制1発目、そして2年ぶりのCDリリースということですしね。サバプロのファンにとっては待望のリリースですし、アニメのファンにとってはサバプロとの出会いにもなるかもしれません。ベスト・タイミングですね。

Yosh:感謝してます!