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LIVE REPORT

Leetspeak monsters / Chased by Ghost of HYDEPARK

2021.07.17 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 菅谷 透 Photo by 濱谷 幸江

ライヴハウス 下北沢LIVEHOLICの6周年を記念し行われている"LIVEHOLIC 6th Anniversary series"。7月17日には"Dstryr"と題し、Chased by Ghost of HYDEPARKとLeetspeak monstersのツーマン・ライヴが開催された。
それぞれラウド系とヴィジュアル系シーンを主戦場にしていることもあり、一見すると異色の組み合わせに思える両者だが、以前から先輩後輩として交友関係があったそう。さらに、この1週間前にはチェイスド(Chased by Ghost of HYDEPARK)のツアーとして福岡でツーマンが行われており、今回は言わばその"東京場所"となった格好だ。

開演のブザーが鳴り、映画のイントロを思わせるSEが流れる中、先攻のチェイスドが登場。"調子はどうですか!"とKZK(Vo)が煽ると「Last word」を皮切りに、シャープなリフの「FAITH」、キャッチーなメロディが響く「STAY」で攻め立てる。歌メロをしっかりと支えるTaisuke(Gt)のコーラスや、異彩を放つHiRo(Ba)の挑発的なステージングなど、聴覚でも視覚でもこちらに訴え掛けてくるのは、ツアー真っ只中で勢いに乗るバンドならではだ。高い熱量を初っ端からフロアにぶつけると、観客も声こそ出せないが、シンガロングの代わりに手をかざしてそれに応える。「million」ではYusuke(Dr)がキレのあるビートを聴かせ、フロアも思い思いに身体を揺らしていった。
MCに入ると、"長すぎるバンド名の話"や"下北沢を散歩中に立ち寄ったたこ焼き屋の話"など、軽妙なトークで会場の笑いを誘い、和やかなムードが包みこむ。そこから"ごめんなさい、今からバラードやります"という気恥ずかしそうなKZKの一言で披露されたのは「Wake me」。静謐なイントロとささやくような歌い出しで空気を一変させ、感情をラウドに爆発させていく展開は、そのギャップも相まって実に印象的だった。
残り数曲というところで、MCは昨今のツアー・バンドを取り巻く環境が話題に。コロナ禍で一変したものの、少しずつ日常に戻りつつあるバンド・ライフに、KZKは"100パーセントではないけど満足しています。みんなが来てくれてて楽しいです"と語る。そして"僕らバンドマンは、ひたすらライヴし続けると思います"と、笑いを交えた語り口ながら、ライヴ・バンドとしての決意と矜持を示す。間髪入れずに放たれた、出会いと別れをエモーショナルに描く「Scapegoat」が胸に沁みた。ラストはタイトル通りにアグレッシヴな「ASSAULT」を投下。Isseiがステージ真ん中でギター・ソロをバシッと決め、Taisukeもコーラス用マイクをスタンドごとフロアに掲げ、大盛り上がりでバトンを繋いだ。

続いては墓場の街"グレイヴタウン"からやって来た4人のモンスターによるバンド、Leetspeak monstersだ。ダーク・ファンタジーのようなSEから、「Monster's Party」で幕が開ける。D13(Vo/Rap)は軽快なフロウを披露しつつ、"東京みんなで手あげて!"、"踊りましょうか!"と言葉巧みにフロアをノセていき、早くも会場の心をグッと掴む。Euskyss(Ba)、DieWolf(Dr)のタイトなグルーヴから展開する「Black owl」では、Yo'shmeer(Gt/Cho)もシャウトでアジテート。「We are zombies」でも身体を揺らし、一体感を作り上げていく。
MCに入ると、モンスターだけど激ロックが大好きだと語り、Yo'shmeerは"激ロックだから激しくいこうと思います!"と決意を表明。ダンサブルな「Escort」、妖しげなギター・ロックの「Jack」、スケール感の大きいラップ・ロックの「Mask」と畳み掛けていく。「Samhain」ではシアトリカルな情景を描き、つられて観客も自然に手を掲げていったのが印象的だった。メンバーはそれぞれ派手な"装備"を身に纏いながら、決して広いとは言えないステージでも自在に動き回っていて、その場にいる全員を楽しませたいというエンタメ精神を見せてくれる。本人たちもそれは自覚していたようで、MCではチェイスドに"(装備が)レベルアップしました?"と言われた話など、ウィットに富んだトークで場を盛り上げた。今思えば、この日はMC対決という側面も大いにあったかもしれない。
"7周年ではみんなでお酒を飲もう!"(Yo'shmeer)と未来への期待を述べたあとは、ダンス・ビートとミラーボールがきらびやかな「Party in the midnight」へ。"やるではないかお前たち!"と観客のリアクションを褒めつつ、さらなる高みへと伸ばそうとするD13の煽りもあって、フロアのうねりはどんどん大きくなっていく。「Night at the museum」で勢いを加速させると、ラストはアップテンポなラウド・ナンバー「Gothic」を投下。ヘドバンの波を巻き起こすと、オーディエンスの熱気はこの日最高潮となる。"今宵も良い悪夢を!"(D13)と満足げにステージをあとにした。一見異なるようでいて、根底では重なり合う部分も感じられた両者の対バンは、まるで濃厚な二本立て映画を観たような心地良く清々しい余韻を残していった。

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