COLUMN
NoGoD 団長のあなたの知らない激ロックな名盤紹介 第12回
リアルタイムで体感していた自分からしても、80年代から90年代後半までの日本の音楽シーンの成長速度は本当に目まぐるしかった。
それはテレビに映るポップスター然り、ライブハウスで活動するインディーシーン然りだ。
パンクロック、ハードコア、メタルシーン等、現在の激ロックシーンの礎を築いたとも言えるバンド達もこの時代に沢山生まれた。
今回はその数あるバンドの中でも、私が特に「キング・オブ・激ロック」だと思っているバンドを紹介したい。
ポエム / GARLICBOYS
1985年に大阪で結成されたGARLICBOYS。
世の中がC-C-Bの「Romanticが止まらない」を聴いていた頃、彼等は既に激ロックしていたかと思うと、私のRomanticも止まらない......。
音楽性はと言うと、初期はハードコアやスラッシュメタル色が強く、中期以降はメロコアやエモ色も入り混じる、まさに「激ロック」なサウンドスタイルだ。
だが、特筆すべきはリードヴォーカルのPeta氏が紡ぎ、吐き出すメッセージ、つまりは歌詞である。
当時のハードコアやメタルシーンは英詩が多く、日本語でも攻撃的であったり政治的思想が強かったり、センシティヴなメッセージが多かったように思える。
その中でGARLICBOYSはキャッチーでポップな、下ネタや時事ネタ満載の「面白い歌詞」を前面に押し出していた。
相撲の技名が散りばめられた「YOKOZUNA」、生電話での人生相談で人気を博した番組をオマージュした「怒りのもんた・泣きの小金治」、モテなくて性欲を持て余した男の悲しみ(下ネタ)を歌った「荒野のさびしん棒」等、センス抜群の楽曲揃いである。
なんだ、コミックバンドか......と思った貴方、それは早合点である。
たとえば、激ロッカー誰もが愛するマキシマム ザ ホルモン。
彼等はKxCxHxC (柏シティ・ハードコア)を代表する伝説のバンド「ヌンチャク」をリスペクトしている。
そのヌンチャクの向氏が「GARLICBOYSみたいなバンドをやりたかった」とバンド結成時の事を語っている。
ホルモンもヌンチャクもサウンドはもちろん、その歌詞の特異性も魅力の一つである事は間違いない。
そのスタイルの源流がGARLICBOYSだとしたら......。
私が冒頭で書いた「キング・オブ・激ロック」と言う言葉にも頷けるのではないだろうか。
このコラムでもし彼等に興味を持ってくれたのなら、是非今回紹介するアルバム「ポエム」から聴いて頂きたい。
最近ももいろクローバーZがカヴァーして話題になった彼等の代表曲の一つ「あんた飛ばしすぎ」も収録されているし、当時のスタッフさんの事を歌った身内ネタ「松永さん」、超ハードコアチューン「カリスマ31」、モッシュ必至のキラーチューン「兄貴御立腹」等、兎にも角にも名曲揃い。GARLICBOYSの代表作とも言える作品だと私は思っている。
現在も彼等は精力的にライブ活動をしている。
この雑誌を手に取って読んでる人が、彼等のライブを観た事が無いというのは本当に勿体ない。
何故なら彼等は「キング・オブ・激ロック」なのだから。
何度でも言おう。彼らが「キング・オブ・激ロック」だ(あくまで個人の見解です(笑))。
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