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INTERVIEW

Leetspeak monsters

2020.10.28UPDATE

2020年11月号掲載

Leetspeak monsters

Member:D13(Vo/Rap) Yo'shmeer(Gt/Cho) Euskyss(Ba) DieWolf(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

ハロウィンを前にして、墓場の街 グレイヴタウンに棲むモンスターたちで構成されたLeetspeak monstersが、5thマキシ・シングル『Samhain』を発表することになった。昨年はヒプノシスマイク、今年はすとぷりへの楽曲提供でも話題を振りまいてきている彼らではあるが、なんといっても本分はバンド活動そのものにほかならない。ハロウィンの起源になったケルト文化をモチーフに生み出されたという「Samhain」の音像は、ダーク・ファンタジーの要素を含んだロック・サウンドとモダンなラップが交錯する秀逸な仕上がりだ。11月より来年1月まで続く"Leetspeak monsters ONEMANTOUR 『Welcome to Monster's Theater 2020』"振替公演にも、乞うご期待!


できるだけ新しい要素やこれまでにやっていなかったことを取り入れたい


-今春には4thマキシ・シングル『Beltane』(2020年4月リリース)についての取材をさせていただいておりましたが(※2020年3月号掲載)、本来であればその後Leetspeak monstersは7月5日のマイナビBLITZ赤坂公演"Leetspeak monsters ONEMANTOUR 『Welcome to Monster's Theater 2020』 TOUR FINAL"まで続くはずだったツアーに臨まれる予定でした。ただ、ライヴ活動が思うようにできなくなった一方で4月からは定期的に配信ライヴや配信番組を通しての表現活動をコンスタントに続けてきていらっしゃったそうですね。

Euskyss:『Beltane』をリリースしたあとにツアーがいったん延期になってしまったということで、やっぱりファンの方たちに対して何かしらのアプローチはしたかったんですよ。それで、うちの事務所の社長に"無料配信というかたちでやらせてほしい"ということを頼みまして、今年は4月から毎月配信をやってきてます。おかげさまで、観てくださってる方たちからも"嬉しい"という反応をたくさんいただけているんですよ。

-毎月無料配信というのは太っ腹ですねぇ。ちなみに、毎月の配信活動をしてきたことで何か身についたことはありますか?

Yo'shmeer:配信のライヴに関してはアコースティック・アレンジでやってるんですけど、Leetspeak monstersの曲たちはそういうかたちになっても映えるんだということが改めてわかったので、それはとても大きな収穫でした。自分たちにとっての強みがまたひとつ増えたな、と思います。

Euskyss:たしかにそれはあるよね。DieWolfもアコースティックではカホンでリズムをとったりしてるし、同期の音を流さずにライヴをやることに挑戦できたんです。

DieWolf:いわゆるアンプラグド、っていうやつですね。

D13:今まではそういう選択肢ってあんまり考えたことがなかったんですけど、実際にやってみて"アコースティックな音が似合うような場所でゆったりしたライヴをやっても面白いかもね"っていう話もみんなでするようになりました。

Yo'shmeer:ジャズ・バーとかでやってみたい(笑)。

Euskyss:まぁ、今はお客さんたちもライヴ会場で基本的に声は出せないっていう状況もありますからね。だったら、もうはなから着席スタイルでアコースティック・ライヴのかたちをとるのも逆にアリなんじゃない? という考え方もできるようになりましたから、結果的にバンドとしての可能性は広がった気がします。それはとても良かったことでした。

-そうしたトライアルも経験されてきたうえで、このたびLeetspeak monstersはハロウィンを目前に控えた10月28日に5thマキシ・シングル『Samhain』を発表することとなりました。人間界と彼の世の狭間にある墓場の街 グレイヴタウン出身のモンスターであるみなさんからしてみると、やはりこのタイミングは逃したくなかったことになりますか。

D13:もちろん! 我々にとってハロウィンはとても大切なものだからなぁ。

Euskyss:毎年そうですけど、Leetspeak monstersの場合、ハロウィンに何もしないというのは"ない"です(笑)。

-なんでも、今回の表題曲となる「Samhain」はハロウィンの起源となったケルト文化圏における冬のお祭りをモチーフとしている楽曲になるそうですね。そして、これは春のシングルの表題曲「Beltane」との関連性もある作品になっているのだとか。

Euskyss:「Beltane」がケルトの春のお祭りの歌だったのに対して、「Samhain」はケルトの冬のお祭りをモチーフにしている歌なんですね。死者の魂が還ってくるというそのお祭りは、ハロウィンの起源にもなっているものなんですよ。それもあって、音的にもこの曲ではLeetspeak monstersの持っている黒い部分を打ち出していくようにしました。

D13:もともと、曲調的な部分で今度のシングルの曲は重くて激しめな今までにないような曲が欲しいかな、というくらいのことはみんなで話をしていたんだが、そこだけをもとにしてEuskyssはこの曲を詞やアレンジまですべて仕上げてきてくれたぞ~!

-近年、日本におけるハロウィンはパリピのための仮装パーティーになってしまったところがありますけれど、Leetspeak monstersの描くハロウィンはその起源にまで迫る由緒正しきものであるのですね。さすがはモンスター揃いのバンドだけあります。

Yo'shmeer:普段はそれこそパーティー的な楽しい雰囲気のある曲もいっぱいやったりしてますけど、この曲に限ってはあえて楽しいというよりもダークでカッコいい感じにしたかったんです。

Euskyss:ケルト文化の雰囲気って、アメリカ的なノリとはちょっと違いますからね。ヨーロッパ寄りのダーク・ゴシックな要素が入ることで、この曲では独特の世界を生みだすことができました。

Yo'shmeer:春の歌だった「Beltane」が陽だったとしたら、冬の歌の「Samhain」は陰ですね。まさに対局に位置するものになってます。

-そんな「Samhain」を仕上げていくのにあたり、作曲者であるEuskyssさんから各パートのメンバーに対して何かしらのオーダーを出された点はありましたか。

Euskyss:まず、ギターに関しては重たくてエモい感じでって言いました。

Yo'shmeer:注文はそのくらいで、あとは好きなように弾かしてもらってます(笑)。いつも好きなようにはやってるんですけど、この曲はギターのまだ入っていない状態で聴いたときにライヴの様子が想像できたので、そのイメージを実際に音に置き換えていくような感覚でレコーディングしていきましたね。それも頭で考えるというよりは、なんか"降ってくる"ような感じで、自然と音が自分の中から湧いてきました。気がついたら、指が先に動いてる! みたいな感じだったんですよ。

D13:気がついたら指が先に動いてた、ってすごいではないか(笑)! かっこいい!

Yo'shmeer:いや、ほんとにそうだったんですって。曲が呼んでくれたフレーズを、僕はそのまま弾いただけですから。理論とかはよくわかんないんで、わりといつもそういう感じなんですけどね。自分でもちょっと不思議なんですよ。

-では、ドラム・パートに関してはいかがでしたか。

DieWolf:僕はデモの段階で完成していたものをそのまま叩いたんですけど、正直なことを言うとそのデモを聴いたときは"面倒くさそうな曲だな"って思ってました(苦笑)。拍子の面で難しかったとかではないんですけど、曲構成とか展開が複雑で。それを覚えるのは結構大変だったとはいえ、この曲はだんだん後半に進んでいくにつれて深みが増していく感じが特徴だったので、音に深さとか広がりが出るようにしながら叩いていくことを意識しましたね。

-聴いている側としても、この曲は進行していくに従ってどんどん深く引き込まれていくような感覚が得られるように思います。

DieWolf:少し複雑な作りになっているぶん、聴き進めていくとだんだんそのロジックがわかってくるっていう面白さもあるんでしょうね。何回も聴いていくとさらに明確になっていくだろうし、これはスルメ的な味わいの曲なのかな。

Yo'shmeer:特に、後半のドラムなんてリズムが完全に変態だもんね。基本的には好き放題にやっているのもあって、あれに合わせてギターを弾こうとするとすごく疲れます(笑)。

-作曲者であると同時に、ベーシストでもあられるEuskyssさんからするとプレイヤー的な観点で「Samhain」の中で大切にされたのはどんなことでしたか。

Euskyss:極力シンプルにしていくことを心掛けました。ワンワン(※DieWolfの愛称)やYo'shmeerが言っていた通りドラムが面白い動きをしていきますし、同期でストリングスなんかもいろいろ入ってくるので、ベースについては純粋に曲を底辺で支えるということに徹してます。

DieWolf:でも、ワンコーラス目とツーコーラス目の間で一瞬ハイポジになって弾いているフレーズはすごく"歌って"いるよね。あれ、いいスパイスになってて好きなんですよ。

Euskyss:ちょこっとくらいは、そういうアピールも入れとかないとね。"ここにいるよ!"って(笑)。

-それから、この表題曲「Samhain」のラップ部分を構築していくのにあたり、こだわられたのはどんなことだったのでしょう。

D13:今までのLeetspeak monstersとはフロウが違うというか、「Samhain」のラップはこれまでとノリが結構違っているなぁ。Euskyssから、あらかじめ今回は最近のヒップホップ・シーンの流れを念頭においたうえで作っていきたいという話があったので、いわゆるトラップ感なんかも取り入れていくことになったんだが、私の引き出しの中にはないものだったから、そこをかたちにしていくまでには少し時間がかかったなぁ。もっと具体的に言うと、私としては聴いている側を巻き込んでいくようなラップを目指したんだが、とにかく今回は自分にとっていい修業になったぞ!

Euskyss:シングルっていう場では、できるだけ新しい要素やこれまでにやっていなかったことを取り入れたいんですよ。要は、毎回おんなじようなことを続けていると受け手側も飽きちゃうと思いますし。

Yo'shmeer:ただ、「Samhain」の中には確かに新しいアプローチが要素としていろいろ入っているんですけど、実はトータルでみるとLeetspeak monstersの核に近いものを感じさせる曲になっていると思うし、原点に近いところも含んでいる気がしてるんです。

-ケーキで言えば土台となるスポンジの状態はこれまでとそこまで変わらないものの、今回は上に塗られているクリームの配合や、絞りのカタチなどがこれまでにないものになっているような感じに近いと言えるのかもしれません。

DieWolf:あぁ、まさにそんな感じです。核にあるものは基本的におんなじなんだけど、聴かせ方とか見せ方が今回はわりと違ってますよっていうことなんですよね。