INTERVIEW
Leetspeak monsters
2024.10.02UPDATE
2024年10月号掲載
Member:D13(Vo/Rap) Yo'shmeer(Gt/Cho) Euskyss(Ba) DieWolf(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
極上のおもてなし空間『Room 666』へようこそ。ここまで7年にわたり夢と現実を混ぜた魔法を体現し続けてきている、自称"オバケミクスチャー"なサウンドとホラーチックな存在感が特徴的なLeetspeak monstersは、骸骨、フランケンシュタイン、吸血鬼、狼男の4人からなる、墓場の街 グレイヴタウン出身のロック・バンドだ。このハロウィンの時期にこそ相応しい、8thマキシ・シングル『Room 666』をぜひともご堪能あれ。
-Leetspeak monstersにはもともとメンバーが墓場の街 グレイヴタウン出身の骸骨、フランケンシュタイン、吸血鬼、狼男であるという設定がありますけれども。このたびの8th マキシ・シングルとなる『Room 666』は、リリースがハロウィン時期と重なることもあり、音や歌詞世界についてはもちろんのこと、MVの内容も含めて、ファンタジック・ホラーな空気感がより色濃い作品へと仕上がったようですね。
Euskyss:僕らも気付けば8年目になってきて、作品ごとに毎回どうバリエーションを付けていくのか? が1つの課題になってきているところはあるんですけど(笑)、今回の場合はハロウィンに出す作品という前提もありつつ、ここから来年に向けて始まっていく"Welcome to Monster's Theater~2024-2025~"の中で、お客さんたちと一緒に楽しめる曲たちを作っていこうってテーマを意識しながら、制作をしていくことになりましたね。特に、タイトル曲の「Room 666」はサビをキャッチーなものにしたり、ライヴでやったときにみんなと一緒に声を出せるような部分を作ったり、というところに重きを置いてます。
-そんな「Room 666」については、まず曲想をどのように練っていくことになられたのでしょうか。
Euskyss:イントロのリズムですね。最初にそこが頭の中に浮かんできて、曲の舞台もこれはホテルだなと思ったんですよ。そこから物語が拡がっていったときに、感覚的にはちょっとアメリカっぽい雰囲気も音の中に入れたいなと思ってました。
D13:アメリカっぽい雰囲気っていうだけだとすごくザックリしてるけど(笑)。でも、来年2月にアメリカ行くの決まったから("Katsucon 2025")もしかしてそういうのも影響してた!?
Euskyss:あぁ、それも意外とあったかな。海外のステージで演奏したときに、向こうのみんなにすんなりと受け容れてもらえるようなビート感にしたい、って考えてたところはたしかにちょっとあったと思います。
-ドラマー、DieWolfさんとしては、その"ビート感"の部分についてどのようなスタンスを意識されていたのでしょう。
DieWolf:抽象的な言い方にはなっちゃうんですけど、堂々として背筋がピンとしているような感じの音というか。自分はそんなイメージで叩いていきました。
-Euskyssさんが最初に思い浮かんだというイントロについては、フロアタムをフィーチャリングしたフレーズが効果的に使われているなと、聴いていて感じました。
DieWolf:音の重心を低くしてるところはありますね。一般的にはビートって、ハイハットとかライドとかの金物も含めたものとして捉えられてるとは思うんですよ。だから、フロアのフレーズから始まるってなるとビート感自体はちょっと前に出にくいんですよ。そこをしっかり前に出していくためにどうするかは考えていく必要があるところでした。具体的には普段よりもアタックを強めにしてます。
-ギタリストであるYo'shmeerさんの場合、この「Room 666」に対してはどのようにアプローチをされていくことになりましたか。
Yo'shmeer:こういう曲の場合、だいたいギターは、レスポールとかのハムバッカーがピックアップとして載ったものを使うことが多いと思うんですよ。でも、今回は「Room 666」も含めて4曲ともあえて僕はシングルコイルで録りました。
-その心は?
Yo'shmeer:これはさっきのアメリカ感の話と多少繋がるところかもしれなくて、すごくカラっとした音が欲しかったんです。HANOI ROCKSみたいな昔の洋楽っぽい感じの音にしたかったんですよ。
-HANOI ROCKS自体はフィンランド出身ですけれど、音楽的にはNEW YORK DOLLSの影響を強く受けているバンドでもありましたので、Yo'shmeerさんの言わんとしていらっしゃることはわかります。80年代の洋楽を彷彿とさせるようなギターの音にしたかった、という意図が「Room 666」では存分に活かされておりますね。
Yo'shmeer:そうそう、80年代の音っていうのはめちゃくちゃ意識してました。Michael Jacksonの「Beat It」のギターの音とか。
-たしか「Beat It」はバッキングやリフがSteve Lukatherで、ソロがEddie Van Halenという、当時のギター・ヒーローを起用した極上ポップ・チューンでしたものね。
D13:じゃあ、やっぱりこの曲はアメリカなんだ(笑)。
Yo'shmeer:カラっとした音を使いながら、フレージング的には遊び心も結構詰め込んでます。例えばAメロの"キュンッ"っていう音がそうなんですけど、ちょっとコミカルな要素もいろいろ入れてみたんです。
-ちなみに、今回のレコーディングではあえてシングルコイルのギターを使われたということですから、セッティング自体も普段とは違ったということですか。
Yo'shmeer:そうなります。今後、今回の4曲をライヴでやるときにも、シングルコイルのギターを使ってやっていこうかなと思ってまして。ただ、セッティングの面では僕はもともとあんまりエフェクターとか使わないんで、使うとしても飛び道具系なのをちょっと使うぐらいなんですよね。基本的にはアンプ直でやりたいんですよ。
-素晴らしい。大変ロックな姿勢を感じます。
Yo'shmeer:対バンするバンドさんたちからも、それよく言われます(笑)。"ロックだね!"って。
-エフェクター類に頼らず音を出していく=全て弾き方のニュアンスを変えることで音を変えているということですものね。
Yo'shmeer:チョーキングとか、自分なりに弾き方は工夫してますね。技術的にはそんなに上手いほうではないんですけど、今のこういうアンプ直なスタイルは自分にとって1つのこだわりになってます。Leetspeak monstersの音ってシーケンスとかがいっぱい入ってる分、ギターはそのまんまの音でやりたいんですよね。
-なるほど。一方、ベーシストとしてのEuskyssさんは「Room 666」でどのようなことを重視されていたのでしょうか。
Euskyss:僕はボトムを支えながら前に出ない感じでいるポジションが好きなので、リズムとコードを明確にしつつドラムとギターの橋渡しをしてあげる、っていうことをやってるだけですね。特に「Room 666」みたいなタイプの曲は、あんまりベースラインを動かしちゃうと洋楽っぽさが消えちゃうと思いますし。それもあって、意識的にシンプルにしてるところもあるんです。
-ここまでにアメリカ感、80年代の洋楽といったキーワードが出てきたなか、ヴォーカリストであるD13さんは、「Room 666」といかに対峙されていくことになりましたか。
D13:最初は僕、曲冒頭の部分を1オクターブ上で歌ってたんですよ。ただ、Euskyssが入れた仮歌は1オクターブ下で歌ってたんですね。で、実際のレコーディングのときにも、Euskyssとエンジニアから"これは下で歌ったほうがいいんじゃないか"と言われまして、急遽1オクターブ下げて歌うことにしました。恐らく、その部分に関して言えばLeetspeak monsters史上最も低いところで歌ってます。
Yo'shmeer:結構そこが聴いてて新鮮なんですよね。
D13:歌う側からすると、上限近くの高いところと下限近くの低いところは、それぞれ表現力を伴わせるのが難しい感じになってしまうから、ちょっと大変でした(苦笑)。でも、逆にそこ以外はするっといけましたね。
-Euskyssさんからすると、冒頭部分を"低めの声で"とD13さんにオーダーされたのは、曲の中の物語性をより増幅させたかったという意図があったのでしょうか?
Euskyss:そうなんですよ。曲の導入部で聴く側を引き込むために、ホスト役のゴーストが"Room 666"へ誘う場面を描きたかったので、声のトーンも低くて怪しい雰囲気のほうが合うかなと思ったんですよ。実際に歌い比べてみてもらった結果から言っても、この低いトーンで歌ってくれてるもののほうが聴いて断然しっくり来ました。
-それだけ「Room 666」はストーリーとしての完成度が高い楽曲になっているわけですが、歌詞の中には、"それならちょうど良い部屋がございます"といったセリフが織り込まれています。Euskyssさんとしては、どこか脚本のような書き方をされていったとこがあったのかもしれませんね。
Euskyss:まさに物語や映画のような世界を描いていきたかったので、受け取る側が、最初から最後までお話を読んでいるような感覚で入り込んでいけるような書き方は心掛けました。お客様がホテルへ迷い込んできて、部屋に案内されて、だんだんとここはちょっとおかしいな? と感じていき、やっぱりお化けたちが出るみたいなかたちにはなるんですけど、最終的にはみんなで仲良く遊びましたっていうような話になってるんです。
-となると、D13さんとしては歌うという以上にストーリーテラーとしての役割や、演技的な要素も盛り込んでいく必要があったのではないですか。
D13:Euskyssが「Room 666」の中で何をやりたいかというのは、曲と詞を貰った段階ですぐ分かったんですけど、僕としては"あぁ、まーたやること多いの持ってきたな"とは感じました。でも、これに限らないですよ。今回も全曲それぞれに大変です(笑)。