COLUMN
NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第28回
激ロック読者の皆の多くはニュー・メタルと呼ばれるサウンドやバンドを好むのではないだろうか。
90年代半ばより商業的にも活性化していくニュー・メタルシーンには生みの親と呼ばれるプロデューサーがいる。
Korn「Korn」、Slipknot「Slipknot」、Deftones「Adrenaline」、Limp Bizkit「Three Dollar Bill, Y'all $」、etc......。
激ロッカーが必ずと言って良い程聴いてきた名盤の音はロス・ロビンソンという男がプロデュースしているのだ。
今回はそんな彼のプロデュースバンドの中でも日本では知名度が低めだが最高にイカしたバンドをご紹介。
We Have Come For Your Parents / Amen
稀代のカリスマ、ケイシー・ケイオス率いるカリフォルニア州出身のハードコア・バンド。
ケイシーが行う流血当たり前の壮絶なステージや、彼の吐き出すポリティカルな思想やスタンスは多くの人からの支持を獲得し、ロス・ロビンソンのレーベル「I Am Recordings」第2弾アーティストとして99年「Amen」でデビュー。(ちなみに第1弾はSlipknot)
サウンドの凶暴性、商業音楽には決して染まらないという反骨精神、何よりフロントマンのケイシーのカリスマ性が相まって、人気はアメリカ本国だけに留まらず、パンクの本場ヨーロッパでも「ロックの救世主」と称賛された。
そんな彼らが引き続きロス・ロビンソンとのタッグで制作したアルバムがこの「We Have Come For Your Parents」だ。
1stの勢いと攻撃性をそのままに、メロディや曲の展開、音質等を格段に進化させた快作である。
1曲目の「CK killer」では「カルバンクラインは殺人者」とはっきりと非難し、2曲目「Refuse Amen」では「祈ることはクソだ」と言い切るケイシー。
前作でもアメリカに対する批判を存分に叫んでいたが、彼の「怒り」のパワーは他に類を見ない。
しかしこの作品のリリース後、レーベルとの金銭トラブルや相次ぐメンバーの脱退などで活動が停滞してしまうAmenだが、国内外の熱烈な彼のファンからの募金等でケイシーは活動を継続。
遂には「自分自身がファンであるバンドとしかサインしない」と公言していたSYSTEM OF A DOWNのギタリストであるダロン・マラキアンが立ち上げた新レーベルの第1弾として3rd「Death Before Musick」をリリースする事に。
カリスマケイシー、此処に究めり。
何故ここまで愛されるのか。
理由は彼等の音を、ケイシーの叫びを聴けば分かる筈だ。
世の中の大衆音楽に辟易している腹ペコ激ロッカーこそ、是非Amenを聴いてほしいと切に願う。
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