DISC REVIEW
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光溢れる春と夏。闇に満ちた秋と冬。古代ケルト人は1年をそのふたつに分け、11月1日を"Samhain"なる祝祭日、10月31日をその前夜祭とし、冬の訪れとそのタイミングに還ってくる死者の魂を喜び迎え入れる日として親しんでいたのだそう。この習わしがひいてはハロウィンへと繋がっていくというのだから実に興味深い。今作においては表題曲で新たなフロウを取り入れたラップが展開されているほか、歌詞の面でも絵本のような世界が繰り広げられている点が秀逸だが、ケルト音楽を下敷きとした独創性の濃い響きで彩られた「Dreamers Jig」、遊び心たっぷりの「Freak」、コロナ禍を経て生まれた彼らの真摯な想いが託された「Diamond lily」も含めて、すべてが秋の夜長のお供にぴったりかと。 杉江 由紀